ボディー剛性が高いと何が良いのか?事故に強く、ドライブも快適?

ボディー剛性が高いとは、どのようなことか?

ボルボ V90

そもそも、ボディー剛性とは何でしょうか?

現代では「モノコックボディ」という構造の車がほとんどです。ティッシュ箱や卵の殻の様に柱を持たずに外側の強度で形を保持し、強度を出しています。
もちろんティッシュ箱とは極端な表現で、実際には画像の様に様々な強度の金属を溶接し、一つの形を形成しています。補強材を持たず、捻じれなどにも強いため、量産車にはうってつけのボディ構造と言えます。

モノコックが普及する前はトラックなどにみられるフレーム構造(柱を主にする構造)が主流でした。
しかし、車体に損傷を受けても走行に支障のないフレーム構造と異なり、モノコックはねじれなどに強い分、一度損傷を受け、形状が変形しまうと性能が低下し、いわゆる「事故車」となります。そのためフレーム構造では、ボディを形成する段階でどれだけシッカリ強度を出せるかが大きなポイントとなるのです。

「剛性が高い」例

量産車の中で、比較的ボディ剛性が高い車の例としてゴルフを例に挙げてみましょう。よく輸入車はボディは丈夫だ!という声を聞きますが、根拠はその構造にあったのです。

まず、ゴルフを形作るボディには要所に「熱間形成高張力合板」という金属が用いられています。筆者がフォルクスワーゲンジャパンを訪れた時にはボディのカットサンプルがおいてありました。某国産車のパネルは私一人の手で簡単にねじる事が可能でしたが、ゴルフのパネルは成人男性2人がかりでもほとんど歪みが見られませんでした。

かつては鉄板3枚重ねで強度を出していたそうですが、軽量化のため特殊な形成を取り入れることで、1枚の鉄板で同じ強度を実現しました。軽量化は低燃費化にもつながりますし、万が一の事故の際にも軽い方が衝突エネルギーが少ないので、そういった観点からも安全性が高くなっています。

また、この合板は「レーザー溶接」という技術でつなぎ合わされています。従来のスポット溶接は、例えるなら釘を打ち込んで点でつなぎ合わせていたものですが、レーザー溶接だと釘と釘の間まで隙間なくつなぎ合わせることが可能です。両者を比較すると溶接でつながれた面積には、実に5倍もの差が生まれます。強い金属を5倍の面積でつなぎ合わせる。こうやってボディの剛性を高めているのです。

剛性が高い事のメリットは?

剛性が高いと何が良いのでしょうか?
一般生活を送る上では不具合を感じない様に、実は車のボディは絶え間なくしなっているのです。

ガタガタの路面を乗り越える時やコンビニに入る時のちょっとした段差で、ボディが微妙にしなる事で乗り心地を良くしています。
しかし、この「しなり」が発生する瞬間にボディに付随している外板、ドアやフェンダーも一緒にしなっています。そして、ドア同士が接触しない様に外板の隙間には数ミリ程度のクリアランスがあらかじめ設けられています。

この隙間は走行時には風切り音を生み、静粛性の低い車としてドライバーに負担をかけます。高速道路を走っているとエンジンの音だけでなく車が風を切る音をうるさく感じたことはないでしょうか?

ボディ剛性の高い車は車体が歪みにくいため、これら外板の隙間をギリギリまで狭くすることが可能です。走行中の不要なノイズを低減し、リラックスして運転に集中する事ができるのです。レーザー溶接の特徴は、屋根を見た時にはっきり表れています。
それは、屋根の両端を走るプラスチックのカバーがないことです。これはスポット溶接の目隠しの為に備わっており、レーザー溶接だとこれ自体が不要になるため、非常にすっきりしたデザインが生まれます。


乗り心地は好み?

ボディ剛性が高い車に乗ったときの第一印象として、「硬い」と感じる方も少なくないと思われます。
サスペンションだけが硬いのでなく、車体そのものが硬いため、初めてボディ剛性の高い車に乗ったときは、他の車との乗り心地の差に驚くことでしょう。
この点に関しては個人の好みの差があるので硬い=良いとは言い切れない部分があるのも事実です。

一方で、車の「操作性」には、メリットが感じられることも多いと思われます。例えば、人が急に飛び出して来たり、不測の事態で思い切りブレーキペダルを踏み込むと、ハンドルまでガタガタと振動を感じることがあるでしょう。この時にボディ剛性が高い車は、急ブレーキにもしっかりと車体が耐えてくれるので、ドライバーに伝わる不要な振動を軽減してくれます。
日常ではかからない負荷のもとでもいつもと変わらない操作ができれば、より安全に車を操作する事が可能となります。

ナビやバックカメラ、最近では衝突防止ブレーキなど様々な付加価値を目にする中で、改めて基本的な車造りの価値を知ることで、より安全で快適なカーライフを楽しむことができます。車選びをするときには、なかなか高速道路を試乗したり、急ブレーキを試す事はないかもしれません。

しかし、遮音性やハンドルの切りやすさなど、ちょっとした事に目を向けるだけで、これまでとは違った視点から大切なマイカーを選ぶ事が可能となります。ぜひ次のマイカー選びの際には五感を駆使してご自分に合った車を選んでみてください。

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