オーナーの特権?日産 GT-Rの慣らし運転の方法とは?

GT-R走り

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日本が誇るスーパースポーツカー「日産GT-R」。新車で購入した際付いてくる取扱説明書に、日産が指定した慣らし運転方法が細かく書いてあるのです。新車で購入したオーナーだけが行える、この「特権」とも言うべき慣らし運転方法をご紹介いたします。是非、GT-Rオーナーになったつもりでご覧ください。
Chapter
日産の推奨する「慣らし運転」の目的
新車~500kmまで
500~1,000kmまで
1,000~2,000kmまで
そして、解き放たれる

日産の推奨する「慣らし運転」の目的

取扱説明書の「慣らし運転」というページを開くと、まず以下のような目的が書いてあります。

「NISSAN GT-Rには高精度な部品を使用しており、その性能を発揮するためには、新車から一定期間の慣らし運転が効果的です。新車からの走行距離が2000kmに到達するまでに、適切な慣らし運転を行うことで、部品同士のすり合わせが行われ、NISSAN GT-R本来の高性能を長年にわたりお楽しみいただけます。注意:慣らし運転中、慣らし完了後にかかわらず、いかなる場合でも公道では道路交通法を遵守して安全運転を心がけてください。」

なるほど。昔から言われている事と同じような内容ですが、特にGT-Rはエンジンやボディ、足回りなど、一般的な車種より何倍も厳しい公差の精度で造られているので、メーカーがはっきり明記しているのも理解できます。ここは気を付けたい所です。

ですが最後の一文、メーカーがオーナー様の心中を察して釘を刺しているところが、面白いですね。

新車~500kmまで

ここからは距離ごとに定まった慣らしの方法について記載してあります。

<新車から500kmまで>

「発進時や加速時は、アクセルペダルの踏み込み量を半開(ハーフスロットル)までに抑えてください。また、アクセルペダルをゆっくりと踏み込み、エンジン回転数の急激な変化を抑えます。エンジン回転数が3,500rpmを超えないようにしてください。サスペンション、ブレーキ、タイヤなどシャシー部品に大きな負荷がかかることを避けるため、不必要な急ハンドルや急ブレーキ操作、悪路走行を避けてください。」

 さあ、オーナー様の禁欲期間が始まりました。ペダルの踏み込み量からエンジン回転数にまで制限指示が書いてあることには驚きです。特にGT-Rのエンジンに純正指定してあるオイルは、環境性能とレスポンスを重視しているので、粘度が0w-40となっており、欧州のハイパフォーマンス車と比較しても、柔らかめのオイルが使われています。

加えて、以下のようにも明記してあります。
「高出力化に伴いエンジンオイルへの負担が増えています」

当たりのついていない新車のエンジンでは、特に気をつけたいですね。

500~1,000kmまで

さらに項目が区切られ、次の走行距離区間について、記載してあります。本当に細かいですね。

<500から1,000kmまで>

「エンジンやトランスミッションなどのパワートレイン部品をなじませるため、低速ギヤ(1速~3速)では、アクセルペダル全開(フルスロットル)による急加速を避けてください。また、ギヤ段に関係なくアクセルペダルをゆっくりと踏み込み、エンジン回転の急激な変化を抑えます。」

「サスペンション、ブレーキ、タイヤなどのシャシー部品に大きな負荷がかかることを避けるため、不必要な急ハンドルや急ブレーキ操作を避けてください。」

「サスペンション、ブレーキ、タイヤなどのシャシー部品をなじませるため、ショックアブソーバーのセットアップスイッチで、できるだけコンフォート(COMF)モードを選択してください。サスペンションストロークが大きくなり、ゴムブッシュやショックアブソーバーなどのなじみが促進されます。」

ここからは、エンジン回転数の制限は無くなったようです。ですが、搭載されているVR38DETTというこのエンジンは、新開発のライナーレスを採用しており、たった0.02mmの厚みを持ったプラズマコーティングがアルミシリンダーに施され、強力なパワーを発揮する燃焼圧とピストンを支えています。

当たりのついてない状態でデリケートに扱う事は、通常の発想と言えますね。まだオーナー様の禁欲は続きます。

1,000~2,000kmまで

ようやく慣らしも後半です。これを乗り越えれば、新車オーナー様の素晴らしいGT-Rライフが待っています。

<1,000から2,000kmまで>

「エンジン回転数を比較的高めにして、1速~4速の間でシフト操作を繰り返し、トランスミッションのクラッチプレートをなじませてください。」

「サスペンション、ブレーキ、タイヤなどのシャシー部品に大きな負荷がかかることを避けるため、不必要な急ハンドルや急ブレーキ操作を避けてください。」

「サスペンション、ブレーキ、タイヤなどのシャシー部品をなじませるため、ショックアブソーバーのセットアップスイッチで、できるだけコンフォート(COMF)モードを選択してください。」

「サスペンションストロークが大きくなり、ゴムブッシュやショックアブソーバーなどのなじみが促進されます。」

ここで、エンジン回転数が高回転に指定されるようになりました。禁欲生活も終わりを迎えようとしています。GT-Rの咆哮を聞きながら、パドルシフトを繰り返して、「これは慣らしなんだ」と自分に言い聞かせる時間は、新車オーナーの醍醐味ですね。

そして、慣らし完了後にはアライメントの点検、及び調整が指定してあります。そのパフォーマンスをいつでも、100%味わいたいなら軽視せずに必ず行いましょう。レーシングドライバーの谷口信輝氏も、ニューモデルイヤー車のインプレッション中にミスで縁石からタイヤを落としてしまい、アライメントを狂わせてしまったことがありました。この時、明らかに本来のパフォーマンスを発揮できないと感じ取りアタックを中断。それほどアライメントはパフォーマンスに関わるのです。

さあ、ここを乗り越えれば、いろんな意味で全開走行が楽しめます。でも、冒頭でメーカーから釘を刺されていたことを忘れないでくださいね。

そして、解き放たれる

以上が、メーカーが定めるGT-Rの慣らし運転方法でした。GT-Rの新車オーナーの心の葛藤はさておき、パドルシフトによるデュアルクラッチの慣らしや、コンフォートモードによるサスペンションの慣らし方法は、昔の車には無かった話です。これから新型車を購入される方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
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