RED BULL X-FIGHTERS OSAKA 2013 派手さの裏側にある精神力

アヘッド レッドブル X-ファイターズ

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普段は静かな夜の大阪城西の丸公園がその日は一変した。1万5千人の熱狂的な声援を受け、大阪城をバックにバイクが宙を舞う。迎えた決勝戦の大舞台を制したのは、日本人の東野貴行選手だった。

text:村上智子 photo:  Red Bull Content Pool [aheadアーカイブス vol.128 2013年7月号]
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RED BULL X-FIGHTERS OSAKA 2013 派手さの裏側にある精神力

RED BULL X-FIGHTERS OSAKA 2013 派手さの裏側にある精神力

世界最大のFMX(フリースタイル・モトクロス)大会「レッドブル X-ファイターズ」のワールドツアー第4戦は、アジアでの初開催ということもあり、テレビなどで目にした方も多いだろう。FMXとは、 '90年代にモトクロスから派生したエクストリーム競技のひとつで、スピードではなくジャンプでの「技」を競い合う。

そもそもアメリカで始まった競技だが、現在は日本人も世界の第一線で活躍している。今年の開幕直前に不慮の事故で他界した佐藤英吾選手もそのひとりだった。日本のFMXの第一人者であり、大阪城での開催は彼の尽力によるものが大きい。

かつては、アクションの難易度が重視されるマニアックな競技だったFMXを、「レッドブル X-ファイターズ」はショー的要素の高いものへと進化させた。12名で予選を行い、本戦には8名のライダーが進み、制限時間内に、コースを自由に走りながら多彩な「技」を次々に繰り出す。

準々決勝からはトーナメント制で、「バリエーション」、「難易度」、「スタイル」、「コースの使い方」、「エナジー(盛り上げ度)」の5項目の内、3つを獲得した方が勝ち上がる仕組みだ。
高さ10メートル以上、飛距離にして25メートル以上の大ジャンプだけでも迫力なのに、「バックフリップ」と呼ばれる空中回転や、手だけ、足の甲だけでバイクと繋がった状態で宙を舞い、身体とバイクが完全に離れる大技も。派手で豪快なアクションは観ていて本能的に引き込まれる。いったいこの人たちの精神状態はどういったものなのだろうか。

優勝した東野選手は、常々ブログでその胸中を明かしている。「この競技が好き過ぎてやめられない」と言いながらも、一方で練習や本番に挑むときの恐怖心、時に逃げ出したくなる気持ち、どうしてこんな危険なことをやっているのだろうと繰り返し記されている。

彼の揺れ動く気持ちが伝わってくる。でも、その度に自分と冷静に向き合い、「こんなメンタルではダメだ」「絶対に強くなる」と、一歩一歩乗り越えていく。自身に入れたタトゥーは「それまでの努力を忘れない」ための戒めであり、単なるファッションではないとも語っている。

東野選手の優勝会見での言葉が心に残る。「結果よりも、最後の瞬間まで攻められたのがうれしい」 相手を倒すよりも、まずは自分の限界に挑戦し、己に克つこと。

パフォーマンスやファッション性につい目が向きがちなFMXだが、選手たちはアスリートとしての自覚と誇りを持って、闘っている。
東野貴行選手のブログ
http://blog.livedoor.jp/taka_mm
Jason Halayko, Jorg Mitter, Predrag Vuckovic, Sebastian Marko/Red Bull Content Pool

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