日本にも根付く? 〜ラウンドアバウト運用開始

アヘッド ラウンドアバウト

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フランス・パリをイメージする時、凱旋門を取り囲むようにぐるぐると回るクルマの流れを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。これは「ラウンドアバウト」と呼ばれる信号のないスタイルの交差点で、9月1日から日本国内でも本格運用されることとなった。

text:村上智子 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.143 2014年10月号]
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日本にも根付く? 〜ラウンドアバウト運用開始

日本にも根付く? 〜ラウンドアバウト運用開始

すでに欧米ではお馴染みのこの交差点、1960年代にイギリスで誕生したというから歴史は結構古い。だが、急速に普及したのはこの10数年のことで、アメリカでは'90年代以降、2,000件以上というハイペースで整備が進められている。

急速な普及の背景にあるのが、安全でエコな交差点である、ということ。通常の交差点と違い、左側通行の場合は構造上速度を落としながら時計回り(右側通行の場合は逆回り)に進入するため、出会い頭の正面衝突や右左折時の巻き込みなどの重大事故が起きにくい。また信号不要のため、維持管理のコストカットにも繋がる。

日本でも設置を検討すべく、数年前から長野県などの自治体で地道な社会実験が行われ、一定の成果が実証されている。ただ、今回国の後押しで本格導入へと踏み切るきっかけとなったのは、やはり先の東日本大震災が大きく影響しているだろう。

あの時、多くの信号機が破損や停電で機能不全に陥り、一部の交差点では事故が発生。警察官が交通整理や対応に追われ、街は混乱した。

その点、信号機に頼らないラウンドアバウトは、道路が大きく破損していなければ、平時と同じように通行できる。災害時に強い街づくりの観点でも、期待されているというわけだ。

事故が減り、経済的であり、災害に強い。いいことずくめに思えるが、いくつか懸念事項もある。

日本の交差点は、信号機付きの十字路が原則。信号の指示に従って行動する習慣が身に付いている日本人にとって、自分自身でタイミングを判断しなければならないこと自体ハードルであり、ルールが認知されないうちは却って事故が増えるのではという声もある。

また、交通量の多い交差点では、環状道路から枝道に出て行く道が渋滞したり、そもそも土地に一定の広さがないとラウンドアバウトを整備できない、という課題もある。かといって、メリットは大きいだけに、今後は適する場所を見極めながら設置を拡大していくことになりそうだ。

ドライバーとしては、運転中に遭遇しても戸惑わないよう、最低限の新しい交通ルールをしっかり把握しておきたい。

まずは7都府県15ヵ所で環状交差点(ラウンドアバウト)の運用がスタート。写真は軽井沢にあるラウンドアバウト。今年度中にはさらに全国34ヵ所に設置される予定。

信号機がないのが最大の特徴で、日本の場合は常に右回り(時計回り)で通行するよう指定されている。右上の写真にある円の中に3つ矢印のある標識が、新設された道路標識。

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