リッター67キロの真実 〜三菱アウトランダーPHEV

アヘッド 三菱アウトランダーPHEV

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三菱アウトランダーPHEVは「自分で発電する電気自動車」を標榜する。PHEVの「PH」はプラグインハイブリッドで「EV」は電気自動車の意味である。一体どういうことだろう。

text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.136 2014年3月号]
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三菱アウトランダーPHEV

三菱アウトランダーPHEV

ハイブリッド車はエンジンとモーターの動力をそれぞれ単独で、あるいはミックスして走るというのが共通認識だろう。エンジンが主体であり、苦手とする領域で電気の力を借り、モーターで補う仕組みだ。その発展形としてのプラグインハイブリッド車という乗り物がある。

PHEVはまず、電池の容量を増やす。容量を増やせばモーターだけで走れる距離が延びる。外部電源を利用して充電できる「プラグイン」の機能を使うと、エンジンの力を借りずに充電だけでカバーできる走行が増える。蓄えておいた電気がなくなったら、通常のハイブリッド車として走る仕組みだ。

同じPHEVでも、エンジンではなくモーターに軸足を置いたのがアウトランダーPHEVだ。

エンジン車をベースに電気の主張を強くしたのではなく、電気自動車をベースに発電用のエンジンを追加した発想である。ベースが電気自動車だから、外部電源を利用して充電できるのは当然だ。航続可能な距離もそれなりに確保している。

けれども、エンジン車と同じように、エネルギーの補充なしに500㎞なり600㎞なりを移動しろと要求するのは酷である。残念ながら、現代の技術をもってしても、大量の電気エネルギーをリーズナブルな容積と重量と価格でクルマに載せるのは難しい。

ならば、ガソリンを積んで発電し、電気が足りなくなったら走りながら補充すればいい。それが「自分で発電する電気自動車」の意味するところである。

アウトランダーPHEVが電気エネルギーだけで走行できる距離は数十キロ(カタログ値は60.2㎞)なので、家族を駅まで送り迎えしたり、スーパーマーケットに買い出しに行ったりという日常的な使い方では、ガソリンを一滴も使わずに済む。

でも、たまの遠出の際に航続距離が数十キロでは困る。そんなときはエンジンの出番だ。駆動用バッテリーが空になったら自動的にエンジンが始動し、発電して、EV走行に必要な電気を生み出してくれる。

アクセルペダルの動きと連動してエンジン音が上がったり下がったりするので、エンジンの力で走っているように感じるが、実際はモーターだけの力でクルマを動かしている状況がほとんどだ。エンジンの力を路面に伝えた方がエネルギー効率が高い場合だけ、エンジンの力をモーターの力にミックスしたり、エンジン単独で走ったりする。

アウトランダーPHEVは電気自動車的な作り。航続距離を延ばすために(主に)発電用のエンジンを積んだクルマだ。
三菱アウトランダーPHEV
価格:¥3,397,500〜 
排気量:1,998ℓ
エンジン:
【最高出力】87kW(118ps)/4,500rpm
【最大トルク】186Nm(19.0kgm)/4,500rpm
モーター:
【最高出力】60kW(82ps)
【最大トルク】前:137Nm(14.0kgm)/後:195Nm(19.9kgm)
JC08モード燃費:67.0㎞/ℓ

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

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