718ボクスターSから感じるポルシェの魅力とは?
更新日:2024.09.09
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2016年、搭載エンジンを伝統の水平対向6気筒から、水平対向4気筒ターボに変更したポルシェ ボクスター。往年のレーシングカーを想起させる718を車名に追加し、原点に回帰したモデルとも言えます。しかし、口さがないクルマ好きからは、エンジンがダウンサイズされたことによるネガな意見も聞かれます。はたして、その悪い噂は本当なのでしょうか?
4気筒でなにが悪い?従来モデルを凌ぐ718ボクスターの性能
ボクスターに大掛かりなアップデートが行われ、718ボクスターとなって約1年。けれど、いまだに「だって4気筒じゃん」という声が聞こえてくることがあって、僕はちょっと複雑な気分になります。
確かに従来のフラット6ユニットは、そのサウンドも、滑らかに素早く吹け上がるフィーリングも、本当に素晴らしいものでした。けれど718ボクスターは、新開発のフラット4ターボを搭載することで、従来のモデル達を大きく凌ぐ魅力を手に入れています。
たとえば関心を持つ人のより多そうな、高性能版の718ボクスターS。そのファーストインプレッションは「あれ? 軽い?」でした。
同じグレードで較べるなら、実際には先代より車重は+40kg。それなのに望外の軽さを感じたのは、エンジンのトルクが大幅に太くなり、それが発進する時点から湧き出て力強く路面を蹴り出してくれるからです。
先代のSでは36.7kgmのトルクを4,500〜5,800rpmで発揮していたところが、こちらは42.8kgmへと増大したトルクを1,900〜4,500rpmで発揮。都内を普通に走行するには2,000rpmあたりをキープしていれば、らくらくこと足ります。
確かに従来のフラット6ユニットは、そのサウンドも、滑らかに素早く吹け上がるフィーリングも、本当に素晴らしいものでした。けれど718ボクスターは、新開発のフラット4ターボを搭載することで、従来のモデル達を大きく凌ぐ魅力を手に入れています。
たとえば関心を持つ人のより多そうな、高性能版の718ボクスターS。そのファーストインプレッションは「あれ? 軽い?」でした。
同じグレードで較べるなら、実際には先代より車重は+40kg。それなのに望外の軽さを感じたのは、エンジンのトルクが大幅に太くなり、それが発進する時点から湧き出て力強く路面を蹴り出してくれるからです。
先代のSでは36.7kgmのトルクを4,500〜5,800rpmで発揮していたところが、こちらは42.8kgmへと増大したトルクを1,900〜4,500rpmで発揮。都内を普通に走行するには2,000rpmあたりをキープしていれば、らくらくこと足ります。
加速の強力さとスピードの伸びは、歴代ボクスターのなかでトップ!
PDKもノーマルモードでは、早めにトントンとシフトアップしていく設定だから、街中を軽く流したり恋人とジェントルにロングドライブするときにピタリとマッチ。この日常性の高さは、ありがたいものです。
けれど、そこはスポーツカー用に開発されたエンジンですから、アクセルペダルを踏み込んでいくと、もっと大きな感動が待っています。
5,000回転より少し手前でやや勢いが弱まるまでは、強力なトルクがドカーッ!と車体を押し出し、その少し前からいつの間にか伸びてきていたパワーにすんなりバトンタッチしてトップエンドまで弾けていく感じで、ハッキリと速いのです。
気掛かりだったターボラグも踏み込んで行ってからの領域ではほぼ皆無といえる程度で、教えられなければターボ付きであることに気づかない人もいるでしょう。
従来のフラット6特有のサウンドは確かにボクスターの美点のひとつではあったのですが、フラット4ターボの野太く雄々しい響きも、これはこれでスポーツカーらしくていいと感じます。
いずれにせよ、加速の強力さとスピードの伸びは、間違いなく歴代ボクスターのなかでトップ。とりわけ低速域からのダッシュや巡航時からの中間加速は軽い驚きすら感じられるほど。
数値のうえでは静止状態から100km/hまでの加速タイムが先代より0.6秒も速くなっているが、すんなり納得、なのです。
けれど、そこはスポーツカー用に開発されたエンジンですから、アクセルペダルを踏み込んでいくと、もっと大きな感動が待っています。
5,000回転より少し手前でやや勢いが弱まるまでは、強力なトルクがドカーッ!と車体を押し出し、その少し前からいつの間にか伸びてきていたパワーにすんなりバトンタッチしてトップエンドまで弾けていく感じで、ハッキリと速いのです。
気掛かりだったターボラグも踏み込んで行ってからの領域ではほぼ皆無といえる程度で、教えられなければターボ付きであることに気づかない人もいるでしょう。
従来のフラット6特有のサウンドは確かにボクスターの美点のひとつではあったのですが、フラット4ターボの野太く雄々しい響きも、これはこれでスポーツカーらしくていいと感じます。
いずれにせよ、加速の強力さとスピードの伸びは、間違いなく歴代ボクスターのなかでトップ。とりわけ低速域からのダッシュや巡航時からの中間加速は軽い驚きすら感じられるほど。
数値のうえでは静止状態から100km/hまでの加速タイムが先代より0.6秒も速くなっているが、すんなり納得、なのです。
最新の718ボクスターは、最良のボクスターです
ボクスターのもっとも大きな魅力は、基本的な運動性能に特化した見方をすれば、もはや911を超えたと感じさせられるハンドリングの素晴らしさにありました。
その点でも718ボクスターSは、確実に進化しています。
ステアリングを切り始めたときのクルマの反応がよりシャープになり、これまで以上にタイヤが路面を掴んでる感覚があり、とりわけ後輪の安定感にはガチッとした芯があるように感じられて、かなり印象的。
ステアリングやシートを通じてクルマが発するさまざまな情報が正確に伝わってくる感じも、操作に対して的確にクルマが反応してくれる感覚も強まっています。
いうまでもなく、もともとの美点であった素直さや機敏さ、正確さといったところから来る楽しさや気持ちよさも一段階高いものになってるし、計測したわけではないのですが、コーナリングスピードそのものもさらに高くなっているのも感覚的にわかります。
それらはフラット6からフラット4ターボに換装するにあたって、重量バランスやサスペンションの設定など各パートを徹底的に見つめ直したことの集大成なのです。
かくして僕のなかでは最新の718ボクスターは最良のボクスターとなり、もっとも好きなボクスターになりました。
その点でも718ボクスターSは、確実に進化しています。
ステアリングを切り始めたときのクルマの反応がよりシャープになり、これまで以上にタイヤが路面を掴んでる感覚があり、とりわけ後輪の安定感にはガチッとした芯があるように感じられて、かなり印象的。
ステアリングやシートを通じてクルマが発するさまざまな情報が正確に伝わってくる感じも、操作に対して的確にクルマが反応してくれる感覚も強まっています。
いうまでもなく、もともとの美点であった素直さや機敏さ、正確さといったところから来る楽しさや気持ちよさも一段階高いものになってるし、計測したわけではないのですが、コーナリングスピードそのものもさらに高くなっているのも感覚的にわかります。
それらはフラット6からフラット4ターボに換装するにあたって、重量バランスやサスペンションの設定など各パートを徹底的に見つめ直したことの集大成なのです。
かくして僕のなかでは最新の718ボクスターは最良のボクスターとなり、もっとも好きなボクスターになりました。
嶋田智之/Tomoyuki Shimada
クルマ好きがクルマを楽しみ尽くすためのバイブル的自動車雑誌として知られる『Tipo』編集長を長年務めた後、『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。現在は、自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントなどではトークショーのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、わかりやすく伝える姿勢にファンも多い。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。