メルセデス・ベンツ CLSが切り開いた新境地とは?

あるクルマを評価するとき、その基準は人それぞれです。デザインやスペック、ドライバビリティ、販売台数などで評価されることが多いように思われますが、「新しいカテゴリーを切り開いたクルマ」というのも大切な評価基準ではないでしょうか。ここでは「4ドアクーペ」という概念を提唱したメルセデス・ベンツ CLSを紹介したいと思います。

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クーペに4ドアの快適性を
2010年、フルモデルチェンジでラインナップ拡充
他のブランドも追従、「4ドアクーペ」は1つのトレンドに

クーペに4ドアの快適性を

実は「クーペ」とう言葉に厳密な定義はないそうなのですが、それでも「2ドアのハードトップ」「2シーターもしくは2+2」といった共通のイメージはあったように思います。

つまり、クーペはあくまでも2人乗り、後部座席はあってもエマージェンシー程度というのが定番でした。一方で、クーペの魅力はやはりそのデザインにありました。リアのドアがない分、フロントからリアまで流れるようなラインを引けるのは、大きなメリット。実用性のある後部座席を持ちながら流麗なデザインを可能にしたクルマ、それがCLSでした。

CLSが発表されたのは2004年のことで、日本では翌2005年から販売が開始されました。プラットフォームはEクラスと共通でしたが、車格はSクラスに近く、メルセデスらしい高級感を存分に放っており、ラインナップは、V6エンジンモデルのCLS 350、V8エンジンモデルのCLS500(後にCLS550へとモデルチェンジ)、そしてAMGのCLS55 AMG(後にCLS63 AMGへとモデルチェンジ)でした。

2010年、フルモデルチェンジでラインナップ拡充

成功を収めた初代CLSは2010年にフルモデルチェンジを果たし2代目へと進化(日本発売は2011年)。

メルセデスの新しいデザインアイデンティティに沿った外観を与えられただけでなく、ステーションワゴンモデルであるCLS シューティングブレークも登場しました。シューティングブレークとは、主に英国などで見られる流麗なステーションワゴンであり、貴族が狩猟などに行く際に用いたという伝統的なボディスタイル。メルセデスはCLSでそのスタイルを現代に復活させたのです。

 初代同様V6、V8エンジン、AMGの各モデルもラインナップしていましたが、2015年にはディーゼルエンジンモデルであるCLS220 BlueTECも加わり、あらゆるニーズに対応できるようになっています。こうしたラインナップの拡充は、メルセデスの強みでもありますね。

他のブランドも追従、「4ドアクーペ」は1つのトレンドに

ドイツ御三家と呼ばれるメルセデス・ベンツ、BMW、アウディは、常に切磋琢磨しあう関係ですが、CLSの成功を見て他のブランドもすぐに動き出しました。

BMWは6シリーズをベースにした4ドアクーペ、6シリーズグランクーペを世に問いました。アウディは、A7スポーツバックを提案、さらにより下のセグメントへも派生させました。アウディだとA5 スポーツバック、BMWだと4シリーズ グランクーペです。もちろん、メルセデスもCLAというAクラスベースのクーペを出しています。また、VWもCCという4ドアクーペをラインナップに加えました。

CLSというクルマそのものの出来が素晴らしいことは言うまでもありません。けれども、それ以上に評価すべき点は新たな市場を切り開いたことでしょう。そうしたクルマは実はとても数が少ないのです。