ジャガーとデイムラーの違いを徹底解説!歴史・ブランド・車種から見る差とは

ジャガー XJ6

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ジャガー(Jaguar)とデイムラー(Daimler)は、ともにイギリスの名門自動車ブランドです。

しかし名前が似ていることから混同されがちで、実際「ジャガーとデイムラーって何が違うの?」と思う方も多いでしょう。実は両者は元々別会社であり、現在はジャガーの最高級グレード(高級サブブランド)的な位置づけだった歴史を持ちます。

本記事では、ジャガーとデイムラーの違いについて、ブランドの歴史背景からマーケティング上の使い分け、具体的な車種・仕様やエンブレム・内装のディテールまで詳しく解説します。旧車ファンや中古車検討者の方はもちろん、両者の名称を聞いたことがある程度のライト層にも分かりやすく、その違いがスッキリ理解できる内容となっています。

CARPRIME編集部

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Chapter
ジャガーとデイムラーの歴史比較|起源と発展を徹底整理
ジャガーの歴史とブランド形成
最古の英国高級車デイムラーの歩み
買収で何が変わった?ジャガー×デイムラーのブランド関係
ブランド戦略と市場別ネーミングの違い|ジャガー vs デイムラー
ジャガーとデイムラーの違い
ジャガーのブランド戦略とターゲット
デイムラーのハイエンド戦略
北米と欧州で異なるモデル名
外観で見分ける方法|フルーテッドグリル&エンブレムの差
デイムラー伝統のフルーテッドグリル
エンブレムで分かるブランド差
内装の質感比較|デイムラーが“ベビーロールス”と呼ばれる理由
車種・グレード別の違い|XJシリーズで読むデイムラー上位仕様
モデル名とエンジン仕様の違い
グレード階層とポジション
新車価格の差
足回り・走行フィールの違い
デイムラーは今後復活する?現状と将来予測まとめ

ジャガーとデイムラーの歴史比較|起源と発展を徹底整理

ジャガーの歴史とブランド形成

ジャガーの前身は1922年創業の「スワロー・サイドカー・カンパニー」で、当初オートバイのサイドカー製造からスタートしました。

その後乗用車生産に乗り出し、第二次大戦後の1945年に社名を「ジャガー(Jaguar)」に変更します。以降、エレガントなスポーツカー(例:伝説的なEタイプ)や高級サルーン(XJシリーズなど)を手掛け、英国を代表する高級車ブランドとして成長しました。

最古の英国高級車デイムラーの歩み

デイムラーはジャガーより遥かに歴史が古く、1890年代に創立された英国最古の自動車メーカーです

元々はドイツ人技術者ゴットリープ・ダイムラーの開発したエンジンを英国で製造する目的で設立され、1890年代末までに自動車生産にも乗り出しました。デイムラーは早くからイギリス王室御用達の高級車メーカーとなり、ボンネット先端に波模様の意匠や、グリル上部に冷却効果を高める縦筋を入れた「フルーテッドグリル」を採用するなど独自のスタイルを確立します。

戦前から戦後直後まで英国高級車の雄として知られましたが、戦後は大衆車需要の高まりで経営が悪化1960年にジャガーに買収され傘下入りすることになります。


名称の補足: 日本語ではドイツのDaimler(メルセデス・ベンツの親会社だったダイムラー)と区別するため、英国のDaimlerを「デイムラー」あるいは「ディムラー」と表記します。両者は無関係ですが、名前の由来は同じゴットリープ・ダイムラーであるため紛らわしい点に注意してください。

買収で何が変わった?ジャガー×デイムラーのブランド関係

1960年にジャガー社がデイムラー社を買収した背景には、新興のジャガーが老舗デイムラーの持つ高級ブランドイメージや顧客層を求めたことがあると言われます。

買収後、ジャガーはデイムラーの生産設備や技術を引き継ぎつつ、しばらくは独自のデイムラーモデルの生産も続けました。

例えば1962年にはジャガーが買収前から持っていた中型車(MK II)をベースに、デイムラー製の2.5L V8エンジンを載せた「デイムラー 2½L V8サルーン」を発売しています。この車ではデイムラーのトレードマークだったフルーテッドグリルも継続採用され、ブランドの伝統が守られました


しかし1966年になるとジャガー自体が英BMC(後のブリティッシュ・レイランド)に吸収され、以降はジャガーとデイムラーのバッジエンジニアリング(双子車戦略)が本格化します

ほとんど全てのモデルにジャガー版とデイムラー版が用意され、同じ車に異なるブランド名のエンブレムを付けて販売する形が定着しました。唯一の例外はデイムラーのみで生産された大型リムジン「デイムラー DS420」で、これはジャガー名では発売されなかった特別なモデルです。

このようにデイムラーはジャガー傘下で存続しましたが、その位置づけは「ジャガー車の最上級グレードを担うブランド」でした。言い換えれば、ジャガーが標準ブランド、デイムラーはそれをベースに内外装を豪華に仕立てた高級サブブランドという関係です。

ブランド戦略と市場別ネーミングの違い|ジャガー vs デイムラー

デイムラーを傘下に収めたジャガーは、しばらくはデイムラーの生産を続けますが、1962年になるとジャガー MKⅡをベースに、デイムラー製V型8気筒2.5Lエンジンを搭載したデイムラー 2 1/2 V8サルーンを販売。

その際、デイムラーの特長であったグリル上部に波型の意匠が施されたフルーテッドグリルを継続して採用するなど、積極的にデイムラーのデザインや技術を活用するようになります

このようにジャガー傘下となって以降もデイムラーはさまざまなカタチで存続されていたのですが、1966年には親会社であるジャガーが今度はBMCに吸収合併されてしまいます。

BMCの下でブランドが存続することになったジャガーとデイムラー。この両者は同じモデルにそれぞれのブランド名を冠するバッジエンジニアリングが積極的に活用されることになり、これ以降ほとんどのモデルにジャガーとデイムラーが存在することになります(唯一、デイムラーDS420が例外)。

ジャガーとデイムラーの違い

ジャガーのブランド戦略とターゲット

ジャガーはスポーティさと伝統を兼ね備えた英国高級車ブランドとして、自社名で世界展開。サルーンからスポーツカーまでラインナップし、「豹(ジャガー)」のエンブレムを冠した唯一のブランドネームで宣伝されました。

デイムラーのハイエンド戦略

デイムラーはジャガー傘下に入って以降、一貫してジャガー車の最高級仕様にのみ与えられるブランド名として使われました。

具体的には、ジャガーXJシリーズなどフラッグシップ車のトップグレードに「デイムラー」の名前を与え、内装や装備を強化して富裕層や要人向けにアピールしたのです。現在のメルセデス・ベンツとメルセデス・マイバッハの関係に近いマーケティング戦略と言えるでしょう。

北米と欧州で異なるモデル名

デイムラーの名は全世界で使われていたわけではありません。

特に北米市場では、1960年代後半以降ジャガーとデイムラー両ブランドを並行展開するコストや商標上の問題から、デイムラーの代わりに「バンデンプラ(Vanden Plas)」という名称が用いられました。
バンデンプラは元々英国のコーチビルダー(高級車内装メーカー)の名前ですが、北米向けジャガー車の最上級グレードの名前として1980年代〜2000年代まで使われています(例:「ジャガーXJ6 バンデンプラ」は英国での「デイムラー・ソブリン」相当)。

一方、日本や欧州では基本的にデイムラーの名前で正規販売が行われ、ジャガーとデイムラーが区別されていました。日本にも1990年代〜2000年代にデイムラー・ダブルシックスやデイムラー・スーパーV8/スーパーエイトが正規輸入されており、カタログモデルとして存在しました。

外観で見分ける方法|フルーテッドグリル&エンブレムの差

デイムラー伝統のフルーテッドグリル

デイムラー車の伝統的意匠として、グリル上縁部に波形の段差模様と縦溝が入った「フルーテッドグリル」が挙げられます。

一見細かな違いですが、ジャガー(標準モデル)のグリルが滑らかな形状なのに対し、デイムラー版では上端がギザギザと波打っているのが特徴です。このギザギザ形状には冷却性能を高める機能もあり、同時に「デイムラー車である」ことを示す象徴的なディテールになっています。

例えば同じXJシリーズでも、ボンネット先端とグリル上部にこのフルーテッド模様があればそれはデイムラー仕様と判別できます。

エンブレムで分かるブランド差

ジャガー車は文字通りジャガー(豹)のモチーフがエンブレムに使われます。クラシックなセダンではボンネットに飛び跳ねる豹のフィギュア「ジャガー・ルーパー」を立てている車もありますし、丸型エンブレムにはジャガーの顔が描かれています。

一方、デイムラー車には「Daimler」の筆記体ロゴや専用のエンブレムが付与され、ジャガーの豹マークは基本的に付きません。例えばXJ40型のデイムラーではフロントグリル中央に“D”字をあしらったバッヂが配され、トランク後部にも“Daimler”のロゴが掲げられていました。

「見た目はジャガーだが“Jaguar”の文字がどこにも無く、代わりにDaimlerの文字がある」ことが外観上の明確な違いです。同じ車体に別の名前・意匠を与えて差別化している点では、日産のセドリックとグロリアの関係に似ています。

内装の質感比較|デイムラーが“ベビーロールス”と呼ばれる理由

  • 高級ウッドパネル

    ジャガー車でも木目調パネルは使われますが、デイムラーでは本物の希少木材を惜しみなく使用します。たとえばシリーズIII(1979-92年)のダブルシックスでは、英国老舗メーカーロールス・ロイスと同じウォールナット無垢材を用い、さらに象嵌細工(マーケトリー)まで施した凝ったウッドパネルが標準装備されていました。

  • 最高級レザーシート

    ジャガーも高品質な本革シートを備えますが、デイムラーでは革の質が一段と上です。英国王室御用達だったコノリー社製の最上級レザー(コノリーレザー・オートラックスなど)がふんだんに使われ、柔らかな触感と高級感が際立ちます。この革はロールスロイスやベントレーにも使われる最高級品で、耐久性と美しさを兼ね備えています。

  • 上質カーペット

    床のカーペットも厚手で質感が違います。デイムラーでは高級ホテルで採用されるようなウィルトン織のカーペットを敷き詰め、足元まで贅を尽くしています。ジャガー標準モデルのカーペットよりも毛足が長くコシのある絨毯で、防音・乗り心地の面でも極上の空間を演出します。

  • その他ラグジュアリー装備

    細かな部分でも、デイムラーは当時考えうる最高の装備が与えられました。後席ピクニックテーブルや読書灯、パワーシートに本革巻きウッドステアリングなど、ジャガーの上位グレード以上の豪華装備が標準となっている場合が多いです。要は「同じ車でも内装と装備に数百万円分の付加価値を持たせた」のがデイムラーなのです。

車種・グレード別の違い|XJシリーズで読むデイムラー上位仕様

モデル名とエンジン仕様の違い

ジャガーXJシリーズでは、直列6気筒エンジン搭載モデルが「ジャガーXJ6」と呼ばれたのに対し、同じ6気筒でもデイムラー版は「デイムラー・ソブリン」の名前が与えられました。

またV型12気筒エンジン搭載モデルの場合、ジャガー版は「ジャガーXJ12」ですが、デイムラー版は独自の名称である「ダブルシックス(Double Six)」と名付けられました。Double SixとはV12エンジン=直6が2つ分という意味で、デイムラーが1920年代に使っていた伝統ある呼称を復活させたものです。

グレード階層とポジション

デイムラー版はいずれもジャガー版より上位に位置付けられます。例えば1970〜80年代のシリーズII〜III期では、ジャガーの上級グレード名称として「ソブリン」の名が使われるようになりましたが(シリーズIII期に「ジャガー・ソブリン」登場)、デイムラーでは引き続き最上級モデルに「ソブリン」や「ダブルシックス」を冠し、ジャガー車との差別化を維持しました。

新車価格の差

同じ車種でもジャガーとデイムラーでは新車価格に大きな開きがありました。

その差は内外装の豪華さやブランド料とも言えます。1993年頃の日本市場価格で比較すると、ジャガーXJ12が約1,185万円だったのに対し、同じV12エンジン搭載のデイムラー・ダブルシックスは約1,400万円と、実に200万円以上高価でした。

また2006年頃のデイムラー・スーパーエイト(X350型)は、4.2L V8スーパーチャージャー付きエンジンを搭載していました。そのジャガー版にあたるのは、同じエンジンを積む「ジャガー XJ スーパースポーツ LWB(旧称:スーパーV8)」です。

当時の価格は、ジャガーの約1,455万円に対し、デイムラーは約1,690万円と、約235万円高価に設定されていました。このように、同じ高性能なパワートレインを積んだモデル同士で比較しても、デイムラーは常により高価な最高級仕様として位置付けられていたのです

足回り・走行フィールの違い

エンジンやシャシー自体は共通なので、基本的な動力性能はジャガーと大差ありません。

ただしデイムラー仕様は快適性重視の足回り調整がなされる場合が多く、ジャガーがスポーティさも備えるのに対し、デイムラーはよりソフトで静粛性重視の乗り味に振られていました。

またジャガーにはスポーツ志向の「XJR(高性能モデル)」が用意されましたが、デイムラーにはそのようなスポーツモデルは存在せず、一貫してラグジュアリー志向に特化していた点も違いと言えます。

デイムラーは今後復活する?現状と将来予測まとめ

  • ブランドの成り立ちを比較 
    ジャガーは戦後に台頭したスポーツ&高級車ブランド、デイムラーは19世紀から続く英国伝統の高級車ブランド(1960年にジャガーが買収)。

  • ブランド役割の違い 
    デイムラーはジャガー傘下では主にジャガー車の最上位グレード用ブランドとして機能し、「ジャガーの高級版」という位置づけ。

  • マーケティング視点で見る差 
    ジャガー名で世界展開する一方、デイムラー名は限られた市場・最高級車のみ使用(北米では「Vanden Plas」名を使用)。

  • エクステリアの違い 
    デイムラーはフルーテッドグリルや専用エンブレムで識別可能。

  • インテリアの違い 
    デイムラーは本木目や最高級革・カーペットを使った極上のインテリアで、ジャガーより一段と豪華。

  • 車種&グレードの差 
    ジャガーXJに対するデイムラー・ダブルシックスなど、同一車に伝統的名称や豪華装備を与えて差別化。

  • 価格差まとめ 
    常にデイムラー版の方が高価格で希少。新品時の価格差は数百万円規模になることもあった。



こうした違いを踏まえると、デイムラーは「知る人ぞ知るもう一つのジャガー」とも言える存在です。中古車市場では台数が少なくマニア向けですが、そのぶん割安で手に入るケースもあり(元値が高いためリセールは低め)、往年の英国高級車のクラフトマンシップを手頃に味わえるチャンスでもあります。

ぜひジャガーとデイムラーの背景を理解し、自分のニーズに合った一台を見極めてみてください。
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