ジャガーとデイムラーの違い!一見するとそっくり!?
更新日:2024.09.09

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イギリスを代表する自動車メーカーといえば、ジャガーが有名ですが、そのジャガーよりも歴史が古く、戦前に隆盛を極めていたデイムラーというブランドが存在していたのをご存じでしょうか。ジャガーとデイムラー、それぞれの名前を冠したモデルは、一見すると似ているようでも詳細を見比べてみるとその違いがよく分かります。今回はそんな似ているようで似ていない、ジャガーとデイムラーについて紹介します。
文・西山昭智
文・西山昭智
ジャガーの歴史
ジャガーの前身となるスワロー・サイドカー・カンパニーが設立されたのは1922年。サー・ウイリアム・ライオンズとその友人が創業者となり、オートバイのサイドカーを製作する会社として誕生しました。
1927年になると、初の4輪自動車オースチン セブン スワローを発表(同時に社名をスワローに変更)。これはオースチンのシャシーにジャガーが製作したボディをかぶせたモデルで、発売されるやたちまち評判となります。
シャシーから自社開発したSS1との生産を開始したのは1932年のことで、1934年には社名がSSカーズに変更されました。SSカーズは、1935年に新型を発表、それ以降のモデルにはすべて「ジャガー」というペットネームが与えられることになりました。
第2次大戦後の1945年に製造を再開する際、”SS”がナチス親衛隊を想起させることから、「ジャガー」としてリ・スタートを切ることになりました。
1927年になると、初の4輪自動車オースチン セブン スワローを発表(同時に社名をスワローに変更)。これはオースチンのシャシーにジャガーが製作したボディをかぶせたモデルで、発売されるやたちまち評判となります。
シャシーから自社開発したSS1との生産を開始したのは1932年のことで、1934年には社名がSSカーズに変更されました。SSカーズは、1935年に新型を発表、それ以降のモデルにはすべて「ジャガー」というペットネームが与えられることになりました。
第2次大戦後の1945年に製造を再開する際、”SS”がナチス親衛隊を想起させることから、「ジャガー」としてリ・スタートを切ることになりました。
デイムラーの歴史
一方のデイムラーですが、こちらはジャガーよりも歴史が古く19世紀末の1893年に創立されています。
デイムラー・モーター・シンジケートと名付けられた会社は、ゴットリープ・ダイムラーが世界で初めて開発したガソリンエンジンをイギリスで生産することを目的に設立されたもので、当初はモーターボートにガソリンエンジンを架装することがおもな目的でした。
1896年には、自動車への生産に乗り出し、社名をデイムラー・モーター・カンパニーに変更。1900年には、イギリス王室の御料車を担当するまでに成長を遂げています(※ちなみに日本の皇室でも初の御料車としてデイムラー ランドレー57.2HPが採用されています)。
第2次大戦時には軍用車の生産も行なうなど、イギリスでの知名度を揺るぎないものとしたデイムラーでしたが、戦後になると自動車にまつわる環境が一変。デイムラーのような高級車を製造する自動車メーカーよりも、大衆向けの自動車を生産するメーカーの需要が高まり、1960年にジャガーの傘下となってしまいました。
デイムラー・モーター・シンジケートと名付けられた会社は、ゴットリープ・ダイムラーが世界で初めて開発したガソリンエンジンをイギリスで生産することを目的に設立されたもので、当初はモーターボートにガソリンエンジンを架装することがおもな目的でした。
1896年には、自動車への生産に乗り出し、社名をデイムラー・モーター・カンパニーに変更。1900年には、イギリス王室の御料車を担当するまでに成長を遂げています(※ちなみに日本の皇室でも初の御料車としてデイムラー ランドレー57.2HPが採用されています)。
第2次大戦時には軍用車の生産も行なうなど、イギリスでの知名度を揺るぎないものとしたデイムラーでしたが、戦後になると自動車にまつわる環境が一変。デイムラーのような高級車を製造する自動車メーカーよりも、大衆向けの自動車を生産するメーカーの需要が高まり、1960年にジャガーの傘下となってしまいました。
ジャガー、デイムラーを傘下に収める
デイムラーを傘下に収めたジャガーは、しばらくはデイムラーの生産を続けますが、1962年になるとジャガー MKⅡをベースに、デイムラー製V型8気筒2.5Lエンジンを搭載したデイムラー 2 1/2 V8サルーンを販売。
その際、デイムラーの特長であったグリル上部に波型の意匠が施されたフルーテッドグリルを継続して採用するなど、積極的にデイムラーのデザインや技術を活用するようになります。
このようにジャガー傘下となって以降もデイムラーはさまざまなカタチで存続されていたのですが、1966年には親会社であるジャガーが今度はBMCに吸収合併されてしまいます。
BMCの下でブランドが存続することになったジャガーとデイムラー。この両者は同じモデルにそれぞれのブランド名を冠するバッジエンジニアリングが積極的に活用されることになり、これ以降ほとんどのモデルにジャガーとデイムラーが存在することになります(唯一、デイムラーDS420が例外)。
その際、デイムラーの特長であったグリル上部に波型の意匠が施されたフルーテッドグリルを継続して採用するなど、積極的にデイムラーのデザインや技術を活用するようになります。
このようにジャガー傘下となって以降もデイムラーはさまざまなカタチで存続されていたのですが、1966年には親会社であるジャガーが今度はBMCに吸収合併されてしまいます。
BMCの下でブランドが存続することになったジャガーとデイムラー。この両者は同じモデルにそれぞれのブランド名を冠するバッジエンジニアリングが積極的に活用されることになり、これ以降ほとんどのモデルにジャガーとデイムラーが存在することになります(唯一、デイムラーDS420が例外)。
ジャガーとデイムラーの違い
このようにもともとは独立した自動車メーカーとして存在したジャガーとデイムラー。やがてジャガーに吸収されるカタチでデイムラーはなくなり、そのジャガーもBMCをはじめ、ほかの自動車メーカーの傘下となっていきます。それぞれの時代の親会社の意向もあってか、両社はOEMという関係でブランド名が残されてましたが、具体的に両者の違いはあるのでしょうか。
基本的にジャガーの高級グレードという位置づけになっているのがデイムラーで、名前もジャガーXJシリーズでは、6気筒版のXJ6がデイムラー ソヴリン(シリーズⅢでは、ジャガーの上級モデルがソヴリンになります)。V型12気筒版のXJ12が、ダブルシックスと呼ばれるなど、差別化が図られていました。
それぞれの見た目の大きな違いには、フルーテッドグリルが挙げられますが、決定的な違いはインテリアの豪華さで、デイムラーではウッド調ではなく本物のウッドパネル(希少なウォールナット材)が使われていたり、本革にはロールス・ロイスと同じコノリーレザーを使っていたり、フロアカーペットには高級ホテルで使われるウィルトンカーペットを採用していたりと、とにかく贅沢な内装に仕上がっています。
ちなみに1993年頃の日本における販売価格は、ジャガーXJ12が1,185万円だったのに対し、デイムラー ダブルシックスは¥1,400万円でした。
基本的にジャガーの高級グレードという位置づけになっているのがデイムラーで、名前もジャガーXJシリーズでは、6気筒版のXJ6がデイムラー ソヴリン(シリーズⅢでは、ジャガーの上級モデルがソヴリンになります)。V型12気筒版のXJ12が、ダブルシックスと呼ばれるなど、差別化が図られていました。
それぞれの見た目の大きな違いには、フルーテッドグリルが挙げられますが、決定的な違いはインテリアの豪華さで、デイムラーではウッド調ではなく本物のウッドパネル(希少なウォールナット材)が使われていたり、本革にはロールス・ロイスと同じコノリーレザーを使っていたり、フロアカーペットには高級ホテルで使われるウィルトンカーペットを採用していたりと、とにかく贅沢な内装に仕上がっています。
ちなみに1993年頃の日本における販売価格は、ジャガーXJ12が1,185万円だったのに対し、デイムラー ダブルシックスは¥1,400万円でした。
デイムラーの名前は、2005年に限定生産されたデイムラー スーパーエイトを最後に消滅。それ以降、デイムラーを名乗るモデルは生産されていません。しかし、現在のメルセデス・マイバッハのように、ジャガーの高級版として復活する可能性があるかもしれません。
西山昭智
大学卒業後自動車雑誌の編集部へ入社。アメリカ車を皮切りに輸入中古車やスーパーカー専門誌の編集部を経て独立。現在も紙媒体の自動車雑誌で編集および執筆を行なっている。正規販売ディーラーや中古車専門店などに取材を行なうことが多く、現場でしか聞けない業界の裏話的なものも取り扱い中。好きな車はフランス車。
