車の「フライホイール」の仕組みと役目とは?
更新日:2024.09.09
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数あるエンジン部品のなかにあって、もっともシンプルな構造で重たい部品がフライホイールです。エンジンをスムーズに回すという基本的な役目を担いつつ、一方でクルマのレスポンスを左右する重要な部品です。今回は、このフライホイールの原理や役目について紹介します。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
車のフライホイールは、なぜ必要なのか?
4サイクルエンジンは、正しくは4ストロークサイクルエンジン(Four-stroke cycle engine)のことで、次の4つの行程で1サイクルを終えます。
①燃料と空気をシリンダに吸入する「吸気行程」(ピストンは下降、吸気バルブが開いている状態)
②吸入した混合気を圧縮する「圧縮行程」(ピストンが上昇、吸排気バルブは閉じた状態)
③圧縮した混合気に点火して、燃焼(爆発)する「燃焼行程」(ピストンが下降、吸排気バルブは閉じた状態)
④燃焼ガスをシリンダから排出する「排気行程」(ピストンが上昇、排気バルブが開いた状態)
このなかで、ピストンを押し下げてエンジンを回すトルク(仕事)を発生するのは、③の「燃焼行程」だけです。残りの3行程は、惰性(慣性)で回ります。このとき、トルクの発生は間欠的となってしまい、トルク変動や回転速度の変動といった、回転ムラを引き起こします。
①燃料と空気をシリンダに吸入する「吸気行程」(ピストンは下降、吸気バルブが開いている状態)
②吸入した混合気を圧縮する「圧縮行程」(ピストンが上昇、吸排気バルブは閉じた状態)
③圧縮した混合気に点火して、燃焼(爆発)する「燃焼行程」(ピストンが下降、吸排気バルブは閉じた状態)
④燃焼ガスをシリンダから排出する「排気行程」(ピストンが上昇、排気バルブが開いた状態)
このなかで、ピストンを押し下げてエンジンを回すトルク(仕事)を発生するのは、③の「燃焼行程」だけです。残りの3行程は、惰性(慣性)で回ります。このとき、トルクの発生は間欠的となってしまい、トルク変動や回転速度の変動といった、回転ムラを引き起こします。
車のフライホイールの役目とは?
トルク変動の大きいエンジンを、そのままクルマに搭載すると、アイドリングが不安定になり、エンストしやすくなります。これを防ぐのが、フライホイールの役目です。
フライホイールは、クランクシャフトの後端に付ける重たい円盤です。「燃焼行程」で発生したトルクは、クランクシャフトを回す回転力になり、回転を維持しようとします。ところが、次の「排気行程」は、自力で回転できないので回転速度は低下します。特に、アイドリングのような低速条件では、回転の落ち込んでいる時間が長いため、エンストしやすくなります。
ここでフライホイールがその機能を発揮します。フライホイールがクランクシャフトにつられて回ることによって、フライホイールの回転の勢い(慣性力)が、回転低下を防ぐように働き、回転を維持します。
フライホイールは、ちょうどコマと同じような働きをします。コマは、径が大きく、重いほど、安定して回りやすくなります。フライホイールも同じで、エンジンをスムーズに回転させるために、フライホイールの径は大きく重たい方が、安定した回転を維持するのに効果的です。
フライホイールは、クランクシャフトの後端に付ける重たい円盤です。「燃焼行程」で発生したトルクは、クランクシャフトを回す回転力になり、回転を維持しようとします。ところが、次の「排気行程」は、自力で回転できないので回転速度は低下します。特に、アイドリングのような低速条件では、回転の落ち込んでいる時間が長いため、エンストしやすくなります。
ここでフライホイールがその機能を発揮します。フライホイールがクランクシャフトにつられて回ることによって、フライホイールの回転の勢い(慣性力)が、回転低下を防ぐように働き、回転を維持します。
フライホイールは、ちょうどコマと同じような働きをします。コマは、径が大きく、重いほど、安定して回りやすくなります。フライホイールも同じで、エンジンをスムーズに回転させるために、フライホイールの径は大きく重たい方が、安定した回転を維持するのに効果的です。
車のフライホイールの最適化について
フライホイールは、クルマの目標とする車両性能に応じて、最適に設計する必要があります。
フライホイールが重い場合、エンジン回転を安定させるという本来の効果が発揮されます。しかし、重い円盤をエンジンで連れ回すことになりますので、レスポンスは悪くなります。慣性重量が大きいぶん、加速しづらく、かつ減速もしづらくなります。
一方でフライホイールを軽くすると、エンジン回転のレスポンスは良くなりますが、トルク変動を抑えるという本来の効果が小さくなり、アイドリング時や低速時に回転が不安定になります。
レースに使うようなスポーツ車では、レスポンスを重視して、できる限り軽量化を狙ったフライホイールを採用します。バランスを取りながら円盤に穴をあけたり、さらなる軽量化のために、材質にクロームモリブデン鋼鉄やアルミ合金を使った軽量フライホイールが採用されています。
なお、トルコン付きAT車では、トルコン自体が大きな慣性重量になり、トルク変動を吸収するため、フライホイールは必要ありません。
フライホイールが重い場合、エンジン回転を安定させるという本来の効果が発揮されます。しかし、重い円盤をエンジンで連れ回すことになりますので、レスポンスは悪くなります。慣性重量が大きいぶん、加速しづらく、かつ減速もしづらくなります。
一方でフライホイールを軽くすると、エンジン回転のレスポンスは良くなりますが、トルク変動を抑えるという本来の効果が小さくなり、アイドリング時や低速時に回転が不安定になります。
レースに使うようなスポーツ車では、レスポンスを重視して、できる限り軽量化を狙ったフライホイールを採用します。バランスを取りながら円盤に穴をあけたり、さらなる軽量化のために、材質にクロームモリブデン鋼鉄やアルミ合金を使った軽量フライホイールが採用されています。
なお、トルコン付きAT車では、トルコン自体が大きな慣性重量になり、トルク変動を吸収するため、フライホイールは必要ありません。
フライホイールは、アイドリング時や低速時にエンジン回転の安定性を維持しつつ、車両のレスポンス、加速性能を損なわないように、必要最小限の大きさ、重さになるように設計することがポイントです。
エンジン技術が日々進化するなかで、昔からずっと変わらない目立たない存在ですが、重要な役目を担っている貴重な部品なのです。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。