遊びの域を超えたシミュレーター戦線
更新日:2024.09.09
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F1の世界では必須。それ以外の多くのカテゴリーでもすでに浸透し、確かな効果を上げているのがドライビング用のシミュレーターである。
text/photo:伊丹孝裕 [aheadアーカイブス vol.132 2013年11月号]
text/photo:伊丹孝裕 [aheadアーカイブス vol.132 2013年11月号]
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遊びの域を超えたシミュレーター戦線
▶︎コーナーの曲率はもちろん、ギャップや高低差も再現。そこを通過した時の衝撃や浮遊感がリアルだ。着替えが必要なほど体力も使う。
これはサーキットの情景をバーチャルで再現し、その乗車フィーリングまでもが体感できるというもので、コクピットも本物、またはそれに近い。ドライバーズシートにもぐり込むと、目の前の大画面には実際にコース上にいるのと何ら変わらない視界が広がっているのだ。
一体何ができるのか? それをすべて書き出していくと、それだけで本稿が埋まってしまうが、プログラムされている世界中のあらゆるサーキットを呼び出し、フォーミュラカーやツーリングカーで走行できるというのが主旨となる。
その時、スピードや走行ライン、エンジン回転数、スロットル開度、ブレーキ踏力等、あらゆる走行状態がモニタリングされ、ドライバーのスキルをデータ化。修正すべき箇所があれば、次のラップでそれを実践または検証する、という流れが屋内にいながらできるのだ。
また、セッティング変更も可能で、タイヤの空気圧やサスペンションのダンパー調整はもちろん、スプリングレートやキャンバー角、タイヤの摩耗度に至るまで、実車で起こり得る様々な状態が確認できる。
欧米ではこうしたシミュレーター育ちのドライバーが、すでにレースの最前線で活躍している。レース数が多く、サーキット間の移動距離が長いため、その負担を軽減するために急激に進化してきたのである。
これはサーキットの情景をバーチャルで再現し、その乗車フィーリングまでもが体感できるというもので、コクピットも本物、またはそれに近い。ドライバーズシートにもぐり込むと、目の前の大画面には実際にコース上にいるのと何ら変わらない視界が広がっているのだ。
一体何ができるのか? それをすべて書き出していくと、それだけで本稿が埋まってしまうが、プログラムされている世界中のあらゆるサーキットを呼び出し、フォーミュラカーやツーリングカーで走行できるというのが主旨となる。
その時、スピードや走行ライン、エンジン回転数、スロットル開度、ブレーキ踏力等、あらゆる走行状態がモニタリングされ、ドライバーのスキルをデータ化。修正すべき箇所があれば、次のラップでそれを実践または検証する、という流れが屋内にいながらできるのだ。
また、セッティング変更も可能で、タイヤの空気圧やサスペンションのダンパー調整はもちろん、スプリングレートやキャンバー角、タイヤの摩耗度に至るまで、実車で起こり得る様々な状態が確認できる。
欧米ではこうしたシミュレーター育ちのドライバーが、すでにレースの最前線で活躍している。レース数が多く、サーキット間の移動距離が長いため、その負担を軽減するために急激に進化してきたのである。
▶︎ステアリングやペダルの重さは実車同様で、キックバックもかなりキツイ。それゆえグローブの着用が必須となる。
日本でもようやく普及し始め、その先駆けになったのが世界に5台しかない最新シミュレーターを使用したレーシングジム「東京バーチャルサーキット」だ。
「最大のメリットは、リスクなく様々な検証が行えることです。実車で走る前にコースを知っているのとそうでないのとでは、結果がまったく違うのはもちろんですが、シミュレーター本来の目的はコースに慣れることではありません。というのも、様々な走行経験を通じて、速く走るためにどこに着眼し、何を改善し、そのためにどう操作すべきか。
そういうレーサー脳とも言うべき思考回路を構築することにあり、これが出来れば、どこへ行っても速く走れるようになるんです。そのために、我々のようなプロのインストラクターがリアルタイムで走りをチェックし、荷重が抜けたり、舵角を入れ過ぎた瞬間にそれを指摘。ドライバーに、その場で弱点の克服を促せるというわけです。
これまではコンマ1秒の短縮に、膨大な時間と費用が必要で、しかも何かにチャレンジしようとするとクラッシュの可能性がつきまとってきました。シミュレーターなら、そのすべてから解放されるはずです」と、インストラクターを務める塾長こと砂子智彦さんは語る。
プロドライバーがこのシミュレーターを使うと実車と変わらないタイムで走るという。つまりそれほどリアルなツールであり、実際、レースやテスト前にはトップドライバーも訪れる。その一方、一般ユーザーの趣味としても利用できるため、モータースポーツの新たなスタイルとして、今後広がりを見せるだろう。
日本でもようやく普及し始め、その先駆けになったのが世界に5台しかない最新シミュレーターを使用したレーシングジム「東京バーチャルサーキット」だ。
「最大のメリットは、リスクなく様々な検証が行えることです。実車で走る前にコースを知っているのとそうでないのとでは、結果がまったく違うのはもちろんですが、シミュレーター本来の目的はコースに慣れることではありません。というのも、様々な走行経験を通じて、速く走るためにどこに着眼し、何を改善し、そのためにどう操作すべきか。
そういうレーサー脳とも言うべき思考回路を構築することにあり、これが出来れば、どこへ行っても速く走れるようになるんです。そのために、我々のようなプロのインストラクターがリアルタイムで走りをチェックし、荷重が抜けたり、舵角を入れ過ぎた瞬間にそれを指摘。ドライバーに、その場で弱点の克服を促せるというわけです。
これまではコンマ1秒の短縮に、膨大な時間と費用が必要で、しかも何かにチャレンジしようとするとクラッシュの可能性がつきまとってきました。シミュレーターなら、そのすべてから解放されるはずです」と、インストラクターを務める塾長こと砂子智彦さんは語る。
プロドライバーがこのシミュレーターを使うと実車と変わらないタイムで走るという。つまりそれほどリアルなツールであり、実際、レースやテスト前にはトップドライバーも訪れる。その一方、一般ユーザーの趣味としても利用できるため、モータースポーツの新たなスタイルとして、今後広がりを見せるだろう。
あらゆる操作情報がリアルタイムで表示されるため、走行しながらでもインストラクターの指導を受けられる。
シミュレーターのタイプはフォーミュラ(左)とポルシェ(上)があり、特にポルシェは996の実車が流用されている。
東京バーチャルサーキット
住所:東京都港区赤坂6-6-19 メゾン・ド・ヴィレ1F
電話:03(6277)6354
営業時間:10:00〜20:00(不定休)
体験コース:¥5,000(富士スピードウェイ計測5ラップ)
通常トレーニングコース:30分¥10,000
いずれも要予約。詳しくはhttp://tokyovirtualcircuit.jp
住所:東京都港区赤坂6-6-19 メゾン・ド・ヴィレ1F
電話:03(6277)6354
営業時間:10:00〜20:00(不定休)
体験コース:¥5,000(富士スピードウェイ計測5ラップ)
通常トレーニングコース:30分¥10,000
いずれも要予約。詳しくはhttp://tokyovirtualcircuit.jp
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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。
text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。