“グニャグニャ”が琴線に触れる理由(ワケ)
更新日:2024.09.09
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2月14日が近づくと、僕のSNSのタイムラインには次々と、グニャグニャした線で描かれたフィアット500の絵が流れてくるようになった。イタリアの老舗チョコレートメーカーのマイアーニとフィアットは1911年からコラボ商品を作り続けていて、その日本専用スペシャルパッケージを贈ったり贈られたりする人が驚くほど多かった、というわけだ。
text:嶋田智之 イラスト:轟 友宏 [aheadアーカイブス vol.172 2017年3月号]
text:嶋田智之 イラスト:轟 友宏 [aheadアーカイブス vol.172 2017年3月号]
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“グニャグニャ”が琴線に触れる理由(ワケ)
■轟 友宏/Todoroki Tomohiro
1974年東京生まれ。神戸芸術工科大学卒業後に本格的な創作活動を開始。NY ART EXPOを始め国内外での作品展示を通じ、世界から注目を集める。幼い頃に感じた疾走する乗り物への憧れや驚きを、独自のタッチで描き出す“乗り物絵師”として人気を博している。www.car-art.info
その絵を描いた画家は、轟 友宏さん。今では日本の各地でも個展が開かれ、世界で唯一のタッチで描かれた微笑ましいクルマ達を鑑賞できるようになったが、実はそれより先に海外で認められたアーティストである。
欧米人以外のアーティストで、初めてイタリアのミッレミリア・ミュージアムに招かれて個展を開くなど、海の向こう側で話題になったことも多く、かの地のアートを愛する人達からの「私の愛車を描いて欲しい」というオーダーが相次いだ。
僕が初めてその独特な描線に目を奪われ、轟さん御本人にお会いしたのも、2011年のパリだった。
世界最大級の屋内型ヒストリックカー・イベント、レトロモビルの会場に展示された何点ものアートを、世界各国から訪れた人達がニコニコしながら鈴なりで眺めてる光景を前にして、“この人の絵は世界中で愛される”と予感したことを覚えている。
美術・芸術に深い造詣をちっとも持っていない僕になぜ予感することができたかなど、説明の必要はないだろう。
筆とアクリル絵の具だけで描かれたクルマ達は、写実の対極にあるような姿をしてるのに、今にも飛んで跳ねて走っていきそう。知らず知らずに笑みを誘われ、眺めてるだけでハッピーな気分になってくる。
巧みにデフォルメされたフォルム。直線のない描線に、実車には存在しないライン。ここにこの色? な色使いや、同じ絵の中でさり気なく使い分けられる何通りもの同系色といった、恐るべき色彩感覚。
キュビスムのようでキュビスムでもない独自の画法から生み出される絵は、実車を徹底的に観察した後、仕上がるまでに最短3ヵ月、最長2年半を要してきたという。今日描いて明日修正したくなる線もあるのだとか。それも含めてあらゆる部分が、実は猛烈に緻密なのだ。
轟さんの描くグニャグニャした絵は、クルマに乗る楽しさを鮮やかに表現した、人々の心の有り様を“写実”したものなんだと思う。だからこそ多くのクルマ好きが、一発で惹かれてしまうのだろう。
定期的にオーダー会もしているようなので、ご興味ある方はwww.car-art.infoをのぞいてみてはいかがだろうか。
1974年東京生まれ。神戸芸術工科大学卒業後に本格的な創作活動を開始。NY ART EXPOを始め国内外での作品展示を通じ、世界から注目を集める。幼い頃に感じた疾走する乗り物への憧れや驚きを、独自のタッチで描き出す“乗り物絵師”として人気を博している。www.car-art.info
その絵を描いた画家は、轟 友宏さん。今では日本の各地でも個展が開かれ、世界で唯一のタッチで描かれた微笑ましいクルマ達を鑑賞できるようになったが、実はそれより先に海外で認められたアーティストである。
欧米人以外のアーティストで、初めてイタリアのミッレミリア・ミュージアムに招かれて個展を開くなど、海の向こう側で話題になったことも多く、かの地のアートを愛する人達からの「私の愛車を描いて欲しい」というオーダーが相次いだ。
僕が初めてその独特な描線に目を奪われ、轟さん御本人にお会いしたのも、2011年のパリだった。
世界最大級の屋内型ヒストリックカー・イベント、レトロモビルの会場に展示された何点ものアートを、世界各国から訪れた人達がニコニコしながら鈴なりで眺めてる光景を前にして、“この人の絵は世界中で愛される”と予感したことを覚えている。
美術・芸術に深い造詣をちっとも持っていない僕になぜ予感することができたかなど、説明の必要はないだろう。
筆とアクリル絵の具だけで描かれたクルマ達は、写実の対極にあるような姿をしてるのに、今にも飛んで跳ねて走っていきそう。知らず知らずに笑みを誘われ、眺めてるだけでハッピーな気分になってくる。
巧みにデフォルメされたフォルム。直線のない描線に、実車には存在しないライン。ここにこの色? な色使いや、同じ絵の中でさり気なく使い分けられる何通りもの同系色といった、恐るべき色彩感覚。
キュビスムのようでキュビスムでもない独自の画法から生み出される絵は、実車を徹底的に観察した後、仕上がるまでに最短3ヵ月、最長2年半を要してきたという。今日描いて明日修正したくなる線もあるのだとか。それも含めてあらゆる部分が、実は猛烈に緻密なのだ。
轟さんの描くグニャグニャした絵は、クルマに乗る楽しさを鮮やかに表現した、人々の心の有り様を“写実”したものなんだと思う。だからこそ多くのクルマ好きが、一発で惹かれてしまうのだろう。
定期的にオーダー会もしているようなので、ご興味ある方はwww.car-art.infoをのぞいてみてはいかがだろうか。
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text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。
text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。