雨でも9万人近くが集まる MotoGP日本グランプリ

アヘッド MotoGP日本グランプリ

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冷たい雨に体温を奪われつつも、フルウェットだということが信じられないくらいのハイレベルなバトルを見せつけられ、手に汗を握ったツインリンクもてぎ。10月13日から開催された、2輪のロードレース世界選手権「MotoGP日本グランプリ」は、世界最速のライダーたちが、威信をかけてメーカーが作り上げたマシンを信じられないレベルで操り、クレイジーなバトルを展開する胸熱なレースだ。

text:サトウマキ [aheadアーカイブス vol.180 2017年11月号]
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雨でも9万人近くが集まる MotoGP日本グランプリ

雨でも9万人近くが集まる MotoGP日本グランプリ

▷現在MotoGPにファクトリー体制で参戦しているのは、ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、アプリリア、そして今年からKTMが加わり6メーカーとなっている。自分の乗っているメーカーだから応援したい、という気持ちも強いが、それ以前にMotoGPにおいてはライダーありきの人気となっていることは間違いない。ロッシのファンはバイクに乗っていない人もたくさんいるのだ。


今年はレースウィーク全日が雨だったにもかかわらず、前年度を上回る8万9501人の観客動員数を記録した。ツインリンクもてぎで行われる日本グランプリの観客動員数は、2006年に9万6000人もいた来場者数が、2011年には5万3000人にまでに減ってしまっていたのだ。しかし、ここにきて徐々に人が戻り始めている。

その要因のひとつに考えられるのが、バレンティーノ・ロッシという絶対的ヒーローの存在。彼の活躍や成績が、観客動員数と見事にシンクロしているのだ。38歳という年齢で現役として活躍し、現在までに9回(最高峰クラスでは7回)の年間チャンピオンを獲得している、いわば、MotoGPにおける絶対的王者だ。

2011年にドゥカティに移籍し、2012年はほとんど活躍することなく、成績が低迷する事態となった。この2年間の観客動員数は、東日本大震災の影響もあるが、ロッシの成績とともにワースト記録ともいえる5万人台にまで減少してしまった。

そして、2013年にヤマハに移籍すると6万1907人に。強さ復活の兆しが見えた2014年には7万271人に、さらに2015年には、ロッシがチャンピオンをとる可能性が高まる展開となり、なんと観客動員数は8万5400人にまで一気に回復した。
今年はケガによる欠場の影響でチャンピオン争いから脱落してしまったが、復帰したばかりのロッシを応援するために、アジア全域からファンが集結した。会場の約8割は、彼のイメージカラーである黄色いグッズを身にまとったファンたち。

ライバルである他のライダーが勝利したラウンドでは、ブーイングが起こるほど、ロッシのファンは狂信的ではあるが、ロッシの活躍と観客動員数のシンクロ率を考えると、このファンがいなくなったらどうなってしまうのだろう……。と、心配にもなってくる。

もちろんファクトリー参戦メーカーの増加、戦闘力の均等化、若手の活躍、ニューヒーローの台頭などなど、レース自体には面白さが満載なのだが、それ以前に今のMotoGPを支えている、バレンティーノ・ロッシという大きな存在に、改めて畏怖の念を抱かずにはいられない日本グランプリとなったのだった。

だが、38歳で闘うオヤジの希望ともいえる、現役のレジェンドは、今のうちに生で観ておくべき存在であることは間違いないのだ。

▷全18戦で争われるMotoGPの日本グランプリは、年間チャンピオンが決まるか決まらないかという、白熱した終盤に開催される注目のラウンドだ。さらに、日本メーカーにとってはホームグランプリとなるため、ライダーたちがスペシャルなヘルメットを用意して参戦するのも楽しみのひとつとなっている。今年はHondaのダニ・ペドロサ、マルク・マルケス、スズキのアンドレア・イアンノーネ、Moto3でHondaのマシンを駆るエネア・バスティアニーニが日本をリスペクトしたヘルメットで戦った。

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text:サトウマキ/Maki Sato
ファッション専門誌からバイク専門誌の編集部に転職した異例の経歴を持つ。現在はフリーランスのエディター&ライター。30代でバイクの免許を取得した。遅咲きながら、バイクへの情熱は人一倍、勉強熱心で努力家。ライディングの美しさには定評がある。
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