クルマとの“シンクロ率”をあげるナビ

アヘッド クルマとの“シンクロ率”をあげるナビ

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少し湾曲したヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)を通して、目の前に広がる風景が情報化されていく。現在位置、ルートガイド、交差点名に前方走行車との車間距離。レーザーによって描かれているというフルカラーの各種インフォメーションは、真夏の太陽の下でも鮮やかだ。「マトリックス」や「攻殻機動隊」、あるいは「電脳コイル」の世界が近づいたようでなんだかテンションが上がる。

text:山下敦史 [aheadアーカイブス vol.118 2012年9月号]
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クルマとの“シンクロ率”をあげるナビ

クルマとの“シンクロ率”をあげるナビ

パイオニアのカーナビ「カロッツェリア」シリーズでも特に独創的な先進技術を取り入れる「サイバーナビ」の最新フラッグシップモデル・AVIC―VH99HUDは、そのブランド名の通り「サイバー」だった。今では死語に近くなってしまったこの言葉にもう一度命を吹き込むようなインパクトを与えてくれる。

前モデルで導入された車載カメラの映像にナビ情報を重ね合わせる「ARスカウター」のコンセプトをさらに推し進め、今回はHUDを使ってドライバーの視界に直接情報を重ねるのだ。

ARスカウターにも相当驚かされたが、カメラ映像ではなく、自分の目で見ている道路の光景とナビ情報が同化するという今モデルは、まさに真のAR(強化現実)ナビと呼ぶにふさわしい。
これまでにもHUDを使ったナビがなかったわけではないが、ほとんどは最小限のガイドをフロントウィンドウに表示するに過ぎなかった。このサイバーナビが画期的なのは、現実の光景とルート表示や各種情報をリアルタイム、高精度でマッチングさせていることだ。

これは、パイオニアがこれまで積み重ねてきた精密な自車位置精度や、多くの情報を素早く認識させる表示技術、そうしたナビとしての基本性能の高さがあって実現できた、といえるだろう。

視界の中央ではなく、上方に情報が表示されるので、最初はつい視線を上げてしまうかもしれない。正直、戸惑ったのも事実なのだが、10分もすれば普通に前方を見ながらナビを読み取れるようになる。慣れれば運転中の視界を妨げないこの表示方法が理にかなっていると分かるはずだ。
ポータブルナビやスマートフォンのナビアプリが高機能化する中、据え置きナビはどうあるべきか。さらなる大画面化? 大容量化? 多機能化? だがパイオニアの答えは違った。スマート化、それも、ドライバーのスマート化だ。

ナビの役割とは、ドライバーの安全運転・快適運転をアシストすること。その本質をつきつめると、ナビとドライバーの融合へとたどり着く。そのためのAR技術なのだ。

このサイバーナビに慣れた後で、今度は普通のクルマを運転すると、何か物足りないような気に襲われる。うっかり携帯電話を持たずに出たときの心許なさ、あんな感じだろうか。

未来を先取りしたようなこのナビが、単純にガジェット好きをわくわくさせるというのも確かなのだけど、この変革はそれだけで終わらないように感じる。クルマが人の身体能力を拡張するように、ナビがドライバーの感覚や判断力を拡張する。

大げさに聞こえるかもしれないが、このナビはそんな広大な可能性を垣間見せてくれたのだ。

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