デザインに現れた「走破力」

アヘッド フォード・クーガ

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ようやくiPhone5発売の狂想曲も一段落してきた。流石に今回のデザインもいい。できることならカバーに入れず、素のまま使いたいものだ。

text:河村 大 photo:山岡和正 取材協力:グランデコスノーリゾート [aheadアーカイブス vol.119 2012年10月号]
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デザインに現れた「走破力」

デザインに現れた「走破力」

▶︎235/55R18のジオランダーI/T-Sを装着したフォード・クーガ。純正の235/50R18に比べ僅かに上がった地上高と相まって、深い積雪路でも4WD性能を存分に活かすことができた。


材料、質感、小型軽量化にユーザビリティ。従来、日本人が得意としてきた分野でこれほど鮮やかに造り込まれるとヤキモチのひとつも焼きたくなるが、これも故スティーブ・ジョブスの飽くなきこだわりが生んだものだ。唯一無二の製品を持つ歓びこそが真の「商品力」であることを彼は早くから見抜いていた。

ひるがえってタイヤの世界。黒一色のキャンパスは味気なく、性能こそ全て…と言いたくなるが、写真を見て欲しい。こんなにインプレッシブなスタッドレスタイヤは初めて見た。

スタッドレスではブロックの角が大切だ。できるだけ溝を縦横に走らせ、雪や氷にひっかかるカドが欲しい。でも圧雪路や氷上で活躍するギザギザの細溝も沢山欲しい。

それには接地面の広さが大切。排水用の溝も必要だ…。相反する要素の中で開発者は悩む。勢い、四角いブロックが無機質に並ぶ流行のパターンになりがちだ。タイヤの横腹しか見えない乗用車向けならそれもいいだろう。

でもSUVは違う。タイヤは存在感が大きく、対地アングルに優れた車体からはトレッドもよく見える。ここでビジュアルにこだわれるか否か。性能論者には些細な問題に見えるかも知れないが、そこにはモノ作りに欠かせないキーワードが潜んでいる。それは製品への「愛」。それは否応なしに形に表れるものだ。

でも愛だけではクルマは止められない。実際ジオランダーI/T-Sは重いSUVをどう支え、どう走るのか? それを、私は北海道は旭川のテストコースで真っ先に体感した。 新旧I/T-Sの乗り比べ。それは、驚きの連続だった。

違いは走り出して5秒で分かる。僅かにステアするだけでも反応の早さが違う。逆に、速く切ってもノーズがスッとインを向く。パイロンスラロームではブレイクするスピード域が全く違っていた。

いたずらに縦方向のグリップだけを突出させない、ヨコハマタイヤらしい造り込みにも感心した。氷上の制動性能も申し分なく、新型を試した後ではもう旧タイヤで街に出る気にはならなかった。

その後、春先の本州でもテスト。水気を多く含んだ雪の上で走らせたが、この感触は変わらなかった。印象的だったのはオンロード。夏タイヤよりノイジーで柔らかくなるのはスタッドレスの常だが、コンパクトSUVで移動してもキビキビ感は失われず、重量級のランクルでも腰砕けにならない。

SUVと言ってもそのサイズや重量はピンからキリまであるが、対象車種に見合ったセッティングが上手いのは夏タイヤでも随一のサイズバリエーションを誇るジオランダーならではのワザだろう。実はI/T-Sも国内最大のサイズ数。このこだわりに「愛」を感じるなら、男前のI/T-Sを是非お試しあれ。

▶︎ブロックパターン全盛の中、センターに極太のリブパターンを配置したジオランダーI/T-S。稲妻が走るような鮮烈なデザインが特徴だが、縦に長い接地面には無数のサイプが彫り込まれ、グリップにもハンドリングにも好影響を与えている。

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