日産が発表した可変圧縮比エンジンって、何がすごいの?

昔よりパワーダウンしてると思いませんか?

最近のクルマは、燃費は良いものの、パワーが足りないと思いませんか?

昔のようにNAでもリッター100馬力オーバー、ターボは280馬力規制の代わりにトルクを鬼のように太らせて…など、パワフル志向のエンジンが一部を除いて無くなってしまいました。

残ったのはスーパーカーなど、燃費を気にせずとも良いようなクルマばかりです。

現在のエンジンは、ピークパワーよりいかに低回転でのピックアップを大事にするなど、とにかく効率重視としています。

その代表的な例が軽自動車用エンジンで、ホンダのアクティ系と三菱を除けば、どれも「ロングストローク&高圧縮比の、低回転での効率を最重視したエンジン」に変わっています。

高圧縮比でノッキングを防ぐため、高回転まで気持ちよく回らない仕様で、このままだと内燃機関(エンジン)は全てこうなるのではと、危惧していたのです。

しかし、自動車メーカー各社は、しっかりと対策を練っていたのでした。

高圧縮比でノッキングを起こさない技術

トヨタのアトキンソンサイクルエンジンしかり、スズキのデュアルジェットエンジンしかり、マツダのSKYACTIVEはもちろん、各社とも高圧縮比によるノッキング(異常燃焼)回避技術に力を注いでいます。

一番簡単なのは、点火タイミングを遅らせて回避することですが、その場合、高回転まで回らずパワーダウンしてしまいます。そのため、圧縮した空気とエンジンを冷やすため、各社高度な技術を競い合っています。

そして、そこに全く別なアプローチ、それも革命的なメカニズムを持ち込んだのが日産でした。

圧縮比を変えるという発想

日産が発表した新型エンジン「VC-T」は、「高圧縮比が問題なら、必要無い時は圧縮比を下げれば良い」という発想で作られた、世界初の量産可変圧縮比エンジンです。

研究段階では過去にスウェーデンのサーブなどが作った事がありましたが、量産レベルまで持って行ったのは日産が初めて。

簡単に言うと、クランクシャフトにちょっとした細工を組み込む事で、ピストンの上死点、つまり燃焼室まで上がって行って圧縮をかける位置を、従来の固定式ではなく可変式にしたのです。上死点を下げれば圧縮はあまりかかりませんし、上死点を上げれば思い切り圧縮をかけられます。

これを可能にした「VC-T」は、低回転が重視される領域では高圧縮比による効率化で燃費を向上させ、高回転を重視する領域では低圧縮比でパワーを稼げます。圧縮比可変範囲は8~14ですから、1台で全く違うエンジンを積んでいるかのような効果を出せそうです。

成功すれば歴史に名を残せる

日産のすごいところは、他メーカーが「上がりきった圧縮比の対策メカや制御を組み込む」のに対し、「そもそも圧縮比が無駄なところで上がらないメカと制御を組み込んだ。」という、同じ目標に全く異なるアプローチで挑んだところ。

量産車での実績がまだ無いだけに、メカニズム的への信用はこれから築きあげていくしかありませんので、かなり思い切った冒険だと考えて良いでしょう。

もし成功してヒット作にでもなれば、日産の名がまたひとつ歴史に残る、それくらいすごいエンジンです。

まずはVQ系を更新

発表されたVC-Tは2リッター直4ターボエンジンで、2017年からクロスオーバーSUVのQX50(日本名 スカイラインクロスオーバー)がモデルチェンジするのに合わせて搭載。以後3.5リッターV6のVQ35HRなど、VQ系エンジンを更新していく、という予想になっています。

現状では直4ターボエンジンのみの採用ですが、うまくいけばV6など他の形式のエンジンにも採用されるでしょう。その過程で日本にも来年には入ってくるのでは無いでしょうか。

どのようなポテンシャルを持つのか、早く試してみたいですね!

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