一目で感じる走りへのこだわり

"M"モデルのフラッグシップに位置づけられるのがM6グランクーペだ。ベースとなったのは、4枚ドアをもつクルマとしては異例のエレガントさをもつ6シリーズグランクーペ。その長所を活かしたまま、冷却効率と空力性能を考慮したフロントグリルや、ファットなタイヤ、4本出しのテールパイプなどＭモデルらしいスパイスを効かせたスタイルは文句なしにカッコいい。なかでも注目したいのが凹状になったカーボンルーフ。ノーマルのサンルーフ付きと比べると重量はマイナス23kg。ルーフはもっとも高い位置にあるパーツであり、低重心化に及ぼす影響は大きい。Mらしいこだわりだ。
試乗車には約120万円のオプションである「Ｍカーボン・セラミック・ブレーキ・システム」が装着されていた。サーキット走行でも音をあげないパフォーマンスもさることながら、スタイリッシュなホイールの隙間から見えるゴールドのキャリパーとディスクの異様なまでの存在感にはシビれた。

もちろん、空力パーツもカーボンルーフもブレーキシステムも、走りという唯一にして究極の目的のために採用された機能パーツであり、決してファッションアイテムではない。しかし見る人が見れば、それらはＭ６グランクーペが内包するパフォーマンス、走りへのこだわりを暗示するものになる。ドアを開け、走り出す前から、Ｍ６グランクーペは明確な言葉で「特別な存在」であることを語り始めるのである。