CarMe[カーミー]|特別企画×BMW X5 M

物理法則を覆し、常識を覆す

大きく重く重心の高いSUV(BMWはSAVと呼ぶ)に、どうやったらこれほどの駆け抜ける歓びを与えることができるのか・・・。単に速いだけではなく、ダイレクト感溢れるハンドリング、路面に吸い付くような安定性、キュッと引き締まった走行感覚など、X5 Mは様々なシーンで驚くべき運動性能を発揮する。もちろん、工業製品である以上、X5 Mが達成した走りはエンジニアリングの勝利以外の何物でもない。しかし、このクルマのステアリングを握る人は、あたかも物理法則が覆され不可能が可能になってしまったかのような印象を抱くだろう。

世界的に流行しているSUVに驚くべき運動性能を持ち込んだX5 Mは、世界中の成功者たちから熱い支持を受けている。とりわけベンチャー企業系にオーナーが多いのは、己の力で不可能を可能とし、利益を生みだしてきた自分の生き方に、X5 Mの存在を重ね合わせているからなのかもしれない。

迫力と軽快感の見事な競演

4.4LV8ターボはM6と同じだが、最高出力は575ps、最大トルクは750Nmまで引き上げられ、トランスミッションも7速DCTではなく8速ATを組み合わせる。ZF社製8速ATはトルコン式だが、7速DCTに勝るとも劣らない変速スピードとダイレクト感を誇り、それでいて発進や低速域での滑らかさは一枚上手。スポーツ性とイージードライブ性の両立ポイントは途方もなく高い。

ドライブフィールをひと言で表現するなら「迫力と軽快感の見事な競演」となるだろう。ターボラグがないといえば嘘になるが、本格的な過給が立ち上がってからのダッシュ力は浮き世離れしているし、そのときに聞こえてくる勇ましいが艶のあるサウンドも最高にイカしてる。ストレート6でなくとも、BMW流エンターテインメントの礎になるのはエンジンだなと改めて感じた。

CarMe[カーミー]|特別企画×BMW X5 M

SUV界の革命者

フットワークは軽快だ。ステアリングを切り込んだ刹那の反応は、車重が2,360㎏もあるとはにわかに信じられないほどダイレクトで、安定したロール感もSUV離れしている。とりわけ「おおっ!」と思ったのが高速コーナーでのステアリングの正確性と路面にヘバりつくようなライントレース性。2トンを悠に超えるボディがきわめて安定した姿勢を保ったまま針の穴を通すような正確性で走行ラインをトレースしていく様は感動的ですらある。それでいて乗り心地も驚くほど上質なのだ。いったいぜんたい、どんな手段を講じればこうした走りが実現できるのだろう?ボディか、サスペンションか、空力か。きっと全部が関係しているに違いない。いずれにせよ、そこにはMでなければ味わえないサプライズが間違いなく存在する。単なる速いSUVではなく、シャシーを含めたインナーマッスルまで鍛え上げた「本物」であることがM5 Mの持つ真の価値だということを、今回の試乗で改めて実感した。

M6グランクーペがラグジュアリーとスポーツの融合による新たな地平線を描くモデルであるとするなら、X5 Mは、SUVにかつてないほど濃密なスポーツ性を持ち込んだ画期的なモデルと言える。約1,600万円という価格は決して安くはない。しかし乗ったら間違いなくその虜になるだろう。

CarMe[カーミー]|特別企画×BMW X5 M
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