ワーゲンバスがいまでも人気の理由

ワーゲンバス

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レトロな雰囲気が魅力のフォルクスワーゲン タイプ2(通称ワーゲンバス)。いまとなっては、新車で買うことのできないクルマです。しかし、発売から50年以上が経過した現在でも、根強い人気があります。その魅力とは何でしょう。

文・立花義人
Chapter
ワーゲンバスとは?
T1の歴史
T2の歴史
ワーゲンバスの魅力とは?

ワーゲンバスとは?

フォルクスワーゲン社は、ワゴンタイプの商用車トランスポルター(Transporter)を、第1世代(T1)から現在の第6世代(T6)まで販売してきました。

このうち、第1世代(T1)から第3世代(T3)までが「タイプ2」と呼ばれます。このタイプ2は、2型という意味で、すなわちVW社が1945年から販売していたタイプ1(通称ビートル)の、リアエンジン・リアドライブ機構を使った汎用モデルです。

日本では「ワーゲンバス」という愛称で親しまれているタイプ2は、世界中で人気があり、タイプ2をモチーフとした雑貨やおもちゃも多数販売されています。

ちなみに、第3世代(T3)のトランスポルターはかなり近代化されて、外観もモダンなデザインになったため、狭義にはT1とT2のみを指してタイプ2(ワーゲンバス)という名称が用いられます。

T1の歴史

ドイツにあるVW工場でタイプ1の生産が行われていた1940年代。タイプ1のシャシーをベースに、リアエンジン上に運転席を設置し、車体前方をまるまる貨物スペースとした特殊な運搬車が、工場内で使用されていました。

この運搬車を見たオランダ人の輸出仲介業者が、自身のノートにラフスケッチを記して、VWの経営責任者にアイデアを提案したことが、タイプ2開発のきっかけとされています。

タイプ1のシャシーに、1ボックス型のバンボディを架装したタイプ2(T1)が1950年に発売されるとすぐ、小型ながら丈夫で使い勝手が良いと評判になり、欧州市場、そして北米市場でも受け入れられました。

見た目は、タイプ1よりも大きく見えますが、実際の全長は大差なく、それでいて3列シートを配置できるほどの広い床面積。エンジンはタイプ1と同様の空冷OHV1,131cc水平対向4気筒を搭載。1964年には1.5仕様も追加されました。

ドイツでは1967年まで製造され、その後改良されたT2にモデルチェンジとなります。

T2の歴史

T1が北米市場において大成功を収めたことから、安全基準の引き上げと、排ガス規制(米国マスキー法)への対応、トルコンATの開発などの大幅改良が施されたのが、1967年登場のT2です。

シャシーリアエンジン・リアドライブの組み合わせといった基本構成は、T1から引き継がれたものの、左右独立型ではなく1枚となったフロントウインドウ、エクステリアデザインの変更、内装部品にソフトパッドや樹脂製品が採用されるなど、各所に改良が施されています。

T2は数度のマイナーチェンジを実施しつつ、生産は1979年に終了していますが、ブラジルではコンビ(Kombi)という名前で、2013年まで生産されていました。

ワーゲンバスの魅力とは?

1960年代にアメリカでヒッピームーブメントが起こると、当時中古として手に入りやすくなっていたT1が若者の間で人気となります。箱型で平面的なボディにサイケデリックな花柄やピースマークをペインティングしたタイプ2は、ワーゲンバスに乗る人が自由で気ままなライフスタイルを持つという、一つのイメージを与える要素ともなりました。

シンプルで愛嬌のあるフォルム、ほどよいサイズ感、空冷水平対向エンジン独特のバタバタ音、多彩なカスタマイズが可能であることなど、その雰囲気と独特の味わいは、いまだにファンを魅了してやみません。

世界的に人気があるタイプ2は、古いクルマですから、程度の良いものを探すのも難しくなってきています。特に人気のあるT1は、中古車相場でも400万円以上と、高級車並の価格になります。しかも、旧車としての扱いの難しさや維持管理にも気を使う必要がありますので、そう簡単に乗ることはできないかもしれません。

現代の安全基準や環境性能に合わせるとなると、タイプ2のようなクルマを作ることはできません。乗れば乗るほど愛着がわいてくる、そんなアナログな雰囲気のワーゲンバスが人気なのも頷けます。

レトロでおしゃれな雰囲気と、乗る人のライフスタイルに合わせてカスタマイズする楽しさがあるワーゲンバスは、最近のクルマでは味わえない不思議な魅力があります。日本車をベースにしたワーゲンバスのカスタムカーもあるようですので、個性的な雰囲気がお好きな方はぜひ探してみてください。

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文・立花義人
フリーライター。5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
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