〜カーライフエッセイスト 吉田由美さん〜
「HKSのプリウスに乗って、その印象を書いてほしい」。そんな依頼をいただいた時、正直驚きました。
なにしろ、自動車業界の中で”ドレスアップ”や”チューニング”といった世界から一番遠いところにいる。そんな私でいいの?
しかし、HKSの「ハイパーマックスG」が装着されたプリウスに乗ってみて、私にお話が来た理由が分かったような気がしました。
写真/宮越 孝政 文/吉田 由美
ひと言で「足回りのカスタム」というと、レースとか走り屋といったイメージが浮かびます。
けれど実際には、そんな人たちが求めているようなハード系カスタムだけではなく、乗り心地を良くするためのカスタマイズもあります。
段差を乗り越えたときの突き上げによるショックが穏やかになったり、乗り味が丸くなったり、ハンドルを切ったときに車が傾くスピードが遅くなったり、走行中の揺れが抑制されたり。
そうなることで、運転時や同乗したときに、体の疲労が軽くなり、腰痛の解消なども期待できます。
HKSが独自開発した「ハイパーマックスG」は、モータースポーツを楽しむより、一般道を快適に走りたい。
純正部品と同じ形状を保ちながら、パーツひとつひとつの精度を高めつつ、シャフトを太くしたり、スプリングをオフセットさせるなど設計を見直すことで、フリクションを減らし、現行プリウスで気になるバタついた乗り味を軽減しています。
足回りの交換というと、低い車高をイメージされる方も多いと思いますが、HKSでは高さの調節をしながら実際に走行して、実用性を損なうことなく、かつ乗り心地も確保できる最もバランスの良いところに収めているそうです。
というわけで「ハイパーマックスG」が装着されたプリウスで都内から横浜まで走ってみました。
横浜・元町ストリートの石畳の道では、”違いの判らない私“でも、体に伝わるショックの少なさで、その効果を実感。
大きめの段差を乗り越えたときにおさまりが良いと感じるのは、バネの強度を20%増強、さらに適正な減衰力にセットされているからだそうです。
その効果は高速道路でも、車両の“安定感”という形で感じることができます。ふらつきが少ないことと微振動が少ないので、敏感な同乗者でも安心して車内でくつろいでもらえそう。たとえ微振動だとしても、それが長時間続くと体は知らないうちに疲労してします。
かといって、まったく振動がないのもそれはそれで感覚と合わずにちょっと気持ち悪い。
“適度な”というのが一番難しいのですが、それが自分の感覚と合っていれば車での移動は快適です。
私は自然に受け入れることができたので、私の感覚に合っていたのだと思います。
これを女性に分かりやすく例えるならば、皆が冬場に履くタイツ。
男性にはわかりづらい例えかもしれませんが、タイツには使う糸の太さ(重さ)を表す「デニール」という単位があり、その数字が大きくなると、生地が厚くなり、温かくなります。
100デニールなら、生地が厚くて温かいのですが、脚が太く見える。そこが女性にはツラいところ。
また同じデニールでも、メーカーによって肌触りや履き心地、サポート感などが違います。
私は今のところ、脚も細く見えるし適度な厚さ、サポート感、肌触りのトータルで、30デニールの「カルバンクライン」がお気に入り。
真冬はもう少し厚手の50デニールや60デニールを履いています。
つまり何が言いたいのかというと、30デニールと40デニールの差はわずかですが、気になる人は気になるし、分かる人は分かる。
でも、明らかに履き心地や見た目が違い、自分の目的やファッションに合いつつ、少しでも綺麗で細く見えるものが見つかると嬉しい。
クルマの乗り心地は、このタイツのようなものです。
その違いを知らなければ気にならないけれど、より良いもの、自分が求めているものに出会えると嬉しい。
HKSの「ハイパーマックスG」は、そんな自分好みの乗り心地を求める人たちの期待にも応えることができる高性能なサスペンションなのです。