ユピテル製品を見ると日本のドラレコの進化がわかる

ユピテル 取材画像

自動車好きにはレーダー探知機の存在がしばしばクローズアップされる㈱ユピテルですが、じつはドライブレコーダーに関しても、早くから市場に参入し、技術を磨いてきた国内屈指の老舗メーカーなのです。そんなユピテルで、ドラレコの進化について伺ってきました。

Chapter
2009年にコンシュマー向けモデルを投入
360度カメラの欠点をカバーする720度撮影を開発!
スマホとの連携でよりコンパクトになったドラレコ

2009年にコンシュマー向けモデルを投入

ドライブレコーダーは、いつごろから普及したものなのでしょうか?

ユピテル庄司さん「日本では2003年ごろからタクシーやバス、トラック会社など、自動車を日常的に使う業務向けとして導入がはじまりましたが、一般のコンシューマー向けの製品はありませんでした

ユピテルがコンシューマー向けにドライブレコーダーを発売したのは2009年のことで、当時、コンシューマー向けのドライブレコーダーを販売していたのはユピテルのほかに2社程度。まだまだ一般には認知されていなかったので、販売はかなり苦戦しましたね

この当時、コンシューマー向けドラレコ市場に参入したメーカーで残っているのは、ユピテルだけ。いまや老舗のメーカーとなっているそうです。当時の製品はどんなものだったのですか?

ユピテル庄司さん「初期の製品は、本体が缶コーヒーぐらいのサイズで、価格も4万円台と高額でしたね」

いまでこそドライブレコーダーの存在は、装着しているだけで犯罪の抑止力になったり、記録映像が裁判の資料になったりと、ひろく認められていますが、当時はそういった効果もはっきりせず、価格も高かった。多くのユーザーが二の足をを踏んでいたのは当然のことでしょう。

360度カメラの欠点をカバーする720度撮影を開発!

ユピテル庄司さん「最初は苦戦したドラレコですが、その流れが変わったのは、2012年の京都の祇園で発生した軽自動車の暴走事故でした。事故の様子が被害者となったタクシーのドライブレコーダーに記録されており、その映像がテレビのワイドショーなどで何度も流されたことから、注目を集めるようになりました」

最初の機種を発売してから約3年後の2012年。ユピテルの製品は、サイズ、価格ともに抑えられ、2万円を切る価格とコンパクトなサイズで大ヒットとなりました。

その後、ふたたびドラレコが注目されるのは、2017年の東名高速で発生したあおり運転による死亡事故や、2019年の常磐自動車道で発生したあおり運転事件でした。

東名高速の事故はリアの映像が、常磐自動車道では室内の映像がそれぞれ注目され、ドライブレコーダーもフロントカメラのみから、フロント+リア2カメラタイプ、そして前後左右をカバーする360度タイプへと変化してきました。ユピテルではどのように対応してきたのでしょうか?

ユピテル庄司さん「前後2カメラを録画する技術は、それほど難しいものではなく、2017年には製品化されていました。360度カメラタイプに関しても、常磐道の事件よりも前に各社製品化していましたが、弊社では360度カメラの構造上の欠点を補うため、同時に720度撮影というタイプを発売していました」

ご存知のように360度カメラの映像は、水平方向にぐるっと半球形に撮影するもので、カメラの裏側になる部分に関しては死角になります。

ドラレコの場合、通常カメラのレンズはフロントウインドウ上部に取り付けられた本体の下側にセットされるため、車両の上方、つまり直前の信号機や看板が映らないという欠点がありました。ユピテルでは360度タイプを開発する際、この欠点に気づいており、360度カメラを2つ装備し全方位的にカバーできる720度撮影タイプを用意しました。

他社が360度で足踏みしているところに720度撮影を提案するところに、映像技術・マイクロ波・無線通信技術の専門メーカーとしてのこだわりを垣間見ることができます。

ユピテル「また360度カメラは超広角レンズのためにリアが遠く、さらに後方車両はリアガラス越しになるので、ナンバーが読み取りづらいという点も問題でした。360度+リアカメラはそれをカバーするもので、現在はこれが主流になりつつあります」

360度カメラにリアカメラを追加したことによって、フロントに取り付けられる360度カメラは前上がりに傾けることも可能になり、それまで360度カメラで問題になっていた直前の信号や看板も映像に残せるようになりました。ユピテルでは、さらに本体に首振り機能を持たせ、車種を問わず使えるように進化させています。

ここまでくると、ドラレコの進化はひと段落といったところでしょうか?

スマホとの連携でよりコンパクトになったドラレコ

ユピテル庄司さん「いいえ、そんなことはりません。現在は、映像から車線のはみ出しや車間距離を検知してドライビングを助ける機能を持たせたり、手持ちのスマートフォンにつないで、スマホ側に映像を残したり、映像を確認したりできるよう進化しています」

無線LANでスマホに繋いで常時映像を確認できるようになると、本体から液晶画面を取り外すが可能になるので、本体をコンパクトに設計できるというメリットが生まれます。

ユピテル庄司さん「その特性を活かしたモデルがY-400diです。フロントガラスに余計なものを付けたくないドライバーや、スマートにドラレコを取り付けたい、という方々に好評をいただいています」

これまでのドラレコには液晶画面がほぼ必須だったことで、どうしても長方形の筐体を使わざるを得なかったわけですが、液晶画面から開放されたことによって、今後はスマートな見た目を優先した設計が可能になるでしょう。

ドラレコの進化は、まだまだ続きそうですね。