彼女との出会いは先週。
職場の同僚が誘ってくれた飲み会、いわゆる合コン笑。
今日なんとかデートの約束を取り付けた…。

彼女と初めてのデート

平日の多忙な仕事を終えて、ついにやってきた土曜日。自分のクルマを引っ張り出して、ドライブ。 合コンのときにアイドルグループの話題になり「へえ、乃木坂ってホントにあるんだ。ちょっと行ってみたいかも」なんて彼女は言うもんだから、じゃあ行ってみよう、ってわけ。 とはいうものの、慣れない都内の道はなんとなく心許ないし、僕のジムニーの本来の居場所じゃない気もするな。

待ち合わせ場所で彼女と合流。僕のアピオジムニーを見ると目を丸くしていた。 「なんだか凄いけど…可愛いクルマだね」なんて言ってくれた。約束通り乃木坂に行き、乃木神社で参拝。 そこからクルマを停めて東京ミッドタウンまで歩いてカフェテラスで一休み。 たくさん歩かせてごめんね、なんて話ながら、なんとなく趣味の話に。 「こないだも少し話したけど、夜空を見るのが好きでさ。天体観測が趣味なんだ」と僕。 彼女は「なんだかロマンチストなんですね」と。おっと、よし好印象。

「私、流れ星を見てみたいな。でも難しいですよね…」彼女は一瞬目を輝かせたが、伏せ目がちに僕に問いかけてきた。 こんなときは、「今度行こうね」と言えばよいのかもしれない。でもなんとなくそんな返事を彼女は待っていない気がした。 それに、「今度」なんて永遠に来ない事の方が多いんだ。「だったら、これから見に行こうよ」僕は途端に彼女にそう言った…

行き先は…僕だけの星空シアター

彼女は急な僕の提案にキョトン顔。けどすぐに笑顔になって「いきます!」なんて返事をくれた。 結構大胆なノリの良い娘なんだな。幸い、前回行った時のグッズをジムニーにそのまま搭載しているからこのまま行ける。 こうしたアウトドアでの利便性こそジムニーの魅力なんだ。

行先は長野県下伊那郡に。僕がよく行く、僕だけの星空シアターがある場所なんだ。 標高1,400mで見る星空は格別に最高さ。すぐにミッドタウンを後にし、外苑から首都高へ。 このまま中央道に接続して3時間のドライブ。 いきなりジムニーでロングドライブになったけど、アピオで組んだ足回りは車高こそ上がってはいるものの、ハイウェイでも十分な性能を持っている。 それに彼女はいつもより高い車窓を楽しんでくれているみたい。

アピオジムニーで楽しいドライブ

中央道の飯田ICを降りるころには少し陽も陰ってきた。ワインディングも難なく抜けていくアピオジムニー。 本当にバランスの良いセッティングだな、と思う。僕だけの特等席へ行くには少し林道も抜けなきゃならない。 「ちょっと揺れると思うけど、ごめんね」彼女にそう言うと、「こんな道クルマで走ったことない、楽しみ!」なんてワクワクしている様子。 見かけよりアクティブなんだな。

林道やダートこそジムニーの真骨頂。45mmリフトアップしてあるから、ちょっとした悪路はなんてことはない。 「こんな狭い道、というか道なの!?大丈夫?」不安そうな彼女。僕にとってはなんてことなくても、初めて来る彼女には無理もないよね。 日も落ちてきたし、彼女の不安を和らげるように「このクルマは特別だから大丈夫。それにこの先に最高の場所があるんだ。」と。 「そうなんですね、なんだかワクワクする!」彼女は不安よりその先の好奇心の方が勝っているようだ。

林道を抜けて勾配を登る。少しでも、星に近づきたい…というより、彼女に近づきたい、というのが本音か。 星は決して手が届かないけれど、目の前にいる彼女には手が届くんだ。 いや、これはそんな物理的な問題じゃないんだけど、とにかくそんな思いをもってジムニーを走らせた…

彼女と見る綺麗な星空

そうこうすると僕だけの特等席が眼前に。「さあ着いたよ」クルマを降りて設営にかかる僕。 黙っていても彼女はジムニーからの荷下ろしを手伝ってくれた。なんだかんだと気が回る娘だな。 標高が高いから、春でも夜は本当に寒い。火を起こし、暖をとる。すると彼女はこんなことを語りだした。 「私、”いつか”とか”今度”とか、そんな風に待ちぼうけばっかりで…。でも貴方はすぐにここに連れてきてくれた。ごめんなさい、ほんとは流れ星が見たかったわけじゃなくて…」

皆まで聞かなくともなんとなく、彼女の伝えたいニュアンスはわかった。でも、今までの相手とは違う、というものを感じてくれたら、僕はそれでいい、充分だ。 「ほら、あのあたりが北斗七星だよ。北斗七星って星座じゃないんだ。おおぐま座のしっぽあたり。星座の一部ってことなんだよね」僕はわざとすっとぼけてそんな蘊蓄を語る。 彼女は夜空を見上げて、「素敵…」と答えた。彼女の眼は心なしか涙ぐんでいた。そんな彼女がなんだか無性に愛おしく思えてきて、僕は自然と彼女の肩を抱いていた。
気が付けば、星にも彼女の心にも近づく事ができた。これもある意味アピオジムニーのおかげかもしれない。 ふとジムニーに目をやると、焚き火の灯りに照らされる姿が誇らしげに見えた。俺のおかげだぞ、といわんばかりに。