マイルドハイブリッドって、なにがマイルドなの?

広瀬すずさんが出演するスズキ 新型ワゴンRのCMで、認知度が高まった”マイルドハイブリッド”。初めて採用したのは、2001年に発売された直6エンジン最後の11代目トヨタ クラウンです。マイルドとは優しい、穏やかの意味。いったいなにが、マイルドなのでしょうか?

Chapter
マイルドハイブリッドの語源は?
なにがマイルド?当時のガソリン車との比較
初代プリウスとの比較

マイルドハイブリッドの語源は?

マイルドハイブリッドは、いわば商品名。通称です。ハイブリッドの形式としてはパラレル式で、モーターは発電機兼用です。そのためEV走行はできません。

トヨタ マイルドハイブリッドシステム(THS-M)では、ISG(インテグレーテッド スターター ジェネレーター)がモーター/ジェネレーターとして搭載され、アイドリングストップ中のエアコン駆動や、エンジンの再始動を行います。EV走行はできませんが、エンジン再始動までの間、モーターによるクリープ走行も可能です。

現在、スズキが採用するマイルドハイブリッドも、ほぼ同様の働きをしています。

このマイルドハイブリッドの語源はというと、当時のクラウンのカタログにも明記されていません。なぜ”マイルド”ハイブリッドと名づけられたのでしょうか?考察してみたいと思います。

なにがマイルド?当時のガソリン車との比較

11代目クラウンに搭載されたマイルドハイブリッドは、3.0L直6の2JZ-FSEエンジンに組み合わされていました。

同エンジンは、ガソリンモデルにも搭載されており、そのスペックは最高出力220ps/5,600rpm、最大トルク30.0kgm/3,600rpm。対するマイルドハイブリッドに載った2JZ-FSEエンジンは、最大トルクこそ同じものの、最高出力は200ps/5,000rpmとややマイルドな味付けでした。

燃費は、ガソリンモデルが10.15モードで11.4km/L、マイルドハイブリッドで13.0km/L。低燃費化の割合はベースエンジンより14%程度と、やっぱりマイルドでした。

数値上の向上は控えめですが、エンジンの燃焼効率がよろしくない低速域や加速時にモーターがアシストしてくれるので、環境に対してもマイルドです。

初代プリウスとの比較

時代的に、クラウンのマイルドハイブリッドは、他車に劣るものではなかったのですが、それでもマイルドと謙虚にならざるを得ませんでした。その原因は初代プリウスの存在にあります。

初代プリウスに搭載されたハイブリッドシステム THS-Iは、シリーズ・パラレル式で低速域でのEV走行や減速時の回生充電も可能。すでにフルハイブリッドとして完成されていました。

その燃費は、THS-Iと組み合わせられるエンジンが1.5L直4アトキンソンサイクルの燃費指向型であったこともあり、当時としては驚異的な31.0km/L(10.15モード)。当時、1.5L直4エンジンを搭載したカローラの燃費が18.8km/Lだったので、60%程度の燃費向上を実現していたわけです。

この圧倒的な燃費性能の前では、わずか14%しか燃費を向上できなかったクラウンのハイブリッドは、マイルド(おとなしい)と言わざるを得なかったのでしょう。

余談ですが、クラウンマイルドハイブリッドは、ガソリンモデルの20万円高と、価格も控え目でマイルドなものだったことをつけ加えておきます。