変わる燃費基準。WLTPってなに?

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2017年現在、日本では「JC08モード」を燃費基準として、カタログ等へ表記することを義務付けています。とはいえ、このカタログ数値と実際の燃費の乖離を実感したことがあるというオーナーは少なくありません。そんなユーザーの意見を受けて、新たな燃費基準「WLTP」が導入され、第一弾として先日マツダがCX-3で、新たな基準による認可を取得しました。このWLTPの導入で、カタログ燃費はどのように変わるのでしょうか。
※画像はいずれもイメージです。

Chapter
カタログ数値との乖離問題
新燃費基準、WLTPとは?

カタログ数値との乖離問題

日頃から愛車の燃費をチェックしている方は多いと思います。なかには”カタログ数値より燃費が良い”という方もいるかもしれませんが、ほとんどは”カタログ数値の燃費に到達したことなんかない!”のではないでしょうか。

逆にいえばカタログ数値は、”そういうもの”と参考程度に考える感覚もあろうと思います。そのため、三菱燃費偽装事件が発覚した際も「そりゃ偽装するのは悪質だけど、そもそも…」という感想を持った方も多いのではないでしょうか。

これは、メーカーが行う燃費の計測方法と、我々日常生活で使用する環境との乖離があるため、と長年指摘されてきました。

かつては、60km/hでテスト走行を行ったデータを「定地燃費」として表記していましたが、これはあまりにも非現実的な測定ということで、1973年に、市街地を想定した10項目の走行パターンを想定した「10モード燃費」に。その後、1991年に郊外を想定した15項目の走行パターンを加え「10・15モード燃費」となりました。

なんだか懐かしいと思う方もいるでしょうね。しかしこの10・15モード燃費も”現実の数値とかけ離れている”という批判が多く、2011年4月に現在採用されている「JC08モード燃費」へと刷新されました。
それまでの10・15モードは、エンジンが温まった状態(ホットスタート)による測定でしたが、JC08モードでは実際の使用環境になぞらえたコールドスタート時(燃料が濃い状態)の計測が25%ほど加えられます。

またテストにおける走行距離、テスト時間も約2倍に引き延ばされ、より日常使用の環境に近づける方向に寄せてあり、当然ながら10・15モードよりも数値は下がる傾向となっていました。

■JC08モード計測条件 ※()内は10・15モード
・平均速度…24.4km/h(22.7km/h)
・最高速度…81.6km/h(70km/h)
・所要時間…1,204秒(660秒)
・走行距離…8.172km(4.165km)
・アイドリング比率…29.70%
・コールドスタート比率…25%

日常の環境に近づけたJC08モード燃費ですが、やはり実燃費との乖離の声が多く指摘されており、2018年10月から国際基準「WLTP」に全面的に移行される予定となっています。

この「WLTP」とはどのような計測基準なのでしょうか?

新燃費基準、WLTPとは?

今後導入される予定の「WLTP」とは”Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure”の略で、日本語では国際調和排出ガス・燃費試験方法と呼ばれるものです。

この試験サイクルが先日マツダが認可を取得したWLTCで、車両の最高出力と空車重量の比であるPMR(Power Mass Ratio)と最高速度に応じて適用サイクル(クラス)が変わります。また、試験車両の重量は、乗員分として100kgの重量を加算するとともに、積載可能な重量に積載率をかけた重量をプラスしたものとするなど、実際の使用環境により近づいたものとなっています。

日本で認証を受けている乗用車は、軽自動車を除くほぼすべての車両がクラス3の最高速度120km/h以上に分類され、計測条件は以下の通り。試験サイクルは、低速、中速、高速および超高速という4つフェーズで構成されますが、日本では超高速フェーズは計測されません。

■WLTPモード(Class 3b)計測条件 ※()内はJC08モード
・平均速度…36.57km/h (24.4km/h)
・最高速度…97.4km/h (81.6km/h)
・走行時間…1,477秒 (1,204秒)
・走行距離…15.01km (8.172km)
・アイドリング比率…15.4% (29.7%)
・コールドスタート比率…100% (25%)

JC08モードの条件と比較すると、計測速度が向上し、走行時間、走行距離が増えていますね。またアイドリング比率が下がり、コールドスタート比率が100%となっているのも現実的な使用に近づいています。

JC08モードではアイドリング比率が29.70%という状況だったので、アイドリングストップ機能ありの車種では数値は悪くなり、反対にアイドリングストップ機能非搭載車では、数値が良くなる傾向になるといわれています。

また、コールドスタート率が増加したことで、全体に数値が悪くなることが予想されます。特にハイブリッド車では、低速時をモーターで走行してしまい暖気が遅れることや、それにともない触媒による効果が上がらないため数値が悪化することになります。

言い換えれば、これまではハイブリッドモデルに有利な計測モードだったといえるわけで、このWTLP導入でより現実的なカタログ数値に落ち着く、という期待感もユーザーサイドにはありますね。他方、良い数値を出したいメーカーとしては戦々恐々といった状況かもしれません。

いずれにせよ、ユーザーにとってカタログ数値は、わかりやすく明確な指標でなければ意味がありません。このWLTPモード導入で改善されていくのか、期待しましょう。

■マツダCX-3燃費
エンジン 変速機 駆動 JC08モード WLTCモード 市街地(WLTC-L) 郊外(WLTC-M) 高速道路(WLTC-H)
SKYACTIV
-G 2.0
SKYACTIV
-DRIVE
2WD 17.0km/L 16.0km/L 12.2km/L 16.8km/L 18.0km/L
SKYACTIV
-G 2.0
SKYACTIV
-DRIVE
4WD 16.6km/L 15.2km/L 11.6km/L 15.8km/L 17.4km/L
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