立ちはだかるN-BOXの壁…新型ワゴンRは、なぜ不調なのか?

スズキ ワゴンR 2017

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軽自動車販売台数トップを走るのが、ホンダ N-BOX(2017年4月実績)です。その一方で、かつて軽自動車界にイノベーションを起こし、人気モデルとなったスズキ ワゴンRは、ここ数年ライバルの後塵を拝することを余儀なくされていました。そこで2017年2月にフルモデルチェンジを慣行、満を持して6代目を投入したのですが…。
Chapter
かつては軽の代名詞ともいえたワゴンRだが…
ワゴンRはなぜ売れないのか…?
ワゴンRの存在もターニングポイントを迎えているのか?

かつては軽の代名詞ともいえたワゴンRだが…

スズキ ワゴンRは、2017年2月にフルモデルチェンジを敢行、6代目モデルへと進化させました。ハイブリッドモデルはもちろん、軽ワゴンNo.1の室内長を実現したことも話題となりました。

スズキがこうした素晴らしいパッケージでワゴンRを仕上げたのは、やはり「打倒 ホンダ N-BOX」という思いが強くあったからではないでしょうか。

というのも、2016年度(2016年4月~2017年3月)の軽自動車販売台数は、N-BOXがダントツトップ、それを追うのがダイハツ タント、ムーヴ、日産 デイズという結果なのです。モデル末期とはいえ、ワゴンRの販売台数は9位。同じスズキの、アルト、スペーシア、ハスラーといったモデルに先行を許しているのが事実だったのです。

こうした状況を挽回、再び軽自動車のトップへ返り咲くため、スズキが新型ワゴンRの開発に気合を入れたのは想像に難しくありません。

しかし2017年4月(単月)の販売台数トップ5をチェックしてみると、
1、ホンダ N-BOX…12,265台
2、ダイハツ ムーヴ…12,004台
3、ダイハツ タント…11,926台
4、スズキ  ワゴンR…9,654台
5、日産 デイズ…9,193台
(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会 調べ)

このように新型を投入したにも関わらず、4位という状況に甘んじています。もちろん、昨年度よりも販売台数は向上してはいるものの、ホンダ N-BOXは、2017年秋のモデルチェンジが噂されているモデルであり、ワゴンRに影響を受けたダイハツ ムーヴにも水をあけられているという状況。

気合を入れて新型を投入したスズキとしては、忸怩たる思いがあるのではないでしょうか。

ワゴンRはなぜ売れないのか…?

※画像はホンダ N-BOX

トレンドというのは時代とともにうつろうものであり、明確な方程式があるわけでもありません。1990年代半ばにおいて、ワゴンRは衝撃的なパッケージでした。それまでの軽自動車で、あそこまで使い勝手の良いモデルは存在しませんでしたよね。

その後もスズキは、真摯にこのモデルを進化させ続けていきます。すべてをブラッシュアップして、初代とは比較にならないほどの商品力をもっているのが、現行ワゴンRでしょう。しかし登場からすでに22年が経過しており、キープコンセプトでは通用しない時代になっている、というのを奇しくも証明してしまっているのかもしれません。

初代の大ヒットを受け、後発のムーヴ、三菱 ekワゴン(日産 デイズ)、ホンダ N-BOXと、他メーカーではワゴンRをロールモデルとして進化させたモデルを発表し続けています。その一方で、スタイリッシュかつファニーなデザインで、若者や幅広い世代に訴求する新たな価値観を持ったモデル、ハスラーをスズキ自身が提案しています。

つまり、かつてのトレンドが継続されたマーケットであれば、高評価を受けたはずの新型ワゴンRですが、すでに軽自動車のトレンドが変化。いうなれば、ワゴンRのコンテンツ力に陰りが出た結果が、新型の販売台数にあらわれているといえるのではないでしょうか。

新型ワゴンR 画像ギャラリー

ワゴンRの存在もターニングポイントを迎えているのか?

軽自動車のスペック(サイズ・出力)は、規制という制約があったことで、各車収斂的進化を続け、現在ではその限界に近いところまで来ているといえるでしょう。つまり、どのモデルをチョイスしても、スペック面ではほぼ変わらない。では、どこで選ぶか…というと、やはりコンテンツ力といえます。

ホンダN-BOXのヒットは正直少し意外な気がしますが、やはりF1にも参加するなど(現在の戦績はさておき…)のホンダのブランド力や、かつてのN360を彷彿とさせるネーミングが、ともすれば軽自動車に対して消極的な消費者のマインドを後押ししているという面があるでしょう。またN-ONEやN-WGNという異なるコンセプトのモデルを仕立て、シリーズ展開という新鮮なイメージを持ち込んだのも奏功してそうです。

かつての大ヒットの反動で、ワゴンRには固定のイメージがこびりついているのも事実。こうした固定観念を避けたいという消費者マインドも、あるかもしれません。

いずれにせよ市場では、ワゴンRというパッケージそのものがターニングポイントを迎えているのかもしれません。
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