トヨタにおけるプリウスPHVは今後どのような位置づけとなっていくのか?

ついにリリースされる新型プリウスPHV。精悍なフロントマスクをはじめとした、プリウスとの差別化も話題になっています。プリウスPHVは、今後どのような位置づけになっていくのでしょうか…!?

Chapter
プリウスと差別化、別のベクトルへと進むプリウスPHV
スピード感ある進歩を続けるPHV
プリウスPHVはトヨタの考えるハイブリッドの理想形か
拡張性のあるPHVの存在

プリウスと差別化、別のベクトルへと進むプリウスPHV

2017年にリリースとなる新型プリウスPHVは、プリウスの派生モデルというべき存在であった先代と違い、独自のエクステリアデザイン、大幅に刷新されたパワーユニット、大画面タッチパネルを採用したコントロールユニットなど、もはやプリウスとは別車種というべき存在感を示しています。

パワーユニットの進化は著しく、リチウムイオンバッテリーの小型化&大容量化でEV航続距離は、これまでの約2倍となる60km以上を実現。さらには動力モーターに加え、発電用モーターも動力に転ずる機構「デュアルモータードライブシステム」を採用、EVモードでの最高速135km/h、という能力をもたらしました。

また、家庭用コンセントでの充電も可能になったことや、世界初といえるルーフ搭載ソーラーパネルでの動力への蓄電、エンジンを活用した「チャージモード」も装備。 これは、明確なる「EVとしての進化」を表しています。おそらく日常レベルの運用であれば、ガソリンをほぼ消費せずにドライブすることが可能なのです。

つまるところ、ハイブリッド車というよりは、ほとんどEVとして運用できるのがプリウスPHVの肝。そして今後その要素はさらに強まっていくでしょう。

スピード感ある進歩を続けるPHV

現在、環境面で一度は過去の技術となった過給器やディーゼルエンジンが見直されています。その歴史は非常に古く、ディーゼルエンジンは1892年、ターボのもととなる圧縮空気をエンジンに送り込む装置(リショルム式コンプレッサー)は1878年に特許が取得されたもの。つまり100年以上の時間を経て、熟成されたといえます。

他方で、ハイブリッド技術に必要となるモーター、バッテリーに関しては、クルマへの利用がなされたここ20年の間で、凄まじい進化のスピードを見せています。プリウスPHVだけで語っても、初代モデルがEV航続距離26.4km、最高速が100km/hであったのに対し、5年後の新型は先述のように、そのすべてを凌駕する数値を誇っています。

これはバッテリーの小型化、高性能化によるところが大きく、プリウスや各方面でのニーズが増えたことから量産化できた、また製品としてブラッシュアップできた、という好循環からもたらされたものです。

もしかしたら5年後には、EVモードでの航続距離、最高速ともに、現在の1.5〜2倍の性能になっているかもしれません。それだけ伸び代のあるPHVといえるでしょう。

プリウスPHVはトヨタの考えるハイブリッドの理想形か

もちろん、バッテリーを大量に詰め込んでEVモードの航続距離を増やす、あるいは純然たるEVにする、ということも現状の技術で十分可能です。しかしコストや、EVには無いエンジンによる動力と充電機能が、現実的な運用でのメリットになっているのがPHVの強み。

こうした点を鑑みると非常にうまくバランスをとっているパッケージだな、と感じます。

プリウスで出来なかったことを「チョイ足し」して、現時点におけるハイブリッドの理想形に仕立て上げたモデル、と言い換えられるかもしれませんね。

今後トヨタの取り組み次第では、プリウスとプリウスPHVのシェア逆転もない話ではない、そう思えてならないのです。

拡張性のあるPHVの存在

動力面、環境性能面に目が行きがちなプリウスPHVですが、エネルギー供給という付加機能があります。皆さんも近年「スマートグリッド」なんてワードを聞いたことがあるかもしれません。

その中の「スマートハウス」は、低炭素社会を実現するための取り組みとして、家の電力を太陽光や風力、また燃料電池などを組み合わせて環境への負荷を減らし、効率的に電力・エネルギーをマネジメントする機能「HEMS」(Home Energy Management System)を実用化し、家庭で運用を進めようとするものです。

これとPHVを連動させ、効率よくバッテリーを充電したり、使用直前に家の中からクルマの空調を操作したり、はたまた停電時や災害時にはPHVのバッテリーを家庭用の電源としたり、こうしたさまざまなことが可能なのです。現行プリウスPHVで最大で2日分の家庭用電力を賄えるとも言われています。

トヨタは関連会社として「トヨタホーム」「ミサワホーム」といった住宅関連の事業も行っており、この分野でもますます実用化が進んでいくと考えます。

走る、曲がる、止まる。自動車にはこうした基本性能が重要です。しかしプリウスPHVは、これまでの自動車には無かった活用方法によって、新たなイノベーションを生み出す重要な役割も担っていくのではないでしょうか。


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