世界のトヨタでもトランプ氏には敵わない!? 米中西部の工場に約680億円投資!

代表取締役社長 豊田 章男

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トランプ大統領が2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任しました。かねてより「過激な物言い」が賛否、また物議を醸してきたのは周知の通り。そんなトランプ氏、内需拡大を重点課題としており、日米両国の基幹産業…そう「クルマ」について日本メーカーにプレッシャーをかけているのです。
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日本メーカーも戦々恐々!?トランプ氏の「口撃力」
名指し批判されたトヨタは…
日本メーカーはトランプ政権とどう向き合うべきか?

日本メーカーも戦々恐々!?トランプ氏の「口撃力」

新大統領となったトランプ氏、当初は大統領に就任すれば現実路線に舵を切る…という見方もありましたが、どうやら一筋縄ではいかない御仁の様子。日本車にも高い関税をかける、という以前からのコメントはもちろん、2017年に入ってからも「メキシコ工場で作ったクルマには高い関税をかける」というコメントを発し、各メーカーもザワついているのです。

これまではメキシコ工場でクルマを生産しても、NAFTA(北米自由貿易協定)により関税ゼロで米国に輸出することができました。アメリカはもちろん中国より人件費等が低く、またアメリカと地続きであるメキシコの地政学的メリットもあり、多くのメーカーがメキシコ工場に投資をしようという状況だったのです。これには米フォード、そしてトヨタも含まれます。

しかしこの状況に物言いをつけたのがトランプ大統領。彼の政策は前述のように「アメリカ第一」であり、米国内で生産しなければ高い関税を課すぞ、それとNAFTAは見直しだ、なんて各社に脅しをかけているわけです。

これには米フォード社もひれ伏し、メキシコ新工場計画を撤回。またフィアット・クライスラー・オートモービル社は「空気を読んで」ミシガン、オハイオに工場を設置すると発表しました。

名指し批判されたトヨタは…

さて、ツイッターで名指し批判までされたトヨタはといえば、今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)の投資、さらに約6億ドル(約680億円)の追加投資をするとも発表。このようにトランプ大統領に迎合するプランを提示しています。

米国に本拠地を置くメーカーであれば、それは自国の大統領の意向止む無し、と受け止めざるを得ないわけですが、日本メーカーのトヨタまでが早々に、トランプ大統領の”指先で”言いなりになってしまったカタチ。

正直、日本や欧州の他メーカーはたまったものではないでしょう。自動車産業の盟主ともいえるトヨタがこうも簡単に折れてしまっては、他のメーカーも目を付けられては大変とばかりに、米国内投資の方向に舵を切らなければならなくなってしまうのではないでしょうか。

日本メーカーはトランプ政権とどう向き合うべきか?

現在のところ、トランプ政権に戦々恐々といったところで、大統領のツイートにも過剰に反応している感が否めません。トランプ大統領は「ビジネスマン」であり、政治家上がりではない存在、というのも不気味なところ。

言うまでもなく、日本にとって米国は最大のパートナーであり、経済だけでなく国防といった重要な面でもこれまで密な関係を築いています。そうした国に対して「投資をする」というのは間違ってはいないのですが、費用対効果という面では正直メリットが低いのが事実。

しかしトランプ大統領は米国内の経済、そして雇用を確保するために、こうした揺さぶりをかけているわけです。これは米国の経済にとっては間違いなくプラスになると考えますし、波及効果が見込めるでしょう。そこで重要なのは、日本のメーカー、ひいては日本経済にも確実にメリットが発生するのかどうか。
米フォードは日本で米国車が売れない不満をトランプ大統領に「陳情」したとしていますし、ドル高の是正を求めた、ともしています。これは日本車締め出しにもつながりかねないですし、トヨタがセンシティブに対応したのもこうした状況を鑑みて、といえるかもしれません。

いずれにせよ、相手の高い要求を鵜呑みにせず、交渉してソフトランディングさせる、という政治的判断が重要と考えます。

確かに国防面で日本は米国にアキレス腱を握られていますが、見方を変えれば自動車産業が「強み」となるのではないでしょうか。日本にはアメリカとしたたかに交渉していって欲しい、と願うばかりです。

米国大統領の任期は4年、最長で2期8年と定められています。さて、この間にどのような自動車産業、ひいては世界の変化が生じるのでしょうか…。
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