190馬力あるエスティマ…実はスポーツカーよりパワフル！？

ビッグマイナーチェンジを敢行したエスティマが変わらぬ人気を誇っています。居住性、スタイリング、そして熟成されたハイブリッド仕様の環境性能、そして走行性能。それぞれのトータルバランスが評価され続けている日本の名車、といっても差支えないのではないでしょうか。

さて、このエスティマ ハイブリッドのパワーユニット、なかなかパワフルなのです。

2代目からハイブリッド仕様がラインナップされ、現行ハイブリッドモデルは2世代目です。そのパワーユニットは、2.4L直列4気筒DOHCエンジン(150ps)と、前輪モーター(143ps)、後輪モーター(68ps)という3つの動力を搭載しています。

これらを単純に合算すれば361ps！になるのですが、エンジンとモーターのトルク特性が異なるため、単純な合計にはならず、システム出力は190psとなります。

また特筆すべきはそのトルクです。エンジンのトルクが19.4kgm、前輪モーターが27.5kgm、後輪モーターは13.3kgmという数値。もちろんECUにより最適化され、コントロールされますから、この合算した数字が最大トルクとはなりません。初期から最大トルクを発揮するモーター2台プラス2.4Lエンジンを搭載するので、2トン弱あるエスティマのボディも楽々加速させる事が可能となっています。

エスティマと現行のスポーツカー、たとえばトヨタ86と比較してみるとどうでしょう…

■トヨタ　86
2.0L水平対向4気筒エンジン　
最大出力…200ps/7,000rpm　
最大トルク…20.9kgm/6,400-6,600rpm

最大出力こそ高回転型エンジンの86に10ps譲りますが、トルクには大きな差があるといえます。なにせエスティマは前輪モーターだけで27.5kgmも発揮するのですから、トルク面でいえばエスティマの圧勝、といえます。こうした数字だけでいえばエスティマはスポーツカーと互角以上のパワーがあるという「表現」もできますね。

とはいえ、エスティマはあくまでミニバン。車重やその特性を考えると、とても86とトータル的なスポーツ性では勝負になりません。86は1.1トンほどの車重であのパワーですから、どんなステージでも非常に軽快に走る事が可能であり、それはドライビングプレジャーに直結します。

もっともあまりにも属性が違うクルマですからこれは当然の事。しかし0km～の加速でいえば、スタート直後はエスティマの方が前に出る可能性が高いでしょう。これは前述のモーターの出力特性の利点があるためです。また環境性能でも車重が2トン弱ありながらもJC08モード燃費18km/Lというクラス最高のスペックを誇るのも立派。

必要十分以上のパワーを持ちながらもミニバンとして、多岐にわたる用途をこなせる、というのもエスティマの大きな魅力といえますね。

今回は、現行エスティマ ハイブリッドの出力特性について触れましたが、マイナーチェンジ前のモデルには2GR-FE型3.5L Ｖ型６気筒DOHCエンジンを搭載したモデルが存在しました。こちらのスペックはなんと280ps！デビュー当時は、前輪駆動モデル初の280psを達成したモデルという称号もありました。高速クルーズでその威力を大いに発揮する、まさにスポーツカーと同等のパワーを備えたモデルであったといえましょう。

現在では3.5L仕様はカタログから落ちており、また昨今のダウンサイジング隆盛等をかんがみると3.5Lエンジン仕様の復活はほぼありえないかな、とも感じますが、エスティマは代々ハイパワーエンジンとともにあったともいえます。これも多くのユーザーから支持を集めた要素のひとつであるのは間違いないでしょうね。

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