インプレッサWRXとインプレッサWRXSTIは実際にどれくらい違う?

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初代、および、2代目のスバルインプレッサには、WRXというスポーツグレードが存在しました。しかし、同時にWRX STIバージョンというグレードも存在していました。両グレードとも、250ps~300ps以上を発揮するハイパフォーマンスモデルですが、この両グレードにはどのような違いがあるのでしょうか?
Chapter
インプレッサWRXとは
インプレッサWRX STIとは
標準のWRXとWRX STI、実際の走り心地の違いとは?
新たなWRX

インプレッサWRXとは

インプレッサは、1992年にレガシィの下位モデルという位置付けで登場し、その中でも、インプレッサWRXは世界ラリー選手権(WRC)参戦を見据えて高性能が与えられたグレード。
WRXは当時、2.0L・DOHCターボ(240PS)の大出力エンジンを搭載してカタログモデルとして販売されました。もちろん、WRXではない通常グレードも低機能なわけではなく、と言うのも元々インプレッサは、ヨーロッパにおけるCセグメントを担うモデルであり、排気量も1.5L~1.8Lで100ps~120ps程度の一般的な出力を出せる優秀な車種と言えるでしょう。


当時、時を同じくして、インプレッサと同様にWRCを見据えて登場した、三菱ランサーエボリューションが5000台の限定モデルであった事を考えると、WRC向けの高性能車が常に量産されるという、驚きの内容でした。

インプレッサWRX STIとは

インプレッサWRX発売から1年後、STI社製のコンプリートカー、WRX STiが限定で販売され、これがWRX STIの最初のモデルとなりました。STIとは「SUBARU TECNICA INTERNATIONAL INC.」の略称であり、富士重工業(スバル)の連結子会社で、モータースポーツへの参画やパーツ開発・販売などを行う会社です。スバルにおけるSTIはメルセデス・ベンツにおけるAMGとの関係に非常によく似ています。

WRX STIは、STIの技術による部品を、純正のパーツと置き換えて、WRXの生産の時点で適用したメーカー純正のチューニングカーと言えるものです。
標準のWRXとの違いは、鍛造ピストンの採用、アルミ製ボンネット、大径マフラー、専用ECU、大型リアスポイラー、対向4ポットブレーキキャリパーなど多岐に渡り、また、標準のWRXで装着されているフォグランプがSTiでは省略されて、オプションとなるなど、軽量化のために装備が省かれている場合もあります。

エンジン性能も標準のWRXより数十馬力高いこの限定モデルのWRX STIですが、あまりの人気のために生産が追いつかず、販売を中止しました。1995年に再び生産を開始したWRX STIですが、何とカタログモデルとなり、以来、今日までWRX STIの生産は続いています。

標準のWRXとWRX STI、実際の走り心地の違いとは?

先述の通り、標準のWRXとWRX STIでは使用しているパーツ・装備が異なりますが、実際に走らせるとなると、どのような違いが出てくるのでしょうか?

まず、乗り心地が異なります。WRX STIは足回りが固めであり、ゴツゴツした印象を受け、実際のところあまり街乗り向きの車ではないと感じます。WRX STIはあくまで、ハイパフォーマンスを指向したモデルであり、実際の街乗りに最適なのは、やはり標準のWRXなのです。筆者もかつてWRX STIを所有していたことがありますが、足回りは非常に硬く、運転にもやや疲弊感が伴うものでした。しかし、WRX STIはエンジンのレスポンス、ハンドリング性能は鋭く、高性能を堪能したいのであれば、明らかにSTIの方がおススメだと言えるでしょう。

ちなみに、STIのパーツは個別で購入することができるため、標準のWRXを購入して自らSTI仕様と同じものに仕立てることも可能です。しかしもちろんことですが、生産の段階で各種STIのパーツが装着されることにより、費用が抑えられるため、STIの部品で構成されたWRXが欲しい場合には、最初からカタログモデルのWRX STIを購入したほうがおトクだったりします。

他の異なる点では、STIは人気のため、リセールバリューが高いことが挙げられます。WRX STIのリセールバリューは50%を超え、標準のWRXとは数十万円の差が出たりします。

そんな標準のWRXとWRX STIですが、結果として人気となったのはWRX STIでした。先代のGE系では標準のWRXはWRXの名前を外し、S-GT、2.0GTとなり、STIとは車幅も異なる車となりました。ノンターボのインプレッサとSTIの間で中途半端な存在となってしまったようです。


新たなWRX

そのような運命を辿ってきたインプレッサという車でしたが、2014年にはインプレッサの内のハイパフォーマンスグレードが新たにWRXという車種名で独立しました。S4とSTIという2つのグレードで構成され、S4が以前の標準のWRXやS-GT、STIがWRX STIに当たります。

エンジン出力はS4が300ps、STIが308psと高出力ではありますが、以前のように2車の間に数十馬力の差はなく、街乗りのS4と走りのSTI、といったように、どちらにも魅力を感じられるグレード展開となっているようです。

そうした結果、WRXは発売当初、目標の6倍の受注を達成し、非常に良い売れ行きとなったそう。しかも、以前のようにSTIばかりが売れるわけではなく、標準のWRXに相当するS4も良く売れているようです。やはりWRXには標準のWRXに相当する街乗りグレードは必要であり、一時期STIに傾いてしまったものの、こうした経験から、車種やグレードの整理がうまくできたのかもしれません。

今日、ハイブリッドでもないセダンが売れにくい時代ですが、そんな中、WRXは大変よく売れ、相変わらず高性能車に魅力があることが良くわかります。ミニバンやSUVばかりが売れる時代にセダンの魅力というものも再考させられますね。車を取り巻く環境をものともしない、スバルの車作りの今後が楽しみです。

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