シートアレンジに優れるルーミーか、荷室を10cm拡大したソリオか?両車をジャーナリストが徹底比較

ソリオ ルーミー Ver.2

※この記事には広告が含まれます

スズキ ソリオトヨタ ルーミーは背の高いパッケージングの小型車として、ガチンコのライバル関係にあるモデル。

前者はスズキでもっとも多く売れている登録車(いわゆる普通車)、後者は兄弟車のトヨタ タンク 、ダイハツ トール、そしてスバル ジャスティとあわせて同一のボディとしてカウントすれば、2020年に日本で2番目に売れた乗用車となるなど、きわめて人気の高い車種です。

そんな2台の違いはどこにあるのか。今回は、マニアックな視点から両車を比べて見ましょう。

工藤 貴宏|くどう たかひろ

1976年生まれの自動車ライター。クルマ好きが高じて大学在学中から自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。卒業後に自動車専門誌編集部や編集プロダクションを経て、フリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジン搭載のマツダCX-5。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

工藤 貴宏

伊藤 梓|いとう あずさ

クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーからカーグラフィックの編集者へと転身。より幅広くクルマの魅力を伝えるため、2018年に独立してフリーランスに。現在は自動車ライターのほか、クルマを題材にしたイラストレーターとしても活動中。FMヨコハマで放送中の「The Motor Weekly」では、番組パーソナリティも務め、その経験を活かし、自動車関係の動画やトークショーなどにも出演している。

伊藤 梓
Chapter
ソリオの方がリアドアの開口部が大きいものの、気の利いた装備はルーミーの方が多い
後席のシートアレンジの実用性ではルーミー、快適性ではソリオに軍配が上がる
ラゲッジスペースにはソリオとルーミーのパッケージングの違いが大きく表れている
快適装備や便利な収納はいずれも充実しているが、細かい装備内容は異なる

ソリオの方がリアドアの開口部が大きいものの、気の利いた装備はルーミーの方が多い

▲ルーミーのリアドア

まずは後席に乗り降りするリアドア。いずれもスライド式で、電動開閉機能も用意しています。どちらも高い天井と低い床(地面に対するステップの高さはソリオが365mmでルーミーは366mm)の組み合わせで乗り下ろしやすいものですが、比べてみると若干の違いが。

ソリオの開口部は天地1220mm×幅640mmなのに対し、ルーミーは1216mm×597mmとわずかの差とは言えソリオのほうが広く確保されています。
▲ソリオのリアドア

いっぽうで、ルーミーはBピラーに備わるグリップが天地に長いから背の高さを問わず大人も子供も掴みやすいこと、ドアを開くとドアの断面に備わるライトが点灯して足元を照らし夜の乗り降りをサポートしてくれる、など気の利いた装備でリード。
▲ルーミーの乗降用大型アシストグリップ

そのうえ、電動スライドドアの便利機能として、あらかじめ降車時にスイッチを押すことで、クルマに戻った際には近づくだけで自動的にスライドドアが開く「ウェルカムパワースライドドア」も備わっているのは、ソリオに対するアドバンテージです。

またルーミーのほうが電動スライド機能を標準装備するグレードが多いことも含め、スライドドア周辺に関しては「広さでソリオ、機能の充実でルーミー」と判断できます。

後席のシートアレンジの実用性ではルーミー、快適性ではソリオに軍配が上がる

▲ソリオの後席

後席に乗り込むと、どちらもゆったりと足を組める、あきれるほど広い空間が自慢。これは他のコンパクトカーを圧倒する、甲乙つけがたい実力です。

いっぽう、シートには若干の違いが。どちらもスライドやリクライニングを備えますが、ソリオが左右50:50分割なのに対して、ルーミーは60:40分割なのです。

 

▲ルーミーの後席

それが使い勝手としてどう違ってくるかというと、ソリオは片側を倒すと後席には1人しか座れなくなってしまいます。

いっぽうでルーミーは、狭い側(助手席側)だけを倒せば、残された運転席側に(実際にはかなり横幅が狭いが法律上は)2人掛けが可能。

そこがリアシートの大きな違いです。
▲ソリオの後席センターアームレスト

いっぽうで、ソリオにはルーミーにはない後席センターアームレストを採用。

シートアレンジの実用性ではルーミー、快適性ではソリオが優勢といっていいでしょう。

ちなみにどちらも、かなり大きくリクライニングするので大人2人がゆったり車中泊できますね。

ラゲッジスペースにはソリオとルーミーのパッケージングの違いが大きく表れている

パッケージングにおいてソリオとルーミーの決定的な差になっているもの。それはラゲッジスペースです。
▲ソリオのラゲッジスペース(荷室)

ソリオは2020年末にフルモデルチェンジし、従来モデルに対して全長が8cm伸びました。荷室の奥行きは最小状態で550mmと10cm拡大しています。いっぽうルーミーの奥行きは500mm

実は、この差が積載能力に大きな影響を与えています。たとえば機内持ち込みサイズスーツケースを積み込める数は、ソリオだと“リアシートを前へスライドすることなく(最後部の状態で)”床上に5つ、加えて床下(広い床下スペースがある)へひとつの合計6個を積載可能。
▲ルーミーのラゲッジスペース(荷室)

対してルーミーは、“リアシートを10cm程度前へスライドして”床上に4つです。床下のスペースもありません。後席を最大に広くした状態での積載量は、ソリオの圧勝と言っていいでしょう。

いっぽう、リアシートを畳むことなくもっとも前までスライドした状態での最大積載量はルーミーが有利。

差をつけている理由はシートスライド量で、ソリオは165mm、ルーミーは240mmとルーミーのほうが1.5倍ほどロングスライドなのです。だから「後席に人が座れる状態での荷室スペースの広さを求める」というのであれば、ルーミーを選ぶといいでしょう。
▲ルーミーのシートスライド

もちろんシートを前へ出せばその分、後席の足元スペースは減ります。とはいえ、どちらも車種も普通に座るのには困らないだけの足元空間が残るのはさすがです。

もうひとつ、荷室を比較する際に覚えておきたいのがシートの格納方法と床の高さ。いずれもシート格納時の床面はフラットになりますが、シート格納の手軽さでいえば、背もたれのレバーでロックを解除して背もたれを前に倒せば簡単に畳まれるソリオのほうが優位です。
▲ソリオのシート格納操作は簡単

一方でルーミーは「背もたれを倒す」と「全体を床下へ沈める」の2アクションが必要となり、ソリオと比べると少々手間がかかります。

いっぽうで床面はルーミーのほうが低く(バンパー上の開口部下端は地上665mmのソリオに対してルーミーはわずか527mm)、自転車を積む際にはその低がルーミーに大きなアドバンテージをもたらすといっていいでしょう。
▲ルーミーの開口部下端はソリオよりも低い

さらにルーミーでは、床面ボードを反転させると床面が汚れても水拭きで簡単に掃除できるビニール素材となり、汚れることを気にすることなく自転車を積めるのも優れたアイデアです。

もし、自転車を積むことは多いのならルーミーが適していると断言できます。

快適装備や便利な収納はいずれも充実しているが、細かい装備内容は異なる

▲ソリオのシートバックテーブル

最後に、快適装備と便利な収納についても触れておきましょう。

シートバックテーブルやスライドドアのロールシェードなど、後席を快適にするアイテムは両車とも充実しています。
▲ソリオのサーキュレーター

加えて、ソリオにはエアコンの風を後席へ送るサーキュレーターやバケツ状になった助手席座面下の大容量収納スペース、ルーミーにはゴミ箱として使えるインパネ下の取り外し式ボックス、運転席と助手席の間に汚れを気にせずカバンを置ける細長いトレーを用意するなど、両者で違いがあります。
▲ルーミーのセンターフロアトレイ
「コンパクトトールワゴン」や「プチバン」と呼ばれるカテゴリーにおいて、ガチンコのライバルとなるスズキ ソリオとトヨタ ルーミー。

いずれもコンパクトなボディサイズながら広大な室内空間と拡張性に優れたラゲッジスペース、快適なドライブを楽しむための装備などが充実しており、甲乙つけがたいものです。

ここは「どちらが優れている?」というよりも、じっくりと見比べて「自分にとって必要な装備はどちらにあるか?」を確認すると良いでしょう。
今回取材させていただいたスズキ ソリオ バンディットとトヨタ ルーミー カスタムの解説動画が、Youtubeチャンネル「コレデ」と「CARPRIME」で公開されています。

ガチンコのライバル関係にある両車の違いは一体どこにあるのか、工藤貴宏、伊藤梓、霧島聖子が迫ります。

さらに特別ゲストとして、ネクステージ小山店のスタッフさんもご出演。両車の違いを動画でチェックしたい!という方におすすめの動画です。
【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細