GT-R R32やフェアレディZ Z32型はなぜ280PS?「自動車馬力規制」について振り返ってみました

R32 Skyline GT-R

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「過度な馬力はスピード違反や交通事故の増加を招く」といった指摘によって設けられた自動車馬力規制。
今回はそんな馬力規制について振り返ってみます。
Chapter
280馬力規制は何故生まれた?
馬力規制要請!そもそも何故”280ps”?
ハイパワーな輸入車の影響で馬力規制は撤廃へ
ハイパワーを誇る現在の名車

280馬力規制は何故生まれた?

1970年代、オイルショックや排ガス規制といった問題に悩まされていた各メーカーは、エンジン馬力の向上を図ることは不可能な状況でした。

しかし、1980年代に入ると排ガス対策や燃費向上も一段落し、趣味性の高い自動車を開発する余裕が生まれてきます。各自動車メーカーが、こぞって馬力競争に走ることとなりました。

しかし、当時暴走族の存在などが問題となり、スポーツカーの存在はあまり認められるものではなかったのです。運輸省の顔色を伺い、メーカー同士の動向を探りながらの馬力競争。日産スカイラインRS(R30型)はその典型例!一気に馬力向上を図らず、DOHCで150馬力、DOHC+ターボで190馬力、DOHC+ターボ+インタークーラーで205馬力と、小出しにして徐々に馬力向上を行っていました。

馬力規制要請!そもそも何故”280ps”?

1980年代後半になると交通事故死者数が急増し、「第2次交通戦争」と呼ばれる社会問題となりました。1989年に発売された日産フェアレディZ(Z32型)・日産スカイラインGT-R(BNR32型)・インフィニティQ45(G50型)は日本の自動車メーカーの中で初めて300馬力に到達!

しかし、旧運輸省の行政指導により、やむなく280馬力に抑えることとなります。(輸出仕様は300馬力のまま)その後、日産フェアレディZ(Z32型)が当時の最高出力車だったので、その上限値280馬力を規制上限と設定したのです。

ハイパワーな輸入車の影響で馬力規制は撤廃へ

280馬力規制は日本国内で発売される国産モデルのみで適用されていました。つまり、280馬力を超える輸入車はどんどん日本に輸入されていたのです。こうなると国産メーカーにとっては、280馬力規制が国内での販売戦略で不利となってしまいます。

その状況への不満の声が上がったことや、2000年代に入ってから交通事故死者数の減少が続き、規制の意義そのものが薄れたということもあり、2004年6月30日、日本自動車工業会は普通自動車の280馬力規制撤廃を国土交通省に申し出ました。

こうして2004年7月1日に自主規制が解除!ホンダのレジェンドは日本車初となる300馬力に到達しました。(カタログスペック221kW(300PS) 353N·m(36.0kgf·m))

ハイパワーを誇る現在の名車

馬力規制が無くなった現在、日本の中で最もハイパワーを誇る車、日産GT-R NISMOの最高出力は441kW (600PS) /6,800rpmにものぼります。また、レクサスが誇る500台限定発売の高級車、LFAの最高出力は標準車で412kW (560PS) /8,700rpm、スペシャルエディションでは419kW (570PS)!

規制時代から約2倍の馬力を誇るモデルが発売されている今日。私たち運転する側も安全運転を心がけ、高馬力と安全運転が共存する世の中にしていきたいですね。
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