徹底比較!新型86/BRZは従来モデルと比べどこが進化した?

86/BRZ 2021年4月発表

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2021年4月5日。遂に初披露となったトヨタ86とスバルBRZの新型モデル。先代モデルと比べてどのようなポイントが進化したのか?希少なFRスポーツなだけに気になる人も多いはずです。

そこで今回は新型86とBRZの詳細スペックを紹介しつつ、初代モデルとの違いがどこにあるのか比較し、その進化に注目していきます。なお、今回紹介するスペックは先代・新型共に6速MT搭載車のスペックとしています。

文・西川 昇吾

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
Chapter
2.0Lから2.4Lに拡大したエンジン
ボディサイズはほぼ変化なし
FRスポーツカーらしいエクステリア
一気に現代的になったインテリア
充実された安全装備
情報は今後もまだまだ発表予定

2.0Lから2.4Lに拡大したエンジン

今回のフルモデルチェンジでの最大のトピックスはエンジンです。従来の2.0L水平対向自然吸気エンジンから排気量を拡大し、2.4Lとなりました。なお、エンジンレイアウトの変更やターボ化などはされていません。

これにより最高出力は152kW(207PS)/7,000rpmから173kW(235PS)/7,000rpmへとパワーアップしています。それよりも魅力的な進化がトルクアップとトルク発生回転の低回転化です。

先代は212Nm(21.6kgm・f)/6,400~6,800rpmという最大トルクと最大トルク発生回転数でしたが、新型は250Nm(25.5kgm・f)/3,700rpmとなっています。

高回転域で最大トルクを発生していた先代モデルに比べて、新型は約3000rpmも低い回転で最大トルクが発生するようになりました。実際に試乗をしてみるまでは何とも言えない部分もありますが、このエンジン特性の変化によりコーナーからの立ち上がり加速のピックアップの改善や、ドリフト中のアクセルコントロール性向上に期待が持てます。

先代モデルよりも「下からツイてくる」エンジンに仕上がっていることでしょう。エンジンが進化した結果は動力性能に大きく表れていて、0-100km/h加速性能は7.4秒から6.3秒に短縮されています。
そして「よくやった!」とも言えるのがエンジン重量やサイズが大きくなっていないことです。正確な数値こそ発表されていませんが、オンライン発表会ではエンジン重量はほぼ変わらないどころか、軽くなっていると紹介されました。

なお、ミッションは増大したパワーとトルクに対応すべく重くなっているそうです。排気量アップしながらもエンジン重量をそのままにできたのは、ストロークアップではなく、ボアアップによる排気量アップを実施したためです。

従来モデルに搭載されたエンジンはボア×ストローク86×86(mm)であったのに対して、新型モデルに搭載されたエンジンは94×86mmとなっています。

FRレイアウトではエンジン重量がハンドリングに影響してくるので、エンジン重量が重たくなっていないのは嬉しいポイントと言えます。

発表によると単純にエンジン性能を向上させただけではなく、レスポンス向上やストレスなく伸びるフィーリングを実現しているとのこと。従来モデルでは「スポーツエンジン」というフィーリングが少し薄い感じだった86/BRZですが、新型モデルではエンジンフィーリングもとても楽しみなポイントと言えます。

ボディサイズはほぼ変化なし

次にボディサイズをチェックしてみましょう。

全長:4,265mm
全幅:1,775mm
全高:1,310mm
ホイールベース:2,575mm

ボディサイズは全長で25mm、ホイールベースで5mm大きく、全高で10mm低くなっています。なお、全幅は変わっていません。スポーツモデルがフルモデルチェンジするとボディサイズが大きくなり「軽快感が失われた」と批判されることもありますが、この数値を見る限り新型86/BRZではそんな心配は必要ないでしょう。

それは車両重量にも表れています。1,270kgという車重は先代モデルに比べてわずか20kgの重量増に抑えられています。
重量増を抑えつつパワーアップを果たした結果、加速性能を示す指数として使われているパワーウエイトレシオは6.04kg/PSから5.4kg/PSへ向上しています。

また、ルーフパネルにアルミを使用し、低重心が売りの86/BRZを更に低重心化させています。また重量増を抑えつつねじり剛性を約50%向上させているなど、ハンドリング面でも進化しているのが今回発表された内容だけでも分かり、試乗に期待が持てます。

FRスポーツカーらしいエクステリア

ボディサイズに大幅な変更を受けていないため、全体的にシルエットが変わったという印象は受けません。FRの伝統的なスタイリングと言えるロングノーズ、ショートデッキが基本となっています。

従来モデルはトヨタ主体でデザインされましたが、今回の新型モデルはスバル主体でデザインされ、基本的なデザインは群馬にあるスバルのデザインスタジオで行われたとのこと。
大きく変わったポイントと言えるのはやはりライト類のデザインでしょう。先代モデルに比べてよりシンプルな印象のヘッドライト、テールライトデザインになりました。なお、86とBRZではヘッドライトの殻は基本的に同じですが、ウィンカーなどの内部デザインが異なっています。

近年は複雑な造形のヘッドライトや、横一線につながったデザインのテールライトが多く採用されているだけに、これほどシンプルな新型車としては珍しく感じます。しかし、86/BRZはカスタムベースとしても人気の高いクルマです。

シンプルなデザインがベースとなる素材として好ましいという面もあるでしょう。シンプルながらカッコよく仕上がったエクステリアデザインですので、発売後どのようなカスタマイズのクルマたちが登場するのかという面も楽しみと言えます。
また、エクステリアから見える性能進化の面で言えば、空力的機能を各所に持たせている点です。フロントフェンダー後方のエアアウトレットや、サイドシルスポイラーなどは単純にデザイン上の都合という訳ではなく、性能面にも起用する装備となっています。

また、細部の空力処理も86とBRZで異なっているのも注目ポイントと言えます。基本的なシャシーやパワートレインが同じでも、違うクルマとして仕上げているというトヨタとスバルの意思の表れとも言えるポイントです。

一気に現代的になったインテリア

いい意味で現代的な変化をしていない新型86/BRZですが、今回のフルモデルチェンジで最も現代的に進化したと感じさせるのがインテリアです。
進化を感じさせる大きな存在がメーターパネルです。メーターパネルを覗くと7インチのTFT液晶パネルが姿を現します。従来モデルがアナログな針のメーターにこだわっていたことを考えると大きな変化と言えます。デジタルメーターになったことでドライバーへ伝える情報のデザイン性が向上しました。

今回のメーターの特出すべき機能としては、86とBRZそれぞれで独自のオープニング演出が加わったほか、ノーマルモードとトラックモードで表示デザインが異なっています。トラックモードではスポーツ走行に必要な情報をより得やすいデザインとなっています。

まだ詳細は明らかとなっていませんが、ドライバーの好みによって、表示情報もセレクトできるかも注目ポイントと言えます。
そして、インパネ周りは水平基調となっていて車体の姿勢を掴みやすいデザインとなっています。また、先代モデルから大きく変化したと感じさせるポイントと言えばナビゲーションシステムなどを表示させるセンターのモニターが大型化されたことです。

先代モデルは汎用性が高い2dinのシステムでしたが、現行モデルらしいモニターの大きさになりました。

今回の日本仕様の発表ではアナウンスがありませんでしたが、アメリカ仕様のBRZでの発表ではApple CarPlayやAndroid Autoに対応した8インチSUBARU STARLINKマルチメディアインフォテインメントシステムの採用がアナウンスされていました。

このようなコネクテッドサービスや現代的なエンターテインメントシステムが日本仕様の86/BRZにも追加設定されるかも注目ポイントと言えます。

充実された安全装備

そして、安全装備が充実したのも注目ポイントと言えます。AT車にはスバルの運転支援システムアイサイトが標準装備となりました。これによりプリクラッシュブレーキや全車速追従機能付クルーズコントロールといった機能が使えるようになり、日々の運転をより快適かつ安全にできるようになりました。

情報は今後もまだまだ発表予定

BRZは夏頃、86は秋頃販売が開始されるそうです。それに向けて今後も様々な追加情報の発表があるとのこと。今回の発表では多くの人が気になる値段については触れられていませんでしたが、そちらも今後分かっていくことでしょう。

クルマ好きにとっては、販売開始まで情報のチェックを怠ることができないモデルであることは間違いありません。

また、全国各地のモータスポーツイベントでこの新型モデルは展示されていることも多いので、気になる人は実車をチェックしてみるのもいいでしょう。

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