完成度の高いオープンカーを気軽に楽しめるのは今!マツダ NC ロードスター 徹底解説

マツダ ロードスター NCロードスター

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3代目マツダ ロードスター、通称NCロードスターは2005年8月に販売を開始し、2015年4月に現行の4代目にバトンタッチする形で販売を終了しました。今回は新世代のロードスターへ大きく進化したNCロードスターを解説しています。

文・西川 昇吾

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
Chapter
新世代ロードスターとなった3代目NCロードスター
ロードスター初の電動ハードトップモデル「パワーリトラクタブルハードトップ」
NC1やNC2など…NCロードスターの年式とグレードごとの違い
新しくなってもひと目でロードスターと分かるエクステリア
オープンカーとしての使い勝手も向上したNCロードスターのインテリア
大きくなって実用性が向上したNCロードスターのラゲッジスペース
ワンランク上の速さを実現したNCロードスターのメカニズム
大きくなっても「ロードスターらしさ」は消えていない楽しいドライブフィール
「前期?後期?」「AT ?MT ?」「幌?RHT ?」…NCロードスターの中古車選びのポイント
今ならNCロードスターで完成度が高いオープンカーを手軽に味わえる
300万円台で買えるオープンカー!マツダ ロードスター RS (ND) を動画で徹底解説!

新世代ロードスターとなった3代目NCロードスター

先代NBロードスターは初代NAロードスターから基本プラットホームやエンジンをベースに、改良したものを採用していましたが、NCロードスターではプラットホームを一新。

エンジンも当時新開発の2Lエンジンが搭載され、プラットホームは当時のマツダのフラッグシップスポーツカーRX-8と共有、新世代のオープンスポーツとして生まれ変わりました。
そのためNCロードスターのボディサイズは拡大され、全長3,995mm全幅1,720mm全高1,245mmとなり遂に3ナンバー車となりました。

NBロードスターと比べ全長で40mm、全幅で40mm、全高で10mm大きくなりましたが、(数値は後期型NBロードスターと初期型NCロードスター比、グレードは共にRS)

しかしながら重量増は30キロ程度に留まっており、排気量アップにより実用域でのトルクが向上したため確実にワンランク上の速さを獲得しました。

2005年末には「2005-2006日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。ロードスターとしては初めての受賞となりました。

ロードスター初の電動ハードトップモデル「パワーリトラクタブルハードトップ」

2006年に追加されたパワーリトラクタブルハードトップ通称「RHT」は、ロードスター史上初の電動ハードトップモデル。走りの楽しさはそのままに、静寂性やエアコンの効きなど快適性がアップしたモデルです。

もちろん幌の痛みを気にせずに、スイッチ1つでオープンドライブを楽しめるというのも魅力。幌モデルとのグレード構成の違いはNR-Aがないという点です。
このRHTは世界的に見ても素晴らしく良くできた電動ハードトップオープンカーです。その理由として挙げられるのがまずラゲッジスペース。オープン状態でもクローズド状態と変わらないラゲッジ容量を確保しているのです。

そしてその開閉の速さ。ルーフの開閉時間は当時世界最速の12秒という速さで終えることができます。

電動ルーフということもあって、幌モデルよりも「上級モデル」として位置付けられたためか、AT車の方が多く見られます。後期型になるとマニュアルトランスミッションが選択できるRHTは、スポーツグレードRSのみとなっています。

NC1やNC2など…NCロードスターの年式とグレードごとの違い

約10年間という歴代ロードスターの中では現在最も長く販売されているNCロードスター。それだけに年式ごとの違いや、いくつかバリエーションが存在します。

まずグレード。基本的にはベースグレード(マイナーチェンジ後にSとなります)と2006年に追加された競技ベースグレード「NR-A」。

インテリアの素材やカラーが異なり高級感のあるグレード「VS」。そして走りのグレード「RS」という4つの住み分けです。ちなみにベースグレードとNR-Aは5速MTとなります。
次に年式ごとの違い。細かく小変更は受けてきていますが、NCロードスターは大きく分けると2008年末に行われたマイナーチェンジ以前の個体を前期型、以降の個体を後期型と分けます。前期型はNC1とも言われます。

2008年末のマイナーチェンジでNC2に進化したNCロードスターはフェイスリフトを受けエクステリアの印象が変わったほか、インテリアも細かい変更を受けています。

しかし、もっとも注目すべきは走りの進化です。レブリミットが7,000rpmから7,500rpmに引き上げられ、フロントのロールセンター高が26mm下げられました。スポーツカーとしての正常進化が行われたマイナーチェンジとなっています。
2012年にも改良が行われました。NC3とも呼ばれる改良で、これがNCロードスター最後の改良となります。内容ですが、まずエクステリア面でフロントデザインの変更。インテリアでは新色の追加などが挙げられます。

走りの面ではスロットルやブレーキブースターの特性の見直しを行い、よりコントロール性を上げています。

さらに厳しくなる歩行者保護の衝突基準に対応すべく、歩行者との接触時ボンネット後端を持ち上げ、歩行者の頭部への衝撃を緩和する「アクティブボンネット」を採用しています。

新しくなってもひと目でロードスターと分かるエクステリア

プラットホームが一新され、ボディサイズもNAからNBの進化に比べてより大きくなったNCロードスター。エクステリアデザインも今までのロードスターからは大きく異なっています。

しかしながらひと目見ただけでマツダロードスターとわかるのは、世界的大ヒットオープンカーとなったロードスターの見た目が1つのアイコンへと進化したからでしょう。
大きく変わったエクステリアデザインですが、ボンネットのラインやリアのテールランプなど所々で初代NAロードスターのデザインを感じます。

また歴代ロードスターの中でもNCにしかないデザイン上の特徴として挙げられるのは大きく盛り上がったフェンダーです。このフェンダーが大きなタイヤを履いているのとワイドな印象を与え、より高い旋回性能を期待させます。

オープンカーとしての使い勝手も向上したNCロードスターのインテリア

インテリアデザインは近代的になりながらも、分割タイプのインテリアパネルがNAロードスターの雰囲気を感じさせる造りとなっています。

そして何よりこの水平基調のインテリアデザインが走行時の車両の挙動をドライバーに掴みやすくするのに一役買っています。


またインテリアを見ると実用面で大きく進化しているのが感じ取れます。NBロードスターではセンターにだけ装備されていたドリンクホルダーが、左右それぞれのドアにも装備されたり、各種小物入れが増えていたりしています。

そして一番嬉しいのがエアコンの吹き出し口。膝や太ももに風が当たるように吹き出し口が追加されたのです。オープンカーはヒーターを効かせて冬に乗る乗り物。この新しく追加された吹き出し口は冬場にオープンで乗る際非常に役立ちます。

大きくなって実用性が向上したNCロードスターのラゲッジスペース

他の歴代ロードスターと比べてNCが魅力的なポイントと言えばラゲッジスペースです。ラゲッジスペース容量は150Lで決して大きいわけではありませんが、先代モデルと比べると格段に実用的なトランクになっています。

スペアタイヤを撤廃し、タイヤパンク応急処置キットを装備したためラゲッジスペースの高さが増えたほか、バッテリーがボンネット内に設置されたためラゲッジスペースが広くなりました。

ワンランク上の速さを実現したNCロードスターのメカニズム

見た目やボディサイズが大きく変わったNCロードスターですが、何より中身が新世代になったことが注目ポイントです。

RX-8と共通になったプラットホームは、前後ダブルウィッシュボーンだったNBロードスターから、フロントダブルウィッシュボーン、リアマルチリンクとなりました。

そしてオープンボディの泣き所であるボディ剛性も強化され曲げ剛性で22%、ねじり剛性で47%向上しています。
新開発の2リッターエンジンは170馬力になり、先代NBロードスターよりも10馬力パワーアップ。そして全域でトルクフルなエンジンとなり扱いやすくなりました。しかし驚くのがこのエンジンの搭載位置。先代に比べ135mmも後方に搭載しています。

エンジンがバルクヘッドに食い込むように搭載され、フロントミドシップを実現しており、フロント車軸から前には補記類のみとなっていて、クルマに詳しい方がボンネットを開けばきっと驚くはずです。

大きくなっても「ロードスターらしさ」は消えていない楽しいドライブフィール

「大きく、重たくなりロードスターらしさが無くなった」と言われることがあるNCロードスターですが、そんなことはありません。

街乗りやワインディングなどの日常シーンでも歴代ロードスターが持つ独特のハンドリングは健在で、低速域でもドライビングを楽しむことができます。しかしひとたびスロットルを開けるとその進化を強く感じることができます。

新開発のエンジンや新開発プラットホームの採用、そしてトレッドの拡大は確実にワンランク上の速さと限界の高さを実現しています。

また、ホイールベースが長くなったことにより、NBロードスターに比べ高速コーナーリング時の安定感、リアの「粘り」の次元が高くなりました。
速さと限界が上がったことによりピーキーになったというイメージを持たれるかもしれませんが、そんなことはなくリアが滑り出す瞬間も分かりやすく、スライドコントロールもしやすいクルマです。

また、NCロードスターからABSやトラクションコントロール(TCS)横滑り防止装置が装備され(DSC)、さらに電子制御スロットルが採用により一気に電子化が進みましたが、ドライバーの感性を必要以上に邪魔することはありません。

TCSとDSCは簡単にカットできますし、電子制御スロットルとは思えないスロットルレスポンスを実現しています。

「走りの次元を上げつつもロードスターらしいハンドリングとコントロール性はそのまま」となっています。低速から運転が楽しく、タイムを求めると奥が深い、これがNCロードスターのドライビングフィールの特徴です。

「前期?後期?」「AT ?MT ?」「幌?RHT ?」…NCロードスターの中古車選びのポイント

残念ながら先代NBロードスターや現行NDロードスターと比べるとあまり評価されなかったNCロードスター。そのため中古車市場の個体も他のロードスターと比べるとあまり豊富とは言えません。

「NCロードスター」という枠で探すならば個体に困ることはありませんが、グレードや年式にこだわって探すとなかなか理想の個体に出会わないでしょう。もし理想の個体や条件に合う個体が出てきたら迷わず問い合わせるのをオススメします。

「NCロードスターのオススメ中古車は?」と聞かれると困ってしまいますが、人によってオススメが異なってきます。

まずファッションでオープンカーに乗りたい方には、RHTのATがオススメです。RHTなら幌ほど神経質になる必要はありません。それにRHTはATの方が大人しく乗られていた場合が多く中古個体数も豊富で、MTほど高価に取引されていません。
走りを重視したい人には後期型RSがオススメ。前期型がダメという訳ではありませんが、後からアフターパーツなどで埋めるには苦しい差が前期型と後期型にはあります。

一番高いのは後期型RSのRHTで、低走行車はNDロードスターの中古車並の価格の個体もあります。

また、中古車を探す場合は走行距離よりも車体の状態にこだわって探した方が賢明でしょう。エンジントラブルはあまり聞かないNCロードスターですが、車体のダメージやサビは後から直すのが難しいポイントです。


そして幌の状態にも気を配りましょう。後期型でももう10年以上前の個体も出てきています。NCロードスターもそろそろ幌の張り替えを検討した方がいい個体もあるころです。

いずれにせよ、現車確認をして納得の上で購入するのがベター。前オーナーの記録簿が残っていたりするベストです。

今ならNCロードスターで完成度が高いオープンカーを手軽に味わえる

NCロードスターは新時代のロードスターとしてマツダが力を入れて開発したモデル。それだけに各部の完成度は高いです。しかし新車時の評価があまり良くなかったためか、NBロードスターなどと比べると割安感のある個体もあります。

生産台数などを考えると将来ほかの世代のロードスターと比べるとパーツが出にくい…なんてこともあるかもしれません。完成度の高いオープンカーを安価に楽しむなら今がチャンスです。

そして「オープンカー初心者」の人にもRHTを中心にオススメできるのがNCロードスターです。

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