名車誕生の"アタリ年"!1989年に生まれた日本車10選

トヨタ ランドクルーザー 80

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2019年の春で平成が終わり元号が変わります。平成が始まった1989年、日本はバブル景気の真っ只中にあり、クルマ業界では、世界に影響を与えた名車が次々に誕生した“アタリ年”でもありました。今年30年目を迎える1989年発売の日本車には、どんなモデルがあったのでしょう。

文・立花義人
Chapter
1、ユーノス ロードスター
2、トヨタ セルシオ 
3、ホンダ アコード インスパイア
4、日産 フェアレディZ(Z32)
5、スバル レガシィ
6、トヨタ MR2(SW20)
7、日産 スカイライン GT-R(R32)
8、トヨタ ランドクルーザー(80系)
9、日産 インフィニティ Q45
10、日産 180SX

1、ユーノス ロードスター

軽量小型の車体に、ごく一般的な乗用車に搭載されている小型エンジンを搭載し、軽快な操縦性を楽しむライトウェイトスポーツカーは、1960年代のヨーロッパで流行しました。

世の中がバブル景気に沸き返り、メルセデスのSLやジャガー XJ-Sといった大型で高級なスポーツカーに世間の目が向いていた1989年、マツダのユーノスブランドから、かつてのライトウェイトスポーツカーを彷彿とさせる小型のオープンカー、ロードスターが発売されました。

「人馬一体」をテーマに、クルマの本質を追求したロードスターは、無駄なものを削ぎ落とし、同時に操縦安定性と運転操作の的確さを向上させるべく開発が進められました。

そのこだわりはボンネットフードにアルミを用いたり、排気には鋳鉄製ではなくステンレス製のパイプを使ったり、4輪ダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用したり、軽量小型のNAエンジンの搭載や、FRの駆動方式などに表れています。

ロードスターは、スポーツカーの楽しさと魅力が、決して高価なメカニズムやビッグパワーだけでは語れないことを、世界中の自動車関係者に再認識させ、後年、多くのライトウエイトスポーツカーが生まれるきっかけとなったエポックな1台でした。

2、トヨタ セルシオ 

※写真はレクサスLS

トヨタは、北米における高級車の巨大マーケットに参入するため、「レクサス」ブランドを立ち上げ、そのフラッグシップモデルとしてLS(日本名:セルシオ)を開発しました。

世界トップレベルのハイパフォーマンス・ラグジュアリーカーの創造を基本コンセプトに、妥協を許さず矛盾する要素をも両立させる”Yetの思想”と、問題があれば根本までさかのぼって解決する”源流対策”という2つの方針を掲げて、高い静粛性、動力性能、高品質の実現に臨みました。

Yet思想の代表的なものとしては、世界で初めて採用されたピエゾTEMSがあります。これは、電子制御エアサスペンションTEMSに、極めて応答性の高いピエゾ素子を使い、ダンパーの減衰力を走行状況に応じて瞬時に切り替えることで、高い操縦安定性と良い乗り心地を高いレベルで実現したものでした。

また振動や騒音については、源流対策により徹底的に低減されています。こうしてセルシオ(レクサス LS)は、日本の技術力を世界に発信した1台となりました。

3、ホンダ アコード インスパイア

アコード インスパイアは、ホンダの中型セダン、アコードをベースに、ひとつ上のアッパーミドルクラスに位置するモデルとして誕生しました。

直列5気筒エンジンをフロントに縦置き、しかもFFでありながら前輪の車軸より車体後方にエンジンを搭載するミドシップレイアウトを採用し、話題となりました。

直線を基調としたスマートで上品なエクステリアと、フロントのオーバーハングが短いバランスの取れた伸びやかなスタイル。高回転まで軽快に回る気持ちの良さと、高級車としての静粛性をバランス良く引き出した5気筒のエンジン。シンプルなデザインながら高級感と造りの良さで価値感を高めたインテリアなど、他社の同クラスにはない、ホンダらしいモデルでした。

4、日産 フェアレディZ(Z32)

極端に長いフロントノーズに短いキャビンを持つ、ロングノーズショートデッキというプロポーションを特徴としてきた日産 フェアレディZですが、1989年にデビューしたZ32型は、ロングノーズショートデッキと決別し、パフォーマンスも含めた完璧なスーパースポーツカーを目指して開発されました。

ワイド&ローの躍動感あふれるフォルムは、まさにスポーツカーのそれ。上級グレードに搭載された3.0L V6ツインターボエンジンの最高出力は、当時の国産最高の280psを発生し、これをきっかけに2004年まで続くメーカー自主規制が始まったとされています。

5、スバル レガシィ

代表モデルとして長い間スバルの顔となってきたレガシィも、初代モデルは1989年の発売でした。

レオーネの実質的な後継車として誕生したレガシィは、”遺産、伝承”という意味の車名のとおり、伝統の水平対向エンジンや4WDシステムを採用、熟成しつつ、まったく新しい設計のプラットフォームを持つ、スバル渾身の1台でした。

なかでも乗用ワゴン専用設計のツーリングワゴンは、それまで商用バンをベースに作られていた国産ステーションワゴンとは明らかに一線を画す存在で、アウトドアやキャンプで活躍するワゴンブームの火付け役ともなりました。

6、トヨタ MR2(SW20)

トヨタの小型ミッドシップスポーツカー、MR2の2代目SW20型も1989年デビューでした。

直線基調であった初代モデルのコンパクトなスタイルは、丸みを帯びたデザインに変更。エンジンは、2.0L直列4気筒NAとターボの2種類が用意されました。

2代目MR2は、バランスの取れた前後重量配分をもたらすミドシップレイアウトの強みを生かしつつ、数度のマイナーチェンジを経てスポーツカーとしての熟成を進め、10年という比較的長い期間販売されたモデルとなりました。

7、日産 スカイライン GT-R(R32)

平成のスポーツカーを語るうえで、ロードスターと並び欠かせない1台といえば、R32スカイライン GT-Rです。

16年ぶりに復活し、モータースポーツファンを歓喜させたR32 GT-Rは、2.6L直6DOHCツインターボに、走行状況に応じて自動的に前後の駆動力を配分するアテーサE-TSや、電子制御4輪操舵システムのスーパーHICASなど、画期的な最新技術が投入されていました。

スカイライン伝統の丸目4灯テールランプや、引き締まった筋肉美とも形容できるマッシブなデザイン、そして驚異的なポテンシャルを持つ動力性能がレースでもストリートでも発揮され、現在でも人気のモデルとなっています。

8、トヨタ ランドクルーザー(80系)

トヨタ自動車のラインナップのなかで、もっとも長い歴史を持つのがランドクルーザーです。

世界中のあらゆる悪路を走り続けたランドクルーザーですが、バブル景気に沸く日本で誕生した80系は、ステーションワゴンをラインナップに追加。さらにリジッドアクスル式サスペンションのスプリングをリーフからコイル式に変更するなど、高級SUVとしての性格を強めたモデルとなりました。

4輪駆動の機構は、それまでのパートタイム式から、センターデフロック付きのフルタイム式に変更。フロントとリアのデフロックはスイッチで操作できる電動式で、イージードライブを可能にしました。

9、日産 インフィニティ Q45

日産の高級車ブランド、インフィニティのフラッグシップセダンとして、セルシオと同様1989年に誕生したのがQ45です。

高級車としては異例のグリルレスでデザインで登場したQ45は、全長5,090mmの堂々とした車体に、当時の国産車として最大級の4.5L 可変バルブタイミング付V8エンジンを搭載。

斬新なコンセプトで高級車市場に一石を投じた個性的なモデルではありましたが、国内市場ではあまり好意的な反応が得られずに販売は苦戦。1996年には生産を終了しています。

10、日産 180SX

スタイリッシュなFRクーペとして若者を中心に人気となったS13型シルビアの発売から1年後、リトラクタブル式ヘッドライトを採用した姉妹車として1989年に誕生し、人気となったのが180SXでした。

1993年にシルビアはS14型へとモデルチェンジしますが、ボディサイズを拡大したことでデザインにシャープさが失われたと市場では評価され、販売が低迷。そこで人気の続く180SXはモデルチェンジをせず、改良を続け、結果的に1998年まで販売されるロングセラーモデルとなりました。

平成が始まった1989年には、日本の自動車史を飾る数々の名車が誕生していました。さらにその翌年には、ホンダ NSX、トヨタ エスティマ、三菱 GTO、ユーノス コスモなど、時代を彩る伝説のモデルが続々と登場しており、当時の国産車市場が大いに盛り上がっていたことが想像できます。

新しい元号となる今年は、どんなモデルが誕生するのでしょうか。楽しみですね。

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文・立花義人
5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
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