水平対向エンジンってどんな仕組み?メリット・デメリット

水平対向エンジン

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かつてはさまざまなメーカーが製造していた水平対向エンジンは、いまや世界中でもポルシェとスバルしか作っていません。それはエンジン自体の性能よりも、車両に搭載する際の難しさと、製造コストからきている部分が大きいのですが、それを補っても余りあるメリットを持っています。そんな水平対向エンジンを詳しく見ていきましょう。

文・CarMe編集部
Chapter
水平対向エンジンとは?
水平対向エンジンのメリット・デメリット
水平対向エンジン搭載車
ポルシェの水平対向エンジン搭載車
スバルの水平対向エンジン搭載車

水平対向エンジンとは?

水平対向エンジンとは、レシプロエンジンの一つの形式で、クランクシャフトを挟んで対になるピストンが向かい合うように作動するエンジンのことです。その見た目は、クランクケースの左右、水平にシリンダーブロックが配置されます。

現在、メーカーによって量産されている水平対向エンジンは、6気筒と4気筒とバイク用の2気筒で、理論上は2の倍数の気筒数であれば作れます。

ちなみにバンク角180度のV型エンジンは、同じようなカタチをしていますが、V型の場合は向かい合ったピストン同士が共通のピンを使うため、ピストンは左右対象の動きをしていません。

水平対向エンジンのメリット・デメリット

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンのメリットは、理論上振動が少ないこと、低重心、同じ気筒の直列エンジンに比べて全長が短くなるなどです。

まず向かい合った隣同士のピストンが対になって動くうえに180°反転しているので、理論上は2次以上の振動まで相殺することが可能で、バランサーも必要ありません。

またエンジンは平べったいものになり、それを低い位置にマウントすることで低重心を実現できます。高さ方向にスペースが必要ないので、フロントエンジン車の場合、ノーズの高さを抑え空気抵抗を減らすことが可能ですし、なによりも低重心は、車両の運動性能に大きく寄与します。

さらに全長を短くできるので、室内の居住スペースを大きくとることも可能なのです。

水平対向エンジンのデメリット

もちろん水平対向エンジンにはデメリットもあります。それは、設計が大変なこと、横幅が広いこと、オイル漏れしやすいことなどです。

水平対向エンジンが低重心であることには間違いないのですが、吸排気系を含めた場合、通常はエンジンの下側に排気系をレイアウトすることになり、思ったように重心が低くならないということが起こります。

そのエギゾーストの取り回しを最良のものにするには、オイルパンが邪魔なのでレーシングエンジンのようなドライサンプのシステムを導入する必要がありとても高価なエンジンになってします。

しかもエンジン自体が、エンジンルームのなかで大きな面積を取るので、補機類をエンジンの上にしか設置できない場合も多く、ユニット全体としてみれば、それほど低重心を実現できていないなんてこともありえます。

また横方向に広いレイアウトは、もともとエンジンルームの横幅に余裕がないことがほとんどで、ピストンストロークによって排気量を上げることが困難です。さらに、ヘッドになんらかの機構を盛り込んだ際、ヘッドの厚みが増すことも嫌います。

そうなると、シリンダー径を広げて(ボアアップ)排気量アップを図り、エンジンはショートストロークになって、市販車用としては扱いにくくなってしまいます。そのため、エンジンの改良の際、自由度が少ないデメリットを持っています。

シリンダーが水平に寝かされているため、オイル漏れを起こしやすいのも水平対向エンジンの特徴です。普通はエンジンの最下部はオイルパンというオイルの受け皿のようなものがあります。しかし、水平対向エンジンは、別々のクランク、シリンダー、ヘッドが横に連結されているため、その間のガスケットからオイルがにじみやすくなるといわれます。

水平対向エンジン搭載車

水平対向エンジンは、現在ではポルシェとスバルでしか製造されていませんが、過去にはフォルクスワーゲンやアルファロメオ アルファスッド、シトロエン2CVやGS、トヨタ パブリカなどにも搭載されていました。

いまではその面影がまったく感じられないブランドで、水平対向エンジンが製造されていたのは、興味深いところです。それほど、過去には水平対向エンジンにメリットに、多くのエンジニアが注目していたということです。

しかし、前述したコストや設計レイアウトの難しさから、さまざまなメーカーが生産を打ち切り、いまではポルシェとスバルという2つのメーカーだけになってしまったことは寂しい限りですね。

ポルシェの水平対向エンジン搭載車

ポルシェの水平対向エンジン搭載車は、356、歴代911、ケイマン、ボクスターなどがあります。

356はポルシェの始まりであり、911の祖です。911は1964年の登場から現在まで、排気量はもちろん冷却方式まで変えながら、RRレイアウトと水平対向エンジン受け継いています。

一方、911よりも安価なポルシェとして企画されたモデルが、1996年に登場したボクスターです。ボクスターは、水平対向6気筒をミドシップに搭載したオープンモデルでしたが、2015年に発表された982型より、ダウンサイジングの水平対向4気筒ターボに変更されました。

同じミドシップのクーペボディを持つケイマンは、2005年に登場。2015年には、ボクスター同様、エンジンが水平対向4気筒ターボにあらためられています。

スバルの水平対向エンジン搭載車

現在のスバルは、自社で製造するすべてのモデルに水平対向エンジンを採用しています。

スバルの水平対向エンジンは、10万キロ連続走行世界記録のレガシィやWRCで活躍したインプレッサなど、華々しい歴史を持っています。

特にWRX STIはスポーツカー好きの憧れのモデルで、世界中で人気があります。過去のモデルもいまだに人気があり、中古車市場では高値で取引されています。

またトヨタ 86の兄弟車のBRZは、希少なFRレイアウトのスポーツカーとして人気です。

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