スバルはなぜ「雪道に強い」と言われているのか?

雪上や氷上など滑りやすい路面やオフロード、ラフロードなどと呼ばれる悪路での走破性の高さを謳うブランドはいくつもある。アウディ、ランドローバー、ジープといった欧米勢のほか、日本ではイメージ的にもスバルがその筆頭かもしれない。ほかにも、動画サイトでトラックを牽引したことで話題になったジムニーを擁するスズキ、あるいは三菱自動車などもそうだろう。ここでは、スバルがなぜ「雪道に強い」と思われているのか紐解いてみよう。

文・塚田勝弘

Chapter
同一条件下でテストしないと分からない!?
スバル 4WD開発の歴史
スバルが雪道に強いと思われる所以

同一条件下でテストしないと分からない!?

スバル フォレスター

スバルはプレス向けに北海道や東北などで雪上試乗会を開催している。最近では、レクサスやマツダ、ホンダや三菱自動車なども北海道で毎年のように雪上試乗会を開催しているし、日産自動車は全面凍結した長野県の女神湖で氷上試乗会を、そのほか輸入車ブランドやタイヤメーカーなども開催している。

筆者も年に1、2回、こうした雪上、氷上試乗会に行く機会があり、今回のお題である「スバルはなぜ雪道に強いと言われているのか?」を実感するチャンスを得ている。結論から言ってしまえば、同一条件下で多様なテストをしなければ、どのメーカーや車種が雪道に強いのか論じることはできない。

大きな傾向としていえるのは、電子制御やスタッドレスタイヤの進化もあり、どのメーカーも雪上などの悪路走破性を着実に進化させているということ。さらに、日産 リーフやノート e-POWERといった電動化車両を雪上や氷上で走らせると、発進時から緻密な制御が可能なモーター駆動の利点を活かして、驚くほど扱いやすいなど、電動化車両の利点も感じることもある。

当然ながらスバルだから無条件で雪道に強いと断言できることはなく、軽量を活かしてスズキ ジムニーが最強という人もいるだろうし、雪上での快適性を含めてランドローバー各モデルが一番だと主張する人がいるかもしれない。

スバル 4WD開発の歴史

1972 レオーネ 4WDエステートバン

前向きが長くなったが、スバルの4WD開発は1972年生まれの「レオーネ エステートバン4WD」にまで遡る。スバルによる4WDのプレゼンでも必ず登場するクルマだ。

それまでジープなどを使って送電線のメンテナンスなどに出かけていた東北電力が、1971年にスバルにオーダーした「ff-1 1300 Gバン 4輪駆動車」のノウハウを活かして作ったモデルであり、乗用車の4WDとしていち早く市場投入されたという歴史があるから「スバルは雪道に強い」となった一因かもしれない。

乗用車の4WDとして世界初や元祖的存在とも語られるが、4WDの歴史は1900年代初めまで遡るし、何を持って乗用車というのか曖昧だ。スバルは、「乗用車タイプの量産車としては世界初の4WD」を標榜している。

スバルが雪道に強いというイメージは、上記した東北電力の要請が主に雪上というシーンであり、日本の滑りやすい雪上条件(べちゃ雪など)をクリアする必要があるということもあるのかもしれない。

さらに、雪だけでなく泥(泥濘地)やアイスバーンなどでの走破性を確保すべく、パートタイム式4WDにこだわってきた、あるいはスタートした(エンジン横置きのFFからスタートした)という歴史もあるかもしれない。

スバルが雪道に強いと思われる所以

スバル XV 雪上走行

現在のスバルのAWDには、車種のキャラクターやモデル別の出力特性などに合わせて、インプレッサなどにはビスカスLSD付センターデフ方式AWD、WRX STIにはドライバーズコントロールセンターデフ式(DCCD)、レヴォーグ(1.6L)やアウトバックなど多くのモデルには、アクティブトルクスプリットAWD式、レヴォーグ(2.0L)やWRX S4にはVTD-AWD式を採用している。

さらに、よく言われるのが、水平対向エンジンが低重心であるということ(実際に低い位置にエンジンが配置されているかは別にしても)、水平対向エンジンを活かした左右対称のシンメトリカルAWDという特性もスバルではアピールしている。

また、最近のスバル車には、エンジンやトランスミッション、AWD、VDC(横滑り防止装置)を統合制御する「X-MODE」モードが備わり、さらに雪上で走らせやすくなったのは間違いない。ほかにも他メーカーも採用しているヒルディセントコントロール(下り坂をブレーキ操作なしに一定速でクリアできる)の効果も絶大だろう。

冒頭で紹介したように、どのメーカーも4WD開発に注力している。スバルはFFもラインナップするが、ほぼ4WDという構成になっていることも、雪道に強いというイメージを定着させているのかもしれないし、ユーザーの実体験が口コミなどで広まった結果ともいえるかもしれない。