なぜ日本では、スーパーチャージャー車が少ないのか?

昨今、小排気量エンジンに過給機をつけた、高効率・低燃費のダウンサイジングターボが主流となっています。エンジンへの過給システムには、他にスーパーチャージャーがありますが、日本で現在採用されている車種はほとんどありません。なぜなのでしょうか?

文・立花義人

Chapter
スーパーチャージャーとは
スーパーチャージャーのメリット
スーパーチャージャーのデメリット
日本でスーパーチャージャー車が少ない理由

スーパーチャージャーとは

トヨタ MR-2

自然吸気(NA)エンジンでは、大気圧以上の空気をシリンダー内に送り込むことはできませんから、エンジンの出力は排気量相応のものとなります。

しかし、ターボチャージャースーパーチャージャーなどの「過給機」を搭載すると、それらにより圧縮した空気を強制的にシリンダー内に送り込むことができ、同じ排気量でも高い出力を得ることができます。

過給機とは、ひと言でいえば、コンプレッサーで圧縮した空気をシリンダー内に送り込む装置ですが、エンジンから出た排気ガスをタービンに当てて回転させ、その力を利用してコンプレッサーを回すターボチャージャーと、エンジンによって得られた回転力を利用してコンプレッサーを回すスーパーチャージャーという違いがあります。

スーパーチャージャーのメリット

スーパーチャージャー HR12DDRエンジン

ターボチャージャーは排気ガスを利用してタービンを回すので、十分な過給圧を得るためにはある程度のエンジン回転数に達する必要があります。一方、スーパーチャージャーはエンジンの回転力を利用しているので、低回転時でも過給が可能です。

また、ターボチャージャーではエンジン回転数とパワーの出方に時間差(ターボラグ)が生じるのに対し、スーパーチャージャーはアクセルを踏んですぐに過給が始まるので、レスポンスが良いというメリットもあります。出力特性もエンジン回転数にほぼ比例し、スムーズです。

スーパーチャージャーのデメリット

良い点がたくさんあるように思えるスーパーチャージャーですが、デメリットもあります。

スーパーチャージャーはその仕組み上、エンジンの力を使って駆動していますから、当然エンジンへの負荷が増大し、ロスが発生します。さらにエンジンが高回転時には、過給機の負荷が大きくなってしまうため、ターボチャージャーほどパワーを得ることはできません。

そしてターボチャージャーと比べて、本体のサイズが大きく、重量も増えます。これは、燃費性能やコスト面で不利になってしまいます。

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