じゃじゃ馬っぷりがたまらない…ドッカンターボといわれた車5選

ホンダ シティ ターボⅡ

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「ドッカンターボ」という言葉を聞かなくなって数十年。読者のなかには、すでにこの表現を知らない方もいるかもしれませんね。決してターボ車が珍しいわけではないのですが、いったいこの「ドッカンターボ」とは、どんなクルマのことを指していたのでしょうか。

文・立花義人
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ドッカンターボとは?
ドッカンターボと言われたクルマたち

ドッカンターボとは?

「ターボ」とは、ターボチャージャーという名称の略語です。エンジンの排気ガスの流れを利用してタービンを回転させ、それに直結されたコンプレッサーが、強制的に空気を過給(押し込む)し、シリンダー内に入る酸素量を増大させ、エンジン出力を上げる仕組みのことです。

ターボは排気ガスの流れを利用して過給するため、エンジンが低回転の場合は、タービンの回転数は低い状態となります。そのため、コンプレッサーは十分な過給ができません。

そこでアクセルペダルを踏み込んで、エンジンの回転数を上げるのですが、タービンの回転はエンジン回転と比例するわけではなく、やや遅れて立ち上がり、ようやく十分な過給ができるようになります。このアクセルペダルを踏んでから、過給が始まるまでの時間差を「ターボラグ」といいます。

排気量の小さなクルマに大きなタービンを付けると、最高出力は稼げますが、ターボラグも大きくなります。低回転域では、緩やかな(むしろ遅く感じる)加速から、過給が始まった途端、急激にエンジントルクが増え、身体がシートに押し付けられるような加速へと変化します。この爆発的な体感上の変化が味わえるエンジンの特性を「ドッカンターボ」と表現していたのです。

ターボが、高性能の代名詞となりつつもターボラグを解消する技術がまだ進んでいなかったころ、やみつきになるような加速を味わえた、ドッカンターボ車がありました。そのいくつかを紹介していきます。

ドッカンターボと言われたクルマたち

①日産 スカイライン 2000 ターボRS(R30)

1981年に登場した6代目スカイライン(R30)に、ターボが装着されたモデルが追加されたのは1983年のこと。

当時呼ばれていた、"史上最強のスカイライン"の名に恥じない190psのエンジンフィールは、まさに「ドッカンターボ」そのものでした。

1984年にはターボに空冷式インタークーラーを装着し、最高出力が205psまで高められた2000 ターボ インタークーラーRS(通称ターボC)を追加。その荒々しいエンジンフィーリングに、さらに磨きがかかりました。

②BMW 2002 ターボ

1966年から1977年にかけて製造されたBMWの小型2ドアセダン、日本では通称”マルニ”と呼ばれたモデルです。マルニシリーズで、最強の2002ターボは、1973年に追加されました。

航空機のエンジンメーカーでもあったBMWは、航空機ですでに採用されていたターボの技術を、世界で初めて市販車に応用したのです。

1,990cc 直4 SOHCターボチャージャーで武装されたエンジンは、170psを発生させていましたが、燃料噴射は電子制御ではなく機械式、かつインタークーラーも装備されなかったため、燃費が悪く、第一次オイルショックの影響もあって、1,672台で生産中止となりました。

③日産 シーマ(Y31)

ドッカンターボ代表として名を挙げる方も多いY31シーマは、1988年に発売されました。高級車でありながら、当時の好景気も手伝って販売は好調で、「シーマ現象」という言葉も生まれたほどでした。

鎌倉の大仏をモチーフとしたデザインは、ジェントルで落ち着いた印象を与えますが、アクセルを踏み込んだときに、リアを深く沈めて暴力的とも言える加速をする姿は、当時の若者に強烈な印象を残しました。

④ランチア デルタ HFインテグラーレ 8V

1979年に販売開始されたランチア デルタ。シリーズのなかでも、2,000cc 直4 DOHCターボにフルタイム4WDという組み合わせのHF インテグラーレは、1988年に設定されました。

185psの出力を誇るエンジンの特性はドッカンターボそのもので、アクセルを全開にするのが怖いほどの加速を味わえます。翌年に設定された16V以降は、エンジン出力が向上しているものの、その特性は幾分マイルドになっており、ドッカンターボを味わうには8Vのほうが良いようです。

⑤ホンダ シティ ターボⅡ

”トールボーイ”と呼ばれた背の高いユニークなデザインが採用された初代シティは、1981年に発売され、人気車種となりました。このシティにターボモデルが追加されたのは翌1982年。そしてさらに1983年にはインタークーラーターボ付きのターボⅡ(通称ブルドッグ)が追加されました。

ターボⅡの最高出力は110psで、エンジン回転数が3,000rpm以下の時にアクセルを全開にすると、10秒間だけターボの過給圧が10%上がる「スクランブルブースト」という機能が装備されていました。

ドッカンターボの特性を、クルマとしての魅力に生かそうという発想の転換が新鮮で、その凶暴ともいえる加速を感じつつ、強烈なトルクステアと闘いながらクルマの挙動をねじ伏せていく”じゃじゃ馬ならし”のような楽しみを持つクルマでした。

最近では、小排気量エンジンにターボを組み合わせ、環境性能・燃費性能に優れたダウンサイジングターボが増えてきましたが、昔のドッカンターボには、じゃじゃ馬なエンジンを操る楽しさや面白さがありましたね。

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文・立花義人
フリーライター。5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
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