輸入車No.1の座を奪い合うMINIとゴルフ、それぞれの魅力とは

VW ゴルフ 2017

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ここ数年、右肩上がりに販売台数を伸ばしている輸入車。その中で、目立って好調なのが「MINI」と「ゴルフ」です。ここ数年、ライバルとして常に輸入車新車登録台数トップの座を巡ってしのぎを削ってきた2台。今回は、この2モデルにスポットを当てます。

文・山崎友貴
Chapter
絶対王者と思われたゴルフ
商品企画でゴルフに勝ったMINI
優等生のゴルフ、遊び上手のMINI、あなたならどちらを選ぶ?

絶対王者と思われたゴルフ

日本の輸入車市場では長きに渡って、フォルクスワーゲン・ゴルフが新車登録台数でトップの座にいました。ゴルフが日本に導入されたのは、初代がデビューした1974年。日本は高度成長期でしたが、世界的なオイルショックが始まった頃でもありました。そのためガソリンが急騰し、世界的に燃費のいいコンパクトカーが注目されるようになっていた時期でした。

当時、日本に輸入されていた車はまだまだ車種が少なく、同時にほとんどが大型大排気量。さらに高価で、庶民には高嶺の花だったのです。そんな中で登場したゴルフⅠは、コンパクトなのに室内効率に優れ、しかも比較的に安価でした(とは言え、廉価グレードでも200万円を超えていましたが…)。

そもそも日本人は小さく高性能な製品を好む嗜好があり、しかもフォルクスワーゲンというブランドは「ビートル」ですでに認知度抜群。富裕層などを中心にゴルフは人気を博し、それが徐々に一般にも広がっていきました。結局、初代は1992年まで造られたロングライフモデルとなり、世界で約39万台も販売されました。

輸入車の中では壊れにくく、しかも低燃費だったゴルフは、確固たるブランドを築いていきます。Ⅱからはどんどんサイズアップしていきましたが、時代の潮流を読んだ製品企画が功を奏し、日本では常に「一番売れている輸入車」の称号を欲しいままにしてきたのです。

商品企画でゴルフに勝ったMINI

2017年1月に日本自動車組合(JAIA)が、2016年度の輸入車新車登録台数を発表した時、自動車業界はざわつきました。

それは、絶対王者だったゴルフが2位に陥落し、トップの座にMINIがおさまったからです。ゴルフが2万2,372台だったのに対して、MINIは2万4,917台。2017年度にはMINIが2万5,566台、ゴルフが2万2,968台という結果になりました。

もともとMINIは日本で第一世代が発売して以来好調をキープ。2006年度の販売データを見ても、ゴルフ、BMW3シリーズに次いで3位の販売台数を誇っていました。

MINIがデビューしたのは2001年。ご存じの通り、先代のクラシック“Mini”は高効率なミニカーでした。これを製造販売する英国のローバー社を、BMWが傘下に入れた頃から、現代の生活に見合った新型の開発が始まりました。当時のBMWはラインナップにコンパクトカーを持っておらず、すでに確固たるブランド力を持った「ミニ」の名前に頼ったのは自明の理と言えます。
BMWがローバーを手放した後、開発は完全にドイツ主導で進められ、その結果希代の名車が誕生しました。当初のMINIのラインナップを見ると、ゴルフを意識していることがよく分かります。ベーシックグレードの「One」、スポーツバージョンの「クーパー」、そしてスーパースポーツの「クーパーS」。ゴルフがGTiやRをラインナップしているのと、実によく似ています。

クラシックMiniの雰囲気をうまく残した、デザインヘリテージという手法はMINIのアドバンテージです。誰がどの世代を見ても「ミニ」と分かるのは、このクルマの最大の武器と言えるでしょう。乗っても「ミニ」のアイコンであるセンターメーターがすぐに目に入り、所有していることの歓びを増幅してくれます(第3世代では廃止)。
第一世代においてMINIが、ゴルフに勝てない部分があるとしたら、それは3ドアハッチバックというボディ形状でした。やはり5ドアは使い勝手の上でアドバンテージが大きく、市場ではMINIの後部座席への乗り込みづらさゆえに購入をためらう人がいたのも事実です。

ですが、それも第2世代で一気に解消。クラブマン、カントリーマン、クロスオーバーなどの5ドアハッチバック仕様を追加。さらに第3世代では5ドアを加えて、盤石の体制を作っているのです。この選択肢の幅こそが、MINIの最大の魅力なのではないでしょうか。

優等生のゴルフ、遊び上手のMINI、あなたならどちらを選ぶ?

もちろん、ゴルフが進化を止めているわけではありません。時代の生活感にあったサイズアップを図っているだけでなく、最新の環境エンジンの搭載、燃費性能や運動性能向上のための軽量化、安全性能の進化など、MINIが及ばない部分はいくらでもあります。そして何よりも、ゴルフには“安定感”があります。

遊び心を前面に押し出したMINIに対して、ゴルフは派手さこそありませんが、落ち着きと品の良さを纏っていると言えます。ところが残念ながら、VWは2015年の排ガスデータ改ざん問題で、市場の信頼を失う結果になりました。ゴルフが2位になったことも、この件が少なからず影響しているのかもしれません。

しかし私見ですが、この登録台数の差はMINIの豊富なボディバリエーションゆえと考えます。パワーユニットや味付けの差も魅力的ではありますが、やはり分かりやすいのはパッと見の違い。明らかに違うボディ形状の中から、自分のライフスタイルにあったモデルを選べるというのは、魅力的です。しかも、どれを選んでもMINIなわけです。これは他のモデルにはありえない特徴です。

時代の気分が変われば、また両車の勢力図が変わる可能性は十分にあります。ただし、MINIは3ドア、5ドア、コンバーチブルでマイナーチェンジを実施し、それが今後日本に導入されます。一方のゴルフもまた、2018年に新型が登場すると噂されています。これにより市場がまた活性化するのは間違いありません。

頭が良くて皆から頼りにされる学級委員長「ゴルフ」、遊び上手でクラスの人気者「MINI」。あなたならどちらを選びますか?

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