トヨタのTNGA導入による効果とは

トヨタ C-HR TNGAシャーシ

※この記事には広告が含まれます

トヨタの新型車発表のときによく目にする「TNGA」という文字。2015年末、4代目プリウスに初めて導入されたものですが、これはいったいなんのことで、導入によってどんな効果が期待できるのでしょうか。改めて振り返ってみましょう。

文・吉川賢一
Chapter
TNGAとは
TNGA導入によってクルマはどう変わったか?

TNGAとは

TNGAとは『トヨタ ニュー グローバル アーキテクチャー(Toyota New Global Architecture)』の略称で、トヨタが新プラットフォームを基幹として、商品力の向上と、原価低減を同時に達成するための車両作りシステム「もっといいクルマづくり」を目指した設計思想のことです。

TNGAではおもに、下記の項目に取り組むことにより、「もっといいクルマづくり」の達成を目標にしています。

商品力の向上

車種をその使用目的や方向性別に「ゾーン」と呼ばれる4つのジャンルに分け、各ジャンルに見合った商品ラインナップを確定し、搭載するユニットや採用するプラットフォームを選定します。

TNGAにおける基本プラットフォームは、「乗り降りや運転のしやすさ」を最優先課題とし、低重心化・各部品の低配置化などを追求したうえで、走りの質感、快適性、使い勝手、所有感、安心・安全の5つの分野で、高い満足が得られることを目標に開発されています。

パワートレインユニットについても、低重心・高性能なユニットを開発し、順次搭載していくようです。

グルーピング開発による部品の開発効率化

グルーピング開発とは、中長期の商品ラインナップを確定し(たとえば数年後から10年程度先の車種を選定)、搭載するユニットや配置を設計思想として定め、複数の車種を同時に開発していく手法です。

これにより複数の車種の部品やユニットを共有化できるため、販売する地域や期間をまたいで“大量まとめ発注”を行うことで、開発の効率化を行うことができます。TNGAでは20〜30%の開発効率向上を目指し、その結果得られたリソースをさらに「もっといいクルマづくり」に投入していく、ということを目指しています。

ものづくり改革

仕入先・調達・生産技術・開発の各部門が一体となって活動し、生産、組み立てにおいて、より効率的な稼動を目指します。

TNGAでは、これまでのトヨタ専用規格に準じた部品開発ではなく、トヨタの定める品質を満たせば、他メーカーが採用する部品でも納入可能とする基準を新たに設け、開発費や部品点数や工期を極限まで削り、あらゆる工程でのコスト削減を可能とします。

要約すると、TNGAとは、「いいクルマづくりを目指すために、クルマを骨格から変えていきます。その際、部品の低配置化、低重心化による基本運動性能の向上と、カッコいいデザインによって、顧客の感性に訴えるクルマを作ります。さらに、開発・生産に関わるあらゆる要素を見直して、コスト削減を同時に達成します」という取り組みのことをいいます。

TNGA導入によってクルマはどう変わったか?

TNGAが初めて導入された実車は、2015年末に発表された4代目プリウスでした。そのエクステリアデザインは、それまでのキープコンセプトではなく、低重心化によるエモーショナルなスタイルへと変化したことに驚かれた方も多いと思います。

3代目と比較して、全高、ノーズ先端、ボンネットフード後端、リアスポイラー高さ、ハイブリッドシステムの搭載位置、ラゲッジルームの床面高さ、ドライバーの着座位置、それぞれが全て低くなっています。加えて、車体剛性は65%も上げることに成功、ハンドリングや乗り心地の向上に貢献しています。

ただし、4代目プリウスのパワートレインは従来型を採用していました。TNGA導入第2弾として登場したSUVのC-HRも同様です。

TNGAによって開発されたパワートレインを搭載する、いわゆるフルTNGAとなった始めてのモデルは、2017年デビューの新型カムリでした。新型カムリは、TNGA導入によって、低重心・高剛性・エモーショナルなデザインを実現し、先代から大きく運動性能が進化したと言われます。

自動運転やコネクテッドカーの新技術開発にも注力する必要があるなか、基本的なクルマづくりにTNGAがどのように効果を発揮するのか、今後も注目していきたいと思います。

【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細