なぜF1のタイヤ交換は2秒以内でできるのか?

レッドブル F1 タイヤ交換

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1,000分の1秒を競い合うF1レースの世界においては、ピットストップもレースの一部です。F1のピットストップでタイヤ交換にかける時間は、たった2秒。4本あるタイヤがたった2秒で交換できるのはなぜなのでしょうか?

Chapter
F1のピットストップはシビア
ピット要員は最低でも16人!
ナット一体型ホイールシステム
トレーニングと繰り返しの練習

F1のピットストップはシビア

F1のレギュレーションが毎年のように変更されるなか、レース展開は昔よりもシビアになってきています。

マシンがイコールコンディションになるよう決められたレギュレーションの下では、ドライバーがコース上で奮闘して、ライバルに0.1秒の差をつけるのは容易ではありません。そのため、ドライバーの技術やマシンの性能にくわえて、ピットストップは非常に重要なレースの要素となってくるのです。

まして1秒の遅れともなれば、ドライバーがコース上で取り戻すのは、まさに至難の業。タイヤ交換のためのピットストップをいかに短くするかが、良いレース結果へとつながってきます。

現在、たった2秒でタイヤ交換がされていますが、なぜ4本あるタイヤをそんなに速く交換できるのでしょうか?

ピット要員は最低でも16人!

F1のタイヤ交換が早い理由の一つが、作業人数が多いためです。

F1では、他の多くのレースとは異なり、ピット作業の人数に制限がありません。映像をご覧になった方ならおわかりになると思いますが、ほぼマシンが隠れるくらいの人数のピットクルーが、まさに群がるようにマシンを取り囲み、あっという間にタイヤ交換を終わらせます。

タイヤ交換の際、ピットクルーは次のように、作業の役割分担をします。

・マシンのジャッキ(持ち上げたり、下げたり)担当 前後各1名
・ホイールガン(タイヤのナットをゆるめたり締めたりする工具)担当 各タイヤに1名ずつ
・タイヤ取り外し担当 各タイヤに1名ずつ
・タイヤ取り付け担当 各タイヤに1名ずつ
・スタビライザー(持ち上げたマシンが作業中に揺れないように押さえる)担当 1名

上記の他にも控え要員やサブジャッキ(ジャッキがトラブルを抱えた時にすぐに交代してジャッキを差し込む)担当など、ピット要員は最低でも16人、多いチームで20人を超えます。

ナット一体型ホイールシステム

F1のタイヤ交換が早い理由の二つ目は、ナット一体型ホイールシステムにあります。

乗用車のホイールナットの数は、1本に4〜5本が一般的ですが、F1の場合は真んなかにおおきなナット1本だけで留まっています。しかもホイールのなかにナットが組み込まれていて、タイヤを外すときも取り付けるときもホイールガンのトリガーを引くだけで、ナットの緩め、締め付けを行うことができます。

またホイールナットのネジ山は、ナットを回転させる時間を節約するために最小限にとどめられています。フェラーリチームのネジ山は、3つしかありません。これにより一瞬にしてホイールの取り外し、取り付けを行うことが可能となっているのです。

トレーニングと繰り返しの練習

また、前述の作業担当は自分の役割に関してトレーニングを受け、ドライバーと同様に本格的な準備を行っています。クルーは自分の作業手順がスムーズになるまで数百回の練習を繰り返し、レースが行われる週末も絶えず練習を行っています。

作業は大勢のクルーによって行われるため、ひとりひとりの動きは緻密に計算されており、各クルーが自分の作業に注意を傾けることによって、一連の流れが出来上がるようになっています。もちろん人間が行うことですから「ミス」が生じることもありますし、機械がトラブルを起こしてイレギュラーな事態が生じることもあります。

そのため、一瞬たりとも気の抜けないピット作業において、シビアな練習は欠かすことができないのです。


F1のタイヤ交換が2秒以内でできるのは、訓練されたピットクルーの努力の賜物、そして最新の技術によるものです。F1レースを楽しむ際には、ピットストップの様子に注目してみるのもいいかもしれません。

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