岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.98 踊らされることなかれ

このところ目に付くEVに関する話題だが、大手メディアの記事でも事実誤認があったり、誤解を招くような書き方になってたりすることが多い。たとえばフランスとイギリスが「2040年にガソリン車とディーゼル車の販売禁止を決定」という話題。

text:岡崎五朗 [aheadアーカイブス vol.178 2017年9月号]

Chapter
VOL.98 踊らされることなかれ
シトロエン・C3
トヨタ・ヴィッツ ハイブリッド
アウディ・Q2
メルセデス ベンツ・Mercedes-AMG E 63 S 4MATIC+

VOL.98 踊らされることなかれ

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい ロゴ

これだけを見ると英仏ではすべてのクルマがピュアEVになると思ってしまいがちだが、実はそうではなく、ハイブリッドやプラグインハイブリッドの販売は認められる。

「ボルボが2019年からすべてのモデルを電動車にする。」というのも衝撃的なニュースだったが、これに関しても、電動車はハイブリッドとプラグインハイブリッドが含まれる。

しかもボルボが開発しているハイブリッドは48ボルト電源システムを使ったシンプルかつ低コストなマイルドハイブリッドであり、作動電圧は違うが基本的にはワゴンRやセレナと同タイプ。

200万円台で買えるミニバンや100万円台で買える軽自動車にまで降りてきているシステムであることを考えれば、日本にとっては衝撃的でもなんでもなく、むしろなにをいまさらという話しである。

こうしたニュースを引き合いに出し、日本はEVシフトで遅れをとっている! などと騒ぎ立てた記事がミスリードであるのは明らかだ。

もう一点、目に付いたのが「EVが善、エンジンが悪」という決めつけだ。EVはたしかに走行段階ではCO2を発生しないが、それは発電所の煙突が排気管の代役を果たしているから。

原子力発電(の是非はともかく)が75%に達するフランスならともかく、電力の85%を火力発電が占める日本ではEVが増えたところで劇的なCO2削減にはならない。25〜30㎞/ℓ走るガソリン車であればCO2排出量はEVとほぼイーブンだ。

もちろん、石油が有限資源である以上、いずれは枯渇するわけで、将来のEV化は避けては通れない。しかし急速なEVシフトは電力や充電といったインフラ面での混乱を招く。

来たるべきEV時代の到来に備えそれはそれできちんとやりつつ、一方でエンジンのさらなる改良やバイオ燃料の研究開発など、あらゆる可能性を追求していくことが現段階ではもっとも利口なやり方だ。いまEVだけに賭けるのはリスクが大きすぎる。

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