岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.99 ダイソンのEV参入

このところEVの話題で持ちきりの自動車業界。先日のフランクフルトモーターショーではドイツメーカーを中心にEVのコンセプトカーが大量に展示され話題をさらっていた。

text:岡崎五朗 [aheadアーカイブス vol.179 2017年10月号]

Chapter
VOL.99 ダイソンのEV参入
スズキ・スイフト(フルハブリッド)
BMW・M4
ロールス・ロイス・Dawn
レクサス・LS

VOL.99 ダイソンのEV参入

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい ロゴ

まだ試乗はできていないが、ほぼ価格を維持したまま航続距離を400km(JC08)まで伸ばしてきた新型リーフも、今後のEV普及を占ううえで非常に重要な存在になるだろう。

一方、トヨタの豊田章男社長は「EVはクルマのコモディティ化を招くリスクがある」と警戒する。たしかにエンジンがモーターに置き換われば、エンジンのフィーリングという、クルマの味を決定づける大きな要素が失われる。ポルシェに乗ってもBMWに乗ってもスバルに乗ってもホンダに乗ってもモーターはモーターだよね、というように。

そんななか、ダイソンが2020年までにEV事業に参入するというニュースが飛び込んできた。ダイソンと言えば、掃除機や扇風機といった究極のコモディティ商品を、独自のテクノロジーとデザインによって先端的なライフスタイル商品へと見事に生まれ変わらせたメーカーだ。

ダイソン以前にも「デザイン家電」と呼ばれるジャンルはあったが、ちょっとお洒落なデザインを与えた程度のもので、革新的かと問われれば、決してそんなことはなかった。

その点、ダイソンは自社開発の超高性能モーターとサイクロン機能を組み合わせた掃除機や、羽を廃した扇風機など、あっと驚くアイディアと技術と次々に投入。クールなデザインとあいまって一躍人気ブランドへと上り詰めた。

掃除機や扇風機やヘアドライヤーですらクールにしてしまうダイソンがEVをつくったらどうなるんだろう?詳細はまだまったくわかっていないが、想像するだけでワクワクしてくる。

テスラもそうだが、EVはクルマのコモディティ化を招くどころか、むしろこれまでクルマに縁のなかった魅力的なチャレンジャーの参入を促進するきっかけになると考えるべきだ。この動きはユーザーにとって喜ぶべきことだが、自動車メーカーにとっては試練のひとつになるだろう。

既存メーカーにはこれまでの成功体験に縛られず、積極的に新しいワクワクを生みだして欲しいと思う。

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