岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.110 グラフィックボードと自動運転

パソコンに詳しい人、とくにPCでゲームを楽しんでいる人であれば、NVIDIAというメーカーのことをよく知っているだろう。PCでゲームを楽しむのに不可欠な高性能グラフィックボードの最大手である。

text:岡崎五朗 [aheadアーカイブス vol.190 2018年9月号]

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VOL.110 グラフィックボードと自動運転
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VOL.110 グラフィックボードと自動運転

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そのNVIDIAが、新しいビジネスの柱として位置づけているのが自動運転だ。すでにトヨタやメルセデス、BMWといった多くの大手自動車メーカーや、ボッシュやコンチネンタルといった巨大部品メーカー向けに技術を提供している。

グラフィックボードと自動運転。一見関係ないように思えるが、「画像処理」という点では共通項が多い。車載カメラや各種センサーから入ってくる大量のデータを同時並行で瞬時に処理するには、PCの頭脳に使われるCPUよりも、グラフィックボードに使われるGPUのほうが適しているのだ。またAIディープラーニングにもGPUは適している。そしてNVIDIAには世界最高峰のGPU技術がある、というわけだ。

昨年、日産の自動運転実験車を取材した。その挙動は予想以上にスムーズだったが、トランクルームは巨大なコンピューターで占領され、かつシステムの消費電力は2,000ワットに達すると聞いた。よく自動運転とEVは相性がいいと言われるが、貴重な電力を大量に消費することを考えれば決して相性がいいとは言えないし、ガソリン車に使っても燃費の悪化は避けられない。

しかし、GPUを上手く使えば、サイズも消費電力も数10分の1にできる。実際、ひと昔前のスーパーコンピューター並みの演算能力をもつシステムを、宅配ピザケース並みのサイズまで小型化する目処が立っているという。今後さらにチップの集積が進みサイズが小さくなれば消費電力もコストも劇的に下がる。もちろん、だからといって自動運転がすぐさま実用化されるわけではない。

計り知れないほど多くの不確実性が存在する公道で自動運転を実現するには越えなければならないハードルがまだまだ数多く存在するからだ。しかし、NVIDIAが誇る高度な画像処理技術が自動運転の実現に今後大きな役割を果たしていくことは間違いない。PCのグラフィックボードから自動運転。まさに瓢箪から駒である。

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