岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.59 芸能人の交通事故

先日、タレントのつちやかおりさんが交通事故を起こしたというニュースが新聞、テレビ、webで盛んに報じられた。どうやら一時停止を無視した自転車が横から突っ込んできたようだ。多くの事故はドライバーの注意とテクニックで防げるが、なかには今回のように防ぎようのないケースもあるわけで、彼女にとっては不運だったとしか言いようがない。

text: 岡崎五朗 [aheadアーカイブス vol.139 2014年6月号]

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岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.59 芸能人の交通事故
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岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.59 芸能人の交通事故

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そんなことよりも僕が違和感を覚えたのは、大手新聞を含む主要メディアのほとんどがこのニュースを報じたことだ。いくら不倫疑惑のさなかとはいえ…それはちょっとないんじゃないのと。

もっとも、これは今に始まったことではない。たとえ軽微な事故でも、芸能人やスポーツ選手が当事者だと、マスコミは鬼の首を取ったようにいちいち報道してきた。最近では江角マキコさんが運転するクルマのドアミラーがタクシーに接触しただけで報道された。

なぜそんな軽微な事故までマスコミがキャッチできるのかというと、理由は簡単。警察が発表するからだ。しかし僕は報道各社に言いたい。有名人の事故を報じることでドライバーの安全意識を高めようという、はなはだ効果に疑問のある警察の思惑にあなた方はまんまとのせられているだけですよと。

もちろん、交通事故の報道そのものを否定するつもりはない。ただ、有名人が絡んでいるという理由だけで軽微な事故まで報じることに僕はなんら必要性を感じない。きちんとした取材をして、こんな場合はこうすれば事故は防げたという内容にするなら意義はあるけれど、そうでないなら興味本位のゴシップネタと質的に何ら変わりがないと思うのだ。

それどころか、今回のようなケースが続けば、クルマ=悪者、交通事故=クルマが一方的な加害者という世間の誤った認識にますます拍車をかけ、それが行き過ぎた弱者保護にお墨付きを与え、ひいてはすべての善良なドライバーに不利益を及ぼす恐れすらある。

とくに社会に大きな影響を与える大手報道各社には、重い公共性をになった者の矜恃をもって報道内容を精査することを望みたい。

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