岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.80 リーフ vs 180SX

日産リーフのCMが話題になっている。'80年代後半から'90年代にかけて高い人気を誇ったスポーティークーペ「180SX」とリーフを競争させ、リーフが180SXをぶっちぎるという立て付けだ。なんでこんなCMを流しているのだろう、とあっけにとられた。そこで日産の担当者に狙いを聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。

text:岡崎五朗 [aheadアーカイブス vol.160 2016年3月号]

Chapter
VOL.80 リーフ vs 180SX
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VOL.80 リーフ vs 180SX

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい ロゴ

「市場調査をしたところ、電気自動車は遅い、走らないというイメージがあるので、それを払拭するためにあのCMをつくりました」

僕はリーフに乗ったことがあるから、発進直後の加速が優れていることはすでに体感済み。だが、リーフに乗ったことがない一般ユーザーの多くは、リーフのことを遅くてかったるくて退屈なクルマだと見ていて、それがリーフが思うように売れない大きな原因になっているというのが日産の揺るぎない考えのようである。でなければわざわざCMをつくって出足のよさを訴求したりしないだろう。

本当にそうなのだろうか? いやいや、ちゃんとした調査の結果なのだから本当にそうなのだとは思う。けれどそれが、失敗とまでは言わないけれど、リーフが思ったほど売れていない最大の理由だとする「考え」に僕は反対だ。

リーフの販売が伸び悩んでいるのは、そもそもリーフを大量に販売しようとしたことにある、と僕は思っている。航続距離が短く、値段が安いわけでもなく、急速充電器で充電している無遠慮なPHVオーナーに腹を立てさせられ…そこまでしてなぜわざわざリーフを買うのかといえば、EVという存在がカッコいい、EVに乗っている自分が素敵、という気持ちである。

そういうマインドをもつ人は、自社の過去の名車を貶めてまでして出足のよさをわかりやすく伝えなければ買ってくれないような人たちとは別世界に住んでいる。少なくとも現段階では、マーケティング用語でいうところのレイトマジョリティにアピールしようとすればするほど、EVに魅力を感じている人たちはシラけることになるだろう。

日産がなすべきことは安易なCMを流すことではなく、デザイン改革を含め、リーフをよりカッコよく尖らせることにあると思うのだ。

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