岡崎五朗のクルマで行きたい VOL.56 奥深いタイヤの溝

2度にわたる2月の大雪は、首都圏に住む人にもスタッドレスタイヤの重要性を印象づけた。僕も、次の冬は自分のクルマにスタッドレスタイヤを履かせることに決めた。新商品が出揃う夏になったら商品選びを始めるつもりだ。しかしスタッドレスのことを考える前に、もっと大切なことがある。夏に向け、次第に増していく雨への備えだ。

text:岡崎五朗  [aheadアーカイブス vol.136 2014年3月号]

Chapter
VOL.56 奥深いタイヤの溝
ホンダ ヴェゼル
スズキ ハスラー
日産 エクストレイル
プジョー 2008

VOL.56 奥深いタイヤの溝

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい ロゴ

子供の頃、レーシングカーのタイヤに溝がないことを見て驚いた記憶がある。あんなツルツルのタイヤでどうして速く走れるんだろう?

タイヤのグリップはゴムと路面の摩擦が生みだすものであり、ドライ路面なら溝がないほうが接地面積が大きくなってグリップは上がる。ただし雨が降ると溝のないタイヤは水膜に乗って簡単に滑ってしまうため、水を逃がす溝が掘られているのだ、ということを知ったのは少し経ってからのことだった。

まさに子供の素朴な疑問。だが、大人になってもそのあたりをきちんと理解していない人がたくさんいる。ある調査によると、タイヤの溝の目的を知らない人はおよそ3割。女性に限っていえば、ほぼ半数が知らないという結果になった。しかもこの調査は、1ヵ月に1回以上クルマを運転する現役ドライバーを対象にしたものである。

法律では残り溝が1.6㎜以下のタイヤは使ってはいけないことになっている。タイヤ側面に付いている△マークを目印にスリップサインをチェックすれば一目瞭然だ。

さらに言えば、残り溝が新品時のおよそ半分の4㎜以下になると雨天時の性能は急速に低下していく。法的にはOKでも、安全を考えればタイヤは4〜5分山程度で交換するのがベストなのである。

しかし、ガソリンスタンドに勤める知人に聞いてみると、残り溝が少ないから危険ですよ、と告げても取り合わない人が多いのが現実だという。

そもそもタイヤの溝が何のために付いているのかすら知らない人が多いこの国では仕方がないのかもしれないが、タイヤは安全に直結する最重要パーツ。空気圧を含め、日頃からタイヤのチェックをしっかり行うことをおすすめしたい。

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