カイエンの廉価版?いいえ、スポーツ性を備えたコンパクトSUVです。

並び立つポルシェの運動性能とSUVの居住性

ポルシェ マカンS

マカンのサイズは、全長4,680mm×全幅1,925mm×全高1,625mm、ホイールベース2,805mm。カイエンよりそれぞれ175mm、15mm、85mm、90mmほど小さく、価格の面でも大幅に安価なので、カイエンの廉価版のように思われがちな側面もあります。

マカンがカイエンより身近なポルシェ製SUVであるのは確かな事実です。だけれども、そこはポルシェ、単なるセカンドラインをでっち上げるような真似はしていません。

と偉そうに述べていますが、日本導入直後、初めて試乗したときには、それほど期待をしていませんでした。というか、ちょっとマカンをナメてたかも知れません。ところが!

 
「なんだよコレ!? SUVのカタチをしたスポーツカーじゃん!」

 
試乗前に僕が想像していたのは、兄貴ぶんのカイエンと同じような“曲がることも決して苦手じゃない高速クルーザー”的な乗り味。だけどマカンは、全然といって良いくらいに違っていたのです。

無題

そのときの試乗車は、もっとも売れセンと思われていたマカンS。

搭載しているV6ツインターボは、250kW(340ps)と460Nm(46.9kgm)を発揮し、全域にわたってシャープな吹け上がりが気持ちよく、絶対的な力強さも充分で、1.8トンを超える車体を勢いよくスピードに乗せて行きます。

0-100km/h加速タイムは5.4秒の実力で、そこに不満を感じる人もそうはいないでしょう。

けれど、驚かされたのはそこではなく、コーナーが続く区間で、タイヤが悲鳴をあげはじめるあたりまで攻め込んでみても、不安感など微塵もなく、それどころかむしろ曲がることを積極的に楽しめてしまうほどのコーナリングパフォーマンスを見せてくれたことです。

ステアリングのフィールは、ポルシェならではの素晴らしさ。切れば切っただけ素早く素直に反応してくれて、車体の重心高の低さを感じさせながら、過剰なロールを許すこともなく、安定した姿勢で素早くコーナーを抜けて行きます。

その動きは、シャープとも軽快とも表現できる領域にありました。

立ち上がりでスロットルを強く踏み込むと、グッと後輪にトラクションがかかって力強く加速していく。フルタイム4WDの効き具合など、まるで911カレラ4のごとし。

昨今のSUVにはコーナーを苦手としないモデルが少なくないのですが、ここまで楽しく攻め込んで走れるSUVというのは、そうそうありません。

実用的なスポーツカーを求めるなら、選択肢のひとつになるだろう

ポルシェ マカン ターボ

シリーズには、このSの上に265kW(360ps)/51.0kgmのマカンGTS、294kW(400ps)/56.1kgmのマカン ターボ、324kW(440ps)/600Nm(61.2kgm)のマカン ターボ パフォーマンスが存在しています。

けれど、単にマカンとだけ呼ばれるベースグレードにして、唯一の2.0L直4シングルターボ搭載車でも不満なく走りを楽しめてしまうのは、極めてスポーツカーらしいドライビングフィールに理由があります。

マカンのスペックは、上級グレードと比べれば確実に見劣りする数値ですが、かったるさはまったくありません。

吹け上がりは軽快で滑らか、低速域からしっかりと力を湧き出させ、トップエンドまで爽快に回ってくれる。その回り方もサウンドも精密な印象で、粗雑な感じがどこにもありません。

素直に気持ちいい。加えてシリーズ最軽量で鼻先も軽く、身のこなしの軽快さも随一。スピードでは他のグレードに譲るものの、 “こっちでいいんじゃないか?”と思えるほど印象的なモデルだったりもするのです。

しかもマカンシリーズは、ストロークの長さを活かしたサスペンションが、上質な乗り心地を提供してくれて、いうまでもなくSUVとしての使い勝手の良さや世間体の良さを持っています。

オールラウンドに使える実用的な“ポルシェらしいスポーツカー”が欲しい、クルマは1台しか持てないけど、“ポルシェらしいスポーツカー”が欲しい。

そう考えるのなら、マカンは正しい選択だと思います。

699万円からという値段も、途方もない夢に終わらない現実味を感じさせてくれることですし…ね。

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