高い性能を誇る対向ピストンキャリパーのメリットとは?

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近年、乗用車のブレーキ形式としては、ディスクブレーキが増えており、ドラムブレーキはあまり聞かなくなりました。ドラムブレーキ自体は悪いわけではないのですが、放熱性が悪く、熱堕れしやすいというデメリットがあり、乗用車での利用は徐々に減っています。

ディスク化されてきているブレーキですが、ディスクブレーキの中にもいくつか種類があります。今回はキャリパーにフォーカスしてメリットを探っていきます。
Chapter
ディスクブレーキ
対向キャリパーとフローティングキャリパー
高い性能を誇る対向ピストンキャリパー
さらなる制動力を求めて

ディスクブレーキ

ホイールハブに、ディスク=円盤状の部品を取り付け、車軸と一緒に回転させます。これを左右からブレーキパッドで挟んで制動するのがディスクブレーキ。自転車のフロントブレーキが構造的には似ています。

回転運動を2枚のパッドで挟むことによって制動しますが、このとき運動エネルギーは熱に変換されて速度が落ちます。ブレーキは、熱を帯びるものですが、温度が高くなるとブレーキの制動力は自ずと低下します。ディスクブレーキは熱を帯びるディスク部分が露出しており、冷却しやすいことが大きな特徴です。走行風で冷却されたディスクブレーキは、次の制動時にも高い制動力を発揮してくれるのです。

ディスクやパッドの素材は多くありますが、ディスクブレーキは、コンパクトカーや軽自動車などの実用的な車から、1億円オーバーのスーパーカー、300km/hで争うフォーミュラーカーにも採用されるブレーキ方式です。

対向キャリパーとフローティングキャリパー

ディスクにブレーキパッドを押し付ける役目をするのが、キャリパーに付いているピストンです。ブレーキを踏むと、踏んだ力がブレーキブースターを介してブレーキオイルを各キャリパーに伝達。キャリパー内のピストンがディスクを押し付けます。

ピストンの数が多ければ多いほど制動力が高いと言えます。ただ、あまり構造が複雑になると、故障のリスクが増えたり、メンテナンスが大変になりますので、各車種の車重や性格に合わせて、キャリパーは選ばれています。

一般的なのは、フローティングキャリパーと呼ばれるもの。車体の内側のキャリパーのみにピストンを持ち、ピストンが動くとキャリパーフレームがスライドするため、外側のパッドも押し付けられる、という仕組み。現在はスライドピン型と呼ばれるキャリパーがほとんどです。

高い性能を誇る対向ピストンキャリパー

対向ピストンキャリパーと呼ばれるものがあり、これはキャリパーの内側、外側にピストンがあるタイプ。ピストンが多い分、制動力が上がります。

また、対向2PODキャリパーの場合、キャリパー自体のサイズは小さく軽量化した上で、ピストンを2つにすることができ、片側にピストンを持つよりもよりダイレクトかつしっかりとしたブレーキとなります。また、ピストンの分散から放熱効果も高くなりますので、制動力が安定します。

対向ピストンのキャリパーの場合、左右に構造物を持たせる都合上、キャリパーは分解できたほうが整備性も高く、また低コストで作ることが可能になります。そのため、複数のフレームと部品を組み合わせてキャリパーを構成している場合がほとんど。

レース用だと対向12PODというものも存在します。片側6ピストンですので、かなり大きくもなりますが、フォーミュラーカーなどであれば必要かもしれませんね。

さらなる制動力を求めて

ピストンの数を増やせば制動力は上がるのですが、公道も走る乗用車の場合は12PODという大きなブレーキを付けるわけにもいきません。そこで、生まれたのが、対向モノブロックキャリパーです。

モノブロックとは、キャリパーが複数の部品から成り立つのではなく、一つのつなぎ目のない塊として製造する方式の事です。これにより、剛性が非常に高くなる事から、同じピストン数の対向キャリパーで比較しても制動力が上がります。

しかし、部品点数が少ない分、故障のリスクも少ないですし、何より制動力が高いことから、スポーツカーや高級車などに採用されています。
最近はファッショナブルなブレーキキャリパーも増えてきましたので、ぜひ車に乗る前にのぞき込んでみてください。ブレーキパッドが見えれば、フローティング型、見えなければ対抗型です。対向型の場合、いろいろな部品が付いていなければおおよそモノブロックですね。
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