ターボの時代とNAの時代のMの違い

BMW M3 engine

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5月にイタリアで開催されたクラシックカーイベント“コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ”において、“2002オマージュ”と名付けられたBMWのコンセプトカーが初公開されたのをご存じでしょうか。最新のBMW M2をベースに、ノスタルジックなスパイスも振りかけたアグレッシブなボディワークが印象的でしたが、その名の通りBMW往年の高性能モデル、2002ターボにインスパイアされて生まれたクルマです。
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NAからターボに
ターボ、パワーと燃費の両立を実現

NAからターボに

1973年に発表されたBMW 2002ターボは、量産乗用車初のターボエンジン搭載モデルです。BMWはモータースポーツへ参戦するなかで、ポルシェとともに過給器技術を磨き上げていきましたが、それが結実したのがこの2ドアスポーツセダンでした。

BMWのエンジンというと、シルキーシックスなどと称された直列6気筒エンジンが頭に思い浮かびますが、1980年代にはワールドチャンピオンに輝いたF1ターボエンジンの開発でも知られ、じつはターボチャージャーに関するテクノロジーでも常に最先端にあったのです。
ちなみにBMW M社が手がけるM3セダン/M4クーペは新たに開発された直列6気筒3.0リッターターボを搭載しています。じつはM3/M4が過給器を組み合わせたエンジンをボンネットの下の収めたのはこれが初めてのこと。

初代E30は2.3〜2.5リッター直列4気筒、2代目E36は3.0〜3.2リッター直列6気筒、3代目E46は3.2リッター直列6気筒、そして4代目E90/92/93は4.0リッター V型8気筒と、そのいずれもが自然吸気(NA)エンジンでした。

ターボ、パワーと燃費の両立を実現

そして5代目となりターボユニットを採用したのは、なんといってもパワーと燃費の両立に理由がありました。いまやクルマのエンジンはダウンサイジングコンセプト全盛時代。ターボチャージャーの技術と直噴技術を組み合わせることにより、より小さな排気量で大出力&トルクを引き出すことができるようになりました。

モータースポーツの世界でも、F1は1.6リッター・ターボですし、ル・マン24時間でお馴染みのプロトタイプレーシングカーの頂点に目を向ければ、ポルシェ919ハイブリッドはモーターに2.0リッターV型4気筒エンジンを組み合わせています。

高回転でのマックスパワーを犠牲にすることなく、低回転域から豊かなトルクが得られる最新ターボは楽しさと扱いやすさも兼ね備え。これからのスポーツエンジンの“あたりまえ”になっていくのでしょう。
現在のM3セダン/M4クーペに搭載されるS55B30A型は、排気量が2979cc(ボア、ストローク φ84 × 89.6m)で、これに小型の2つのターボを装着したツインターボユニット。

最高出力317kW(431ps)/7300rpm、最大トルク550Nm(56.1kgm)1850~5500rpmを発揮し、限定モデルのM4 GTSに至っては368kW(500ps)/6250rpm、600Nm(61.2kgm)/4000~5500rpmという強心臓です。

ちなみにM2も3.0リッターターボを採用していますが、こちらはN55B30A型 3リッター直6ツインスクロールシングルターボを搭載。M5、M6は、V8ツインターボを搭載していますし、BMW M社はディーゼルエンジンの過給器による高性能化についても積極的に手を染めています。

今後もダウンサイジングターボ技術が、Mモデルの高性能化を支えていくことは間違いないでしょう。

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