なぜBMW M2 は370馬力もあるのに取り回しがしやすいのか?

BMW M2

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BMW 1シリーズは、メルセデス・ベンツAクラスとともにプレミアムコンパクトとして高い評価を得ています。大きな特徴は、このクラスでは希有な存在となった後輪駆動車であること。実用性とFRレイアウトによる操る楽しさを巧みにバランスさせたキャラクターが、1シリーズを欧州Cセグメントにおいて特別な存在にしています。
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超高性能なプレミアムコンパクトM2
N55B30A型エンジンを搭載
BMW Mとはひと味違うBMW M2

超高性能なプレミアムコンパクトM2

初代モデル1シリーズ(E87)の登場は2004年ですが、2007年にはクーペ(E82)が発表されました。

なかでも全長4.3mとあまりのコンパクトなボディに、300psオーバーの6気筒ターボエンジンを搭載した135iは、モータースポーツを楽しむカスタマーにも注目を浴びる存在で、その動力性能と運動性能を堪能した方は多かったようです。

この流れをくむ2ドアクーペは、2011年にデビューした2代目モデル(F20)をベースとしながらも、新たに2シリーズのネーミングを掲げ2013年に本国デビューしました。

F22というコードネームが与えられたクーペの最強版は、M235i。

240kW (326ps)/5800rpm、450Nm(45.9kgm)/1300~4500rpmを発揮するN55B30A型 3L直6シングルターボを搭載。

ちなみにこのエンジンは、340iや440iに搭載される最新モジュラーユニットのB58B30A型3リッターとは別物で、135iの流れをくむエンジンです。

そういう意味でも135iの流れをくむ高性能コンパクトスポーツですが、これをベースに別次元の超高性能モデルへとさらに進化したのが、F87 BMW M2です。

N55B30A型エンジンを搭載

新たに誕生したM2は、M235i等に搭載されているN55B30A型がベースとしたエンジンを搭載。

加えて、M3に搭載されるS55系と呼ばれるツインターボではなく、ツインスクロールのシングルターボが特徴。

とはいえ、ピストン、クランクシャフト・ベアリングシェルなどさまざまなパーツをM3/M4用ユニットから譲り受け、272kW(370ps)/6500rpm、465Nm (47.4kgm)/1400~5560rpmを発揮。さらに最大トルクはオーバー・ブースト機能により一時的に500Nm(51.0kgm)まで引き上げることができます。

この強心臓が組み合わされるボディサイズ&重量を改めて確認すると、全長4475mm、全幅1855mm、全高1410mm、ホイールベース2695mm、1580kgという値。

これは同じ2ドアクーペスタイルのM4より全長が210mm、ホイールベースも115mm短く、モータースポーツはもちろんのこと、タイトなワインディングロードなどでも、このコンパクトさがM2のアドバンテージになります。

しばしば引き合いに出されるのが2000〜2006年に生産されていた3代目のE46 M3。4490×1780×1370mm、2730mm、1560kgですから、E46 M3とイメージを重ねるBMWファンが少なくないことも頷けます。

BMW Mとはひと味違うBMW M2

さて、足回りの仕様を確認すると、2シリーズをベースとしながら、M235iに比べるとフロントのトレッドは70mm、リアは65mmも拡大しており、それぞれ1580mmと1600mmという値。

じつはM2にはM4用の前後アクスルが組み込まれており、ほぼM4と同じトレッドとなっているのです。ホイールベースはそのままに、トレッドを広げれば、基本的に回頭性能を向上させることができます。

コントロールアームやホイール・キャリアをアルミ製にするなど軽量化も図られ、M2は卓越したハンドリングマシンに仕立てられているのです。

 たしかにその立ち位置を冷静な目で眺めれば、このクルマには“M”のエントリーモデルという形容がふさわしいのかもしれません。

しかし、よりコンパクトで軽いボディに身を収めてステアリングを握れば、クルマとの一体感の濃密さに驚くはず。

2シリーズをベースにしつつ、Mのスパイスをふりかけたからこそ味わえるドライブフィール。それが、他のMともひと味違ったBMW M2の魅力なのです。

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